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2017年7月 1日 (土)

東京から18きっぷで行く日帰り旅5:続・静岡地獄経由蒲郡行

蒲郡からの帰り道、また来た路線をただただ5時間半も乗り続けるのはなかなかしんどいと思い、どこかで途中下車して夕食を取ろうと考えた。県都静岡の駿府城に行けば、そこは城だから桜の名所になっているだろうし、その後一杯飲んで帰京すれば、酔っ払いの特権である速い時間の流れに乗って帰りの辛さも減るだろうと見込んで、途中下車することにした。

夜にはまだ早く夜桜とはいかないかな…と思いながら駅から歩いていくと10分ほどで堀に到着。期待通りに石垣を覆うような桜が咲いていたが、思ったよりは本数が少ない。
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では、と本丸跡の公園に入るが、逆に桜はポツポツとあるくらいであまり目立たない。
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少し肩透かしを喰らったけれども、公園で楽しそうに青春を謳歌している女子高生の姿や立派な葵御紋の植栽も見られたので良しとして、飲み屋街へ足を向ける。
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当初目当てにしていた「七福」へ行ったら生憎予約で一杯と断られ、では至近にある静岡では高名な「多可能」へ行くかと暖簾をくぐる。

17時過ぎと早い時間だが店内はほぼ満席の盛況ぶり。人いきれに押されながら、あさりの酒蒸しと鮪中落ち、セロリを頼む。しかし鮪は凍ったフレーク状態だったし、あさりは砂抜きが不完全でじゃりじゃりするしで飲む気を削がれてしまった。
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またセロリは30分経っても来ないのでキャンセルして店を出た。名が知られ過ぎて客の数と店のキャパのアンマッチが起こっているようで残念。

このままの不完全燃焼では帰れないと思い、先程店に入る前に通りかかって気になった隣の「こばやし」で飲み直すことにする。
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ここは串揚げ・串焼き・静岡おでんの三本柱に特化していて、メニューが潔く期待が高まる。串焼きのタンとハツを頼んだら、かなりの大串で迫力ある肉が供された。かぶりつくとぎゅっと肉汁が溢れ出し、微かな焦げみが風味を添えて荒ぶる旨さがある。
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付け合わせと思い頼んだお新香は漬かりが深く酸味が効いているので、このパンチが利いた串の脂を洗い流して口をさっぱりさせるのには好都合でこのコンビはとても良かった。
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串揚げでは蓮根と玉ねぎを頼んだが、蓮根のサクホク感といい玉ねぎの濃い甘みといいとても美味しかった。

ふと目をカウンターに転じると見事なアスパラガスが見えたので、ご主人に「アスパラは焼くのと揚げるのとどっちがいいですか」と聞いたら、揚げた方が良いとのことでお願いする。
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自信をもってお勧めされただけあって、カリッとした衣と、奔出するアスパラの香気と汁気のコントラストが絶妙で、揚げ物なのに清々しさすら感じた。
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これにおでんの厚揚げとビール・日本酒各1本で3,000円というのは個人的にはとても安く感じた。これからは静岡方面に来たら必ずこちらに立ち寄ろうと思う。

駅まで上機嫌で歩いて静岡駅から始発のロングシート車両に乗り、案に相違して時間が早く流れてくれず最後は疲労困憊となったものの、なんとか無事に帰宅して18きっぷの旅の締めくくりは大団円を迎えた。

今回が最も遠い距離まで出かけた回となったが、正規料金10,800円のところ2,400円で済んだのだから食事代諸々が浮いた分で十分足りる勘定。ケチな性分なので、これだけ節約できると旅の達成感とともに別の喜びも感じる。今は来年の春のルートを色々夢想して楽しんでいる。

2017年6月20日 (火)

東京から18きっぷで行く日帰り旅4:静岡地獄経由蒲郡行

クラシックホテルは風雅の残り香があるところが良く、奈良ホテルには宿泊したし、山の上ホテルでは結婚式を挙げた。軽井沢の万平ホテルで飲んだアイスコーヒーの味わいも鮮明に覚えている。

ほとんどの場合、観光地にあるから行きやすいけれども愛知県は蒲郡にある蒲郡クラッシックホテルだけは特段の用事も見当たらず、行く機会はほとんどないだろうと思っていた。それならば、このホテルを見に行くことを用事にしてしまえば良いと思い立ち、百鬼園先生宜しく東海道をただただ西へ西へ進む旅を18きっぷの最後として選んだ。

早朝西大井から横須賀線に乗り込み戸塚でいよいよ東海道線に乗り換える。
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ホームには小学生とそれを送り届ける親たちの一群がわんさといて、かなりの混みよう。さらに終点平塚で乗り換えたのは5両編成と短い車両だったから、思わぬ激混みに遭遇して先が思いやられる。それでも小田原でようやく座れて熱海の乗り換えでは特急用車両がお出ましと相成り少し機嫌も持ち直す。
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この先のトイレ事情を鑑み、この車内でそそくさと用を足して沼津でいよいよ静岡地獄名物のロングシート車両に乗り込む。眼前には18きっぷ仙人のような御仁が数名座っていて、各々大きなサックから思い思いの暇つぶしを出しては自分の世界に没していて、なにやら先達感があった。

清水付近で海が見えたくらいで車窓は田舎の街並みが続き確かに倦みやすい。そんなだから大井川を渡る際の見渡しが良くて随分せいせいした。乗り継ぎとなった島田駅はシンメトリーな感じが良く、トイレも跨線橋を上ったところにあって助かる。
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同じく乗り換えした天竜川駅だが、川から離れていて無機質な街があるのみで少し残念。
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沼津→島田→天竜川→豊橋→蒲郡と乗り継ぎ5時間半かけて到着。まずは閑散とした駅前をうろついてみる。どちらも今後厳しそうな不思議な書店。
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風格ある酒場で心惹かれる。
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骨酒売りの店は初めて見た。何の魚の骨酒なのだろうか。
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なかなかの閑散ぶりを桜が一人盛り上げていた。
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駅に戻ってタクシーでいよいよホテルに向かう。海沿いの小高い丘の上にホテルは鎮座していて、その様子から竜宮城のようにも見える。
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入口のドアボーイが慇懃に迎えてくれ、ラウンジに行きたいと話すと古式ゆかしきエレベーターに誘導してくれ、しかもインカムでラウンジの係りに連絡を取ってくれたから、2階でエレベーターを降りたらまたも慇懃にお辞儀をされてすんなりと席に誘導してくれた。
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ここの経営は色々と変遷していると聞いているが、少なくともプリンスホテルから譲り受けた今の運営は、この建物にふさわしいスマートさを保とうという矜持を持っているらしかった。

ベランダ沿いの淡く日が差し込む席に座って、海を眺めながら物憂げに黒ラベルを飲むというのは至福の時だった。
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眼前には絶妙のバランスで空中に停止するとんびが数羽、その向こうを白鷲が優雅に羽ばたき、それらの合間をぬって燕が放物線を縦横無尽に描く。薄曇りでほんのり霞む竹島も何やら夢の中のように見え、酔いも回って独り静かにうっとりとしてただただぼんやりと景色を眺めた。
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帰りがけ庭園を散歩して帰ったが、もみじの木が多く、またつつじの植栽もあちこちにこんもりと見られたから、季節ごとに花鳥を愛でることが出来る段取りとなっているようだ。疲れ気味の日々が続いたら2-3日逗留するにはもってこいの場所だと思う。
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帰りは歩いて駅まで行く。道すがら気になるものもちらほら。
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駅前まで戻ると、土産を買いに「梅月園」へ。近隣商店のどんよりさはここにはなく、店構えも清潔で、商品ケースにもずらりと美味しそうな菓子が並んでいて心が逸る。帰りが晩くなった際、電車内でも食べられるようににと思い薯蕷饅頭と季節限定の桜薯蕷饅頭を購入。
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結局自宅まで持ち帰って食べたが、むっちりした皮の具合といい、餡のしっくりとした歯応えといい、滑らかな舌触りといい、品のよい甘みといい、かなり上出来の饅頭だった。特に桜
薯蕷は桜花の塩気が甘みに陰翳を与えて、さらにそれを際立たせる逸品で、これは4-5個買っておけばと後悔した。今度蒲郡ホテルに泊まる時には大量に買い込んで、美しい風景を愛でながらぱくつきたいと思う。


滞在二時間ほどで14時半には蒲郡を後にした。
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2017年5月10日 (水)

東京から18きっぷで行く日帰り旅3:ホキ美術館と久留里

ほとんど寄り付いたことのない千葉には行きたい場所が二つあった。精密写実作品が集められているホキ美術館と、新子安の諸星酒場で飲んで美味しかった福祝が醸される名水の里久留里だ。やや離れた立地だけれど一日で回るには適度な距離だったので一気に行ってしまうことにした。

品川駅から横須賀線に乗ってしまえばホキ美術館のある土気には一本だったので移動は楽だった。途中車内をきょろきょろしていた白人の男性が居て、大きなスーツケースを抱えて成田に行くのかな…と思ったら、某新興宗教の合宿セミナーに行くようだった。極東の島国で自分探しの旅とは、どんな切迫した事情があるのやら・・・と思っていると土気駅に到着。

バスで5分ほどのところにあるホキ美術館は周りは普通の住宅地で、いきなり未来感あふれる建物が現れるからかなり目立つ。裏手には大きな公園があり、空にはひばりが飛び交うのどかな雰囲気とは一線を画している。
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展示は少したわんだカステラ状の回廊にびっしりと作品が並んでいて壮観だが、空間にゆとりがあるので心静かに作品と向き合えてとてもいい。ただ筒状になっている建物の構造上、遠くの人の声がかなり遠くまで反響して飛んでくるので、べらべらしゃべるおばさん連中と同じフロアにいた時は閉口した。

どれもこれも精密描写でリアルに肉薄する凄味を感じられたが、特別展のホキ大賞入選作では三重野慶が描いた特別賞の女性像に舌を巻いた。唇と髪の毛の質感がその他の入賞者より一歩秀でていたように思う。それから人物画も風景画もこなす森本草介が印象に残った。特に川沿いの集落の風景は見蕩れてしまい、ベンチに座ってずっと眺めていた。
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(写真はネットから引用)


想像していたより作品も多く、どれも迫真の描写で来た甲斐があった。「あすみが丘」という東急らしいふわっとした町名の地に別れを告げて、内房線に乗り継ぎ木更津まで行き、そこから久留里線に乗る。木更津はイメージよりも荒んでおらず、ヤンキー感は皆無で少しがっかり。

閑散とした祇園駅を越えると山間の田園風景が広がり、途中の駅のホームには菜の花が咲き誇っていた。
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菜の花はこの沿線のテーマカラーにも採用されており、列車のカラーリングはまさにそれで、なかなか好ましい。
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好ましいと言えば久留里駅の駅舎も昔ながらの風情があって良かった。
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久留里の街には昼晩くに到着。店が休憩に入ってしまう前に急いで目当ての蕎麦屋「藤美」に行く。久留里に来た目的には名水と酒に加えて、力を入れている「ホンモロコ」を食べるという点もあった。京都では冬に「寒もろこ」として珍重される魚で、炭火で焼いてふわりとした身とワタの淡い苦みを楽しむという。藤美ではほんもろこの天麩羅そばが味わえるというので早速それを頼む。

コップ酒はこれも久留里の酒蔵吉壽のもの。
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天麩羅は別皿に乗せてくれており、つまみながら呑む身にとっては出汁が染みすぎてしまう恐れもなく、誠に好都合だった。
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磯辺風味のそれは大変さっくりしていて、身はさらりととけていってしまう。骨はまったく感じず、ごく後になってワタの残り香が口中に漂って後口を引き締める。なるほど、これはいい。ふっと消えゆく儚さが後を引く一品で、めひかりの食感によく似ている。期待通りの味わいに満足して店を出て街を散策。

目当ての藤平酒造は大通りから一本入ったところにひっそりと。
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そこから程近くに店舗があって、流石にフルラインナップの品揃えで密かに感動。純米吟醸の生酒を買って帰ったが、ごく控えめな発泡に穏やかな甘みと酸味が相俟ってつるりと咽喉奥に滑り込んでいく佳酒だった。
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となりの魚屋にはホンモロコの活魚が売っていたが、帰宅まではかなり時間があったので購入は断念。今度はエアポンプ持参で来よう。

住宅街に入って行くと、湧水が引かれた水道塔があちこちにあって、蛇口をひねると清冽な水がひんやりと手を濡らす。
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あちこちの水飲み場で飲んだが、藤平さんの店舗前のものが実に丸くて流麗で美味しかった。

季節柄、道端には花があれこれ咲いていて心和む。
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居酒屋くるりは「家出娘」がしんねりと飲んでいそうな雰囲気。
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帰りの電車には時間があったので、駅前横丁にぽつりと残された中華の喜平に入ってラーメンをすする。都内の古い飲み屋街に慣れているので格別の風情は感じないが、車社会が当たり前のこのあたりでは物珍しい駅前横丁のノスタルジックな店だけに人気は高いようで、入口には順番待ちの名前を書き込むノートが備え付けられていた。
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ラーメンはごくごく普通のもので、ここは店の雰囲気を味わうタイプの店のようだった。
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帰りに土産でも・・・と足を運んだ駅前の和菓子屋広木堂では三万石最中を購入。4つしか買わなかったが、ロールケーキの切れ端をおまけで付けてくれてちょっと嬉しい。最中は基本に忠実な仕上がりで、ねっとりとした餡とほどよい余韻を楽しめる甘みがよく、あれよあれよと食べてしまった。
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千葉だって探せば良いところがあることを知った一日となった。

2017年4月15日 (土)

東京から18きっぷで行く日帰り旅2:堅牢至極寄居城

第2弾は池波正太郎の「よい匂いのする一夜」で見かけて以来ずっと気になっていた寄居に行こうと思い立った。ついては全く縁遠かった八高線を使って行き、帰りにはレンガ造りの街並みが残るという深谷に寄って、名高い赤羽の飲み屋街で一杯飲んで帰るという旅程を組んだ。

田園都市線→横浜線と乗り継ぎ八王子へ。八高線はホームの外れの1番線で、ちょっと旅情を覚える。ロングシートに揺られてしばらく行くと、隣の老婆から「次は箱根ヶ崎?」との確認があったので、遠くの路線図を懸命に目を凝らして見て、そのようですよと答えるとなんとも人懐っこい笑顔で感謝された。その姿が父方の祖母によく似ていて、そういえば住まいは近くの立川だったから、なんとなく懐かしみを覚える。下車する際に改めて「ありがとうね」と頭を下げられたので、「お気をつけて」と返し別れた。一期一会の出会いながら清々しい気持ちになる。

沿線はずっと里山の風景が続き、枯れ山にぽつりぽつりと木蓮や桜が咲いているのが見え、破れ籠に花を活けているようにも見えて一寸いい。自宅から3時間半かけてようやく寄居に到着。
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三路線が乗り入れる駅だが、駅前のスーパー跡が野ざらしになっていて、寂れ感が強い。逆口にあった町役場は大層立派なものだったから、その格差に日本の縮図を見る思いがした。
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↑下が寄居町役場。地方の上場会社の社屋並の威容。

あてにしていた駅前の蕎麦屋が定休日だったので、かつ丼で名が知られた今井食堂へ。
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時分時で店内は一杯。しかしみなかつ丼を頼むので、待つことはなかった。一般的にはソースかつ丼と呼ばれるタイプだが、甘さがかなり強く味わいはあの「歌舞伎揚げ」にそっくり。その甘じょっぱさが後を引く旨さで、付け合わせのうまく漬かったお新香が口を洗ってくれるので、食べ飽きることもない。
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腹はパンパンになったが、特徴的な味わいに出会えてとても満足した。

そこから15分も行くと寄居城跡に着く。聞いていた通り、荒川沿いの河岸段丘を天然の要害として活用していて、ここに攻め入れというのは絶望感があるな…と足軽根性丸出しで想いを馳せる。(実際には導入されつつあった大砲で攻略したそうだ。大坂冬の陣が大砲の実戦使用の最初ではないことを知る)
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平成の今は土塁の傍らにホトケノザ・タンポポ・菫・ハコベラ・カタクリ等々野の花が咲き乱れて、至ってのどかな春の風情が感じられて、平和の有難味が感じられた。
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さらに行くと樹齢200年はあろうかという大櫻が咲き誇っていて壮観。
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向こう岸に見えるのが京亭で、名物の鮎の時期ではなかったから前を通るだけにした。Dscn3255
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隣にも旅館はあったものの、随分前に廃業したようで見る影もなく荒れていた。それでも往時を偲ぶように近くの民家からは三味線の音が漏れ聞こえてきて気分を盛り上げる。

引き上げる途中、旅籠風の宿を見かけ、
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喉の渇きを覚えたので洗濯船という喫茶店に入る。
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アイスコーヒーにしたが、アイス用に濃く煮だしたものではなくて、ホットに氷を入れて冷たくする方式。どうしても味が薄まってしまい、折角のこだわりの店なのにちょっと勿体ない。

再度八高線に乗り、高崎線への乗り継ぎ駅北藤岡へ向かう車窓は田園風景が続くが、時折雉の歩く姿や水仙の咲き乱れる様子が見られて飽きることがない。
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深谷には夕方到着。東京駅を模した駅舎は流石の迫力でなかなか良かった。
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一方、旧街道沿いの古い町並みはこれといったものがなくややがっかり。駅前のピンク感丸出しのロータリーに懐かしい埼玉の風景を見て、ふたたび高崎線で赤羽へ。

子供の頃から何度も通過してきたけれど、降り立ったのは初めての事。噂の自由の女神(サウナ入浴→ニュウヨク→ニューヨーク)、馬鹿祭りの告知看板を見て気分が盛り上がる。
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ぶらぶらした後、ほどよく疲れた風合いを感じさせる「だるまや」へ。
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カウンターのグッピーが泳ぐ水槽、婀娜っぽいラテン系の女性店員とそれにちょっかいを出す中年の一人客。壁に向かってぶつぶつ呟きながらにやにや飲んでる酔客とそれを見つけて隣にやってきて呑み始めるお仲間。妙に礼儀正しく、「狐焼き。王子の狐で」とこの土地ならではのネタで気安く店員をくすぐる練れた酔客。背後には全く耳に残らない演歌が延々響く。望んでいた以上の心地よいカオスが現出して、実に楽しい気分で飲むことができた。

また薬味が豊富に盛り込まれた鯵刺も鮮度が良かったし、濃い味付けが癖になる味噌スジもとっぷりとした魔味を湛えていて実に旨かった。
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赤羽らしさを存分に堪能して、上機嫌で帰路に就いた。18きっぷ、使えすぎ!

2017年4月10日 (月)

東京から18きっぷで行く日帰り旅1:三島堪能帰路赤富士

テレビで見たり本や雑誌を読んで、「機会があったら行こう」と思ってかれこれ10年以上経っている場所が増えてきた。微妙に遠いのでそこそこ交通費がかかるのがネックだな…・と思っていたら、今は青春18きっぷがヤフオクなどで3₋4回分などで数多く出品されていることを知った。早速4回分のものを落札して日帰りであちこち巡ってみた。

最初はさほど距離の無い三島に行き、帰りに夕焼けに染まる富士山を見るべく御殿場線経由で帰ってくる旅程を組んだ。

11時頃に品川区内を出発、川崎で崎陽軒のシューマイ弁当を買い込み東海道線に乗るが、かなり混んでいてなかなかのんびり弁当を食べる雰囲気でもない。ようやく国府津の手前で意を決してあたふたと腹に詰め込んでいると車窓に相模灘が広がって、ようやく旅情に浸ることができた。
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小田原で途中下車して名物の守谷パンに行くが、30人超の大行列でちょっとびっくり。
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10分ほど待って購入したあんパンは相変わらずのあんこっぷりでむっちりしたパンと好相性だった。

少し城の方へ歩いてみると、立派な建築で有名なだるまは昼待ちの客で大混雑。
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堀端につづく細道に名士の館の風情を残す弁護士事務所があって興趣をそそられた。



桜は未だつぼみ堅し。
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その代わり近くの通りの桜をかたどったバルーンの飾りは春らしい気分にしてくれた。
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初めて見た二宮金次郎の像に別れを告げて、
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熱海で乗り換えて15時過ぎに三島へ。駅前の観光協会で自転車を借りてぐるっと巡る。駅から緩い坂を下っていくと
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見事な枝垂桜が目に入ったのでちょっと立ち寄り。本覚寺という寺の境内に見事に咲いていたが、地元の老夫婦が写真を取りに来ていただけで人は皆無。
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思わぬ穴場を発見して嬉しくなって浄財を弾み、次なる水際公園を目指す。

三島は富士山からの伏流水が湧き出す町でここも水が美しく、メジロやカモ、桃の花、モクレンなど花鳥もあちこちに見られて心和む。
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圧巻は佐野美術館裏の小川沿いで、大きな水芭蕉のような花(カラーというらしい)が岸辺一帯に咲き誇っていて、脇にはうたた寝する猫も居り、長閑な春の日の情景が美しかった。
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三島大社にも寄り、思った以上の本格社殿に感服し、まだまばらな桜の参道を後にして駅に戻る。
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夕食用の駅弁「あしたか牛すき弁当」を桃中軒で購入し、沼津経由で御殿場線に乗る。当初曇りだったが、その名の由来が気になる「長泉なめり」駅を過ぎるころから、雲間から富士山が見え始め、その内堂々とした姿がはっきりと見えるようになる。夕日に照らされたその姿は「眼前富嶽 春霞桜色」とでも讃えたい美しさで、春が来たことを強く印象付けてくれる絶景だった。この景色はまた見てみたいと強く思う。
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(写真はネットから引用。実際はもっと富士が近かった)

終点国府津でアメリカ大使館員という行楽帰りの外人に道案内を求められ、拙い英語で応答したら「英語うまいじゃん!」と褒められてちょっと得意になって、東海道線の始発列車のボックス席で駅弁を開く。見た目は地味だが、牛肉はきちんと肉の風味が生きていて感心した。どうせ佃煮みたいに煮詰めてしまってるんだろうと思っていただけに尚更だった。脇の煮玉子や野菜もきちんとした仕上がりだったし、バランスの取れた美味しい駅弁だった。
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(写真はネットから引用)

いやいや、18きっぷで小旅行、悪くないじゃんとの思いを抱きながら東海道線で帰路へ。

2017年3月13日 (月)

「この世界の片隅に」と毎日映画コンクール授賞式

年末に「この世界の片隅で」を映画館で見たら、訳もなくただただ涙が流れた。映画館で泣くのはリトルダンサー以来二度目の事だが、舞台が日本だからか、それとも齢を重ねたからか、あの時よりとめどなく涙と嗚咽がこみ上げて難渋した。

少しでも作品世界に触れられればと原作も購入したある日、毎日映画コンクールの受賞が報じられ、その授賞式に一般客の参加募集があったので応募したところ当選したので、川崎まで見に行ってきた。

中条あやみの驚異の九頭身ぶりや香川照之の軽妙なスピーチ、本木雅弘の男振りも楽しませてくれたが、やはり真打は「この世界の片隅で」の片渕監督とのんのスピーチだった。

片渕さんは穏やかで謹直な人柄が偲ばれ、どこにクラウドファンディングを募ってまで作品を作り上げようという執念が潜んでいたのか不思議に感じられた。一方ののんは「きちんと喋れるのだろうか・・・」という不安をよそに、要点をきちっと押さえ、たじろぐことなく堂々と話していたのが印象的。一連のブームの過程を通して人間としての成長も遂げているような頼もしさすら感じた。

これに加えて、主題歌を歌ったコトリンゴがステージに上がって生歌を披露してくれたが、これが言いようもない感動が身体の中から押し寄せて、思わず涙が頬を伝った。


なかなかスターを一度に見る機会もないので、いい具合に抽選に当たったのはとても幸いなことだった。

2017年2月28日 (火)

香港飲食男女Ⅲ-28:役に立ったサイト・本・まとめ

【役に立ったサイト】
LCCの普及で弾丸旅行に行く人が多くなって、ネットを探索してもそういう方々が好む茶餐廳とSIMカードとディズニーランドに関する情報ばかりなのには閉口した。それに次いで多い現地駐在員妻のブログも香港庶民の生活からはかけ離れた甘い内容が多く参考にならなかった。

以前のように中華料理を愛好する士が集う場もなく、香港に求めるものが多様化しすぎていて、個人的に知りたい「香港の食」の今について情報を集めるのはなかなか骨の折れることだった。そんな中でも大変参考になったサイトをいくつか。

香港次どこブログ」さん=現地で働いている方なので情報の鮮度も高く、レストランもピンキリまで遍く網羅していて、大変重宝した。

地滑小心な旅行ブログ」さん=あちこちのレストランでの会話も細かく載せていて読んでいて楽しく、またどうやったら地場の店で美味しいものにありつけるのかの参考にもなった。今回旅の内容を割愛したり編集しなかったのはこちらの影響が大きい。

フォートラベルのsorrel」さん=食事の趣味が似ているようで、行かれていた店を大いに参考にさせてもらった。今度はトレッキングコースを参考にさせてもらいたいと考えている。

香港政府観光局=無料の観光トラムツアーや機j場快線の割引チケット、それにananの特集記事などお得と旬な情報がパッケージされていて大いに役立った。

天気予報=日本のサイトはアテにならず、IBMがやっているというこのサイトの情報が一番正しかった。人工知能ワトソンの実力の片鱗を見た思い。

【役に立った本】
旅に出る前、以前重すぎて断念していた星野博美の「転がる香港に苔は生えない」が文庫化されていたので読んだが、香港の根っこを知る上では非常に参考になる本で、これを読んで今までよりも香港への思いが深まった気がする。

特に調景嶺にあった国民党支持者たちの街が97年の中国本土への返還時に取り壊されたことや、故郷へ生活費を送るために密入国して働きづめに働いた結果、婚期を逃し独り寂しく生きていかざるを得なくなった男たちの話は印象深い。

中国本土の政治や貧困のしわ寄せで香港に来るしかなく、そこで生きていくしかなかった人達の存在を知ることができたのは収穫で、香港における様々な事象の理解を助けてくれた。

例えばそれは雨傘革命に見られる中央政府への反発の強さであり、また子女をカナダなどに留学させて永住権を取らせていつでも移民できるようにすることなどは、この本を読んでたちどころに理解できるようになった。

また名をなしたレストランの社長が「庖丁をくわえて珠江から丸二日間泳いでなんとか香港にたどり着いた」というような話をよく耳にしていて、それは立身出世した人特有の誇張だと思っていたが、あながちそれも嘘ではないらしいことが判り、とすれば香港の人達の平均寿命が世界一であることも、こうした過酷な現実を壮健な体で乗り切ってきた人たちの集合体と考えれば納得がいくな・・・とすら思った。

辛いことは山ほどあったけれど、今生きていることを喜び、そして楽しみつくす。その為の努力は決して惜しまない。このことに徹頭徹尾こだわる人々が住む街だから、私は香港を愛してやまないのだと思う。

久々となった今回の香港旅行は初めて6日も滞在したのでゆったりとできたし、遠くまで出かけて香港の持つ自然の魅力にも触れられてとても満足のいくものだった。本土につながる高速鉄道もまもなく開通するようだし、3年後には故宮博物館の分院も出来るようだから、それを楽しみにまた香港に行きたいと考えている。

以下、今回やり残したことを中心に次の旅への備忘。
・観塘から北角までフェリーに乗る。
・ハッピーバレーの2階テラス席で競馬観戦
・新界の客家の城塞村(吉慶園)に行く
・生記茶餐廳の蟹おこわ
・太子の興記麺食家の水餃麺
・大角咀の和記海鮮の朝飲茶


載せきれなかった写真のあれこれ
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↑街のあちこちで見かけたマメ科の花バウヒニアは香港の国旗に描かれているあの花だと初めて知った。
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↑冬の風物詩、焼き栗売り。裏路地で昼から仕込んでいるのも見かけて、思ったより手間がかかってるのだと知る。
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↑太子駅出口近くの横断歩道横のコンクリ柱にマジックで書いてあった。これを見て電子レンジの修理を依頼しようという人はいるのだろうか・・・
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↑と思って三歩歩いたらこちらの電柱にも!気づいてしまったあたり、すっかり相手の計略にはまってしまった。
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↑セブンイレブンの入口に設置されていたオクトパスカード決済機。入口にある新聞だけを買う人専用に設置されているようだ。へー。
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↑私は維他
が好きだ。

2017年2月11日 (土)

香港飲食男女Ⅲ-27:香港老飯店・新園興記焼臘飯店

【香港老飯店(上環)】
香港滞在最後の一食はこのところ香港老飯店ばかりになっている。11時から店を開けており、料理がやってくるのも早く、残してしまった料理はきちんとタッパーに入れてくれるので、機内食代わりになるのもありがたい。

今回は初めて香港島側の店に足を運んだ。以前は北角にあったのが上環と中環の間くらいに移転してきてくれて、食事をした後に機場快線で空港に向かうこちらとしてはとても便の良いロケーションとなり、使い勝手が格段に向上した。
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↑11時の開店直後。12時過ぎには続々と客がやってきた。


こちらのグランドメニューは一部写真付きで、しかも日本語も書いてあるので、注文を大きく外すということはないだろうと思う。
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↑ただし日本語はあまり正確ではない。

いつも頼む酔鴿、それに椎茸の煮込み、燻製玉子と蜜をまぶした胡桃、揚州炒飯を注文。前菜として注文した燻蛋核桃はさほど燻香はなく普通の半熟玉子にしか感じられなかったが、胡桃は甘じょっぱく、それでいて香り高く、いかにも食欲を刺激するあと引く味わいで、立派にスターターの役割を担っていた。
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↑川崎の松の樹で食べているそれと遜色ない。

ここに来る目的である酔鴿子(子鳩の紹興酒漬け)は相変わらず酒の香気だけをまとい、ふるふるした皮とむっちりと繊細な身の具合が絶妙で、たまらなく美味しい。鴿不足をずっと感じていた旅だったので、最後の最後にこれが食べられて甚く満足した。
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冬菇菜心は椎茸の厚みが半端なくあって歯応えがよく、それにも関わらず深奥まで旨味が染みわたっていて大変おいしい。10年くらい前に麻布の富麗華で食べたものを思い出したが、こちらのものは化学調味料の味が全くしないのにぶ厚いコクを感じさせるもので、その力量に大きな差があることをまざまざと知らされた。
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最後の最後で食べた炒飯はもちろん申し分なく、いつものように半分を「ダーパオ(打包)」といってテイクアウトをお願いしたら、簡易タッパーにいれて箸とスプーンもつけて持ってきてくれた。バニラエアは機内食がないので、これは小腹をつなぐのに重宝した。
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以上にビール1本で503ドル。どの料理も高水準で何を食べても旨いし、店のロケーションも良く、店員もきびきび対応してくれるのでゆったりと食事に向かい合うことができる。相変わらずの良店だったので安心した。

【新園興記焼臘飯店】
帰国後の夜ご飯としていつも焼臘屋で弁当を買って帰っているので、今回もそれにならってホテル近隣で店を探したところ、上環街市そばのこちらに行き当たった。

店に入ってみると店頭に丸焼きした豚の半身がぶら下げられて、どうやら余分な脂を滴らせて抜いているらしい。これは良さそうだ。
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入って左にあるレジにいた店員に「外売 焼肉叉焼飯×1」と書いたメモを差し出すとすぐに厨房に通してくれた。厨房には豚のローストが部位ごとに分けられてぶら下がっており、私のものには尻の部分とあばらの部分から切り分けられたものが入れられた。偏りのないようにする工夫がされているなんて知らなかったので、へーっと少し感嘆。

ここは40ドルしないのに、持ち帰りでも例湯(日替わりスープ)がつくのだが、これはもらっても処理に困るので「ウォー プーヤオ レイタン(我不要例湯)」と普通語で言って見たら、「ハァ?」と怒気を発して言われたのですごすごとホテルまで持ち帰った。
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帰国後肉を魚焼きグリルで炙って食べたら、香ばしさが甦ってなかなか美味しいものだった。上環での買い出しの途中に水準の焼臘で腹を満たしたいという使い方には好都合な店だと思う。

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2017年2月 1日 (水)

香港飲食男女Ⅲ-26:IFCモールと中環・香港駅

銅鑼湾で食事を終えて家人がIFCモールのレーンクロフォードとシティースーパーに行きたいということでお供する。中環で下車してあっちをいったりこっちを行ったりしてようやくIFCに到着するも肝心のレーンクロフォードがどこにあるのか判らずまたウロウロ。ようやく案内板を見つけてそれを頼りになんとか到着。

伊勢丹っぱい雰囲気の店内はハイファッション過ぎてついていけず、居心地はあまりよくない。家人のお目当ては限定品の紅茶らしかったが今は取り扱っておらず、似たものを購入。

それからシティースーパーに行ったが、コンセプトが日本の高級スーパーということで日本製品の取扱量が多く、あまり目新しい品に出会えずやや消化不良。帰りがけビクトリアズシークレットの店を初めて見かけたが、店先ですら甘ったるい香りがしていてなんだか凄いなと思わせられた。(余談だが、帰りの機場快線でひとりここの小さな紙袋一つだけ持ち、「HONGKONG」と書かれた真っ赤な帽子をかぶっていたマレー系の中年男性に出会ったが、なかなかのインパクトがあった。)

腹ごなしに干諾道沿いのペデストリアンデッキを通って上環まで歩いて帰ったが、マカオフェリーターミナル横に小さな公園があって九龍側の夜景が臨めたのでしばし小休止。帰国前夜に香港らしい景色を眺めるひと時が過ごせて良かった。
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↑スカイ100のイルミネーションの芸の細かさに感服。

翌朝、買い足りないものをパークンで買おうと中環の坂を登っていく。ここなどいかにも香港島という景色で心が弾む。
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目当てのパークンは泰昌餅家本店の裏手に入口があったが、路上市場のテントに隠れて見つけずらかった。

↑セブンイレブンのはす向かいに小さな入口があり。

ここでも家人がガーデンのチョコレート菓子など細々した土産を購入。帰りがけ九記牛腩の前を通ったら、大量の伊麺が店先に無造作に置かれていた。
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いよいよホテルをチェックアウトして香港老飯店へ徒歩で行き、食事後は干諾道×機利文道近くから前夜通ったペデストリアンデッキに上がって香港駅まで歩いていったが、5-6分で到着して思ったよりも随分近かった。


↑この右手のエスカレーターからデッキへ

グーグルマップのルート検索だと妙に海側を大回りするルートを推奨されるが、この行き方だとすんなりしていて苦にならなかった。到着時と同じように予めネットで購入しておいた割引チケットを使って空港までは機場快線ですんなり移動。LCCであるバニラエアの宿命でチェックインしてから搭乗口まで大移動(30分以上かかった)してちょっとぐったり。待合でやっていた沙田競馬場の実況を見る気も失せて、しずしずと搭乗して帰国と相成った。
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2017年1月25日 (水)

香港飲食男女Ⅲ-25:龍皇酒家

【龍皇酒家】
買い出しが終わって広々としたホテルでのんびりしている内にあっという間に夕方になった。家人はこの旅でまだまともな鳩のローストに出会っていないのを口惜しく感じていて、タブレットにかぶりついて近隣の店の探索に勤しんでいた。

ではこちらもと「上環 粤菜」でオープンライスを検索したところ「唐宮小聚」が上位に挙がってきた。ホテルから歩いて3分、鳩も売りにしているようだが、「唐宮」が若者向けに作った店ということで妙に小奇麗で女子向け感が強い。

ではその「唐宮」の本拠地に行こうかと思って調べたら、信頼している「香港次どこブログ」さんに「店名が変わって龍皇飯店となってます。引き続き名物の鳩はあります。」という記事に出会って、ここにするか…とさらに調べたら、なんと一昨日行った「上海緑楊邨酒家」と同じWTCビルの一つ上の階にあるという。

これも何かの巡りあわせだろうとホテルのフロントに早速予約を頼むと「18時から1時間半だったらOK」とのことだったので滑り込みで席を確保し、またしても銅鑼湾の世貿中心ビルに足を運ぶこととなった。

こちらは緑楊邨とは違って窓がないホールに通されたが、開店直後というのに席は7割方埋まり、奥の宴会席からはどっと歓声も上がって何やら活気に満ちている。メニューには写真はなく、漢字と英語から類推して選択し、紙に書いて渡すとすんなり注文が通った。

前菜替わりの「金蒜陳醋拍青瓜」はにんにくと黒酢、微かなスパイスを叩ききゅうりに和えたもの。口がさっぱりとして胃をノックするにはちょうど良い。

そして待ちかねたこの店自慢の鳩のロースト(潤焼妙齢鴿)が登場。
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見た目は少しやせた感じだったが、「潤焼」と銘打つ通り肉汁の滴り具合がかなりのもので、ようやく満足のいく一品に出会えて満足。

季節野菜の炒めは「田翠八景」と称していて、その名に違わず様々な野菜が一皿の上で競演していた。
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そのいずれもが抜群の火の通りで歯触りが良く、噛めば各々の風味がぐんと口に広がっていく。ごくあっさりとした塩味が素材ごとの味わいの違いをより鮮明にしていて、その加減たるや実に心憎い。また正式な名称は判らなかったが、なめこに似たきのこの歯触りの心地よさは特筆すべきものだった。

最後に登場した「蟹肉粉絲煲」は実にかぐわしい湯気を立て、ジュウジュウいいながら土鍋に入って登場。
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家鴨の水掻きやナマコなど高級乾物ばかりをひたすら食べていた隣の普通語使いの接待客が羨ましげにこちらを見入っていたが、「どんなもんだい!」と鼻を明かしたように思われて気分がいい。

春雨には甘からずしょっぱからず実に絶妙に味付けが施されており、蟹肉のあっさりした身の甘みと味の均整が取れていてとても良かった。また鍋底には紫玉ねぎが敷かれていて、これが春雨の焦げ付きを防ぎつつ、玉ねぎ自身が飴色になって甘みと香りを放つ算段となっていて、よく考えられているなぁと感心した。

〆にはココナッツと金木犀のゼリー(椰香桂花糕)を頼んだが、金木犀の花の香りが心を溶かす一品で、品の良い甘みといい申し分ないデザートだった。
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ここ数年で一気に店を増やしている勢いのある店のようだが、どの皿も工夫と適切な調理を感じさせて完成度が高く、その割に給仕係がフランクでチャーミングなところも気張らずに済んで居心地がいい。

お運びのおばちゃんに「マイダン(埋単)」と伝えたら「お客さんのは本土の発音だねー。香港だとマイタ~ンだよ。ところで日本語ではなんて言うの?」と屈託なげに話しかけて来るので「オ・カ・イ・ケ・イ。不知道吗?(知らない?)」と答えると、目をぱちくりさせて「不知道~!」と言いながら勘定書きを持って行ってくれた。

店に勢いがあるからか、働いている人は皆きびきびと活気に溢れていて、それが食欲を大いに刺激してくれる。そういう好循環の只中でこの店に出会えたのはとても幸運なことだった。以上にビール2本、サービス料10%で523ドルは納得の勘定。旨い広東料理を食べたいという時には真っ先に思い浮かべることになりそうな良店だった。

2017年1月24日 (火)

香港飲食男女Ⅲ-24:生記清湯牛腩麺家・生記粥品専家

ホテルを出てマーサーストリートの突き当りの階段を上り、
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↑写真はネットから引用

少し東に行ってこのone96の横の暗い細道を抜けると九記牛腩の麓に出る。
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しかし階段を見上げると14時半にしてこの行列。
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家人は思い入れが強いのでそれでも並ぼうとしたが、流石に30人近い待ちでは小一時間程度待たされるだろうと判断して断念、そういうこともあろうかと調べておいたホテル裏の「生記清湯牛腩麺」に向かう。

こちらも店の入り口の前に人だかりが出来ていたが、持ち帰りの客がたむろしていただけで、店員に声をかけるとすぐに奥の方の席に通してもらえた。ここは迷わず大名物の清湯牛腩麺を頼むと程なくして運ばれる。
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ささにごりした出汁からはいい香りが立ち上り、これは良さそうだなと啜ってみると、深い味わいながら後口がさっぱりとした仕上がりでとても美味しい。バラ肉もよく煮込んであってほろりと崩れ、噛み締めた時に感じる旨味やふるふるとしたゼラチン質の旨さは九記に遜色ないと感じられた。

麺が旨かったので粥も旨いだろうと翌日の朝には粥屋の方の「生記粥品専家」にも行く。活気あるおばちゃん店員の声が行きかい、厨房の粥の鍋からは絶え間なく湯気がのぼっていて、まだ朝が明けたばかりの眠たげな暗い通りと比べると、店内には溌剌とした明るさがあった。

ここでは定番の痩肉皮蛋粥を頼んだが、肉が独特。加熱する前にミンチ肉を何度も何度も執念深くかき混ぜて細い繊維状に仕上げているようで、まるでコンビーフが混ぜ込まれたような感じになっている。(最初は出汁取りの干し貝柱かなと思ったほど。)
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↑麺・粥ともに36ドルだったと記憶。

噛み締めると肉の風味が広がり、細切り肉よりもきちんと火が通るので衛生的にも理に適っている。葱としょうがは別皿で頼まねばならないが、念の入った美味しい粥が食べられてとても満足した。

2017年1月23日 (月)

香港飲食男女Ⅲ-23:上環で買い出し

ホテル至近のあちこちを回って買い出し。下記の地図のようにぐるっと歩き、効率的に回れた。


覗いてみようと思っていた珍妮曲奇(ジェニーベーカリー)は旧正月前で品不足になり急遽上環の店は閉店したとのことだったので、まずは永楽街へ出て利工民へ行く。

【利工民】
ここの極薄生地の下着は酷暑に見舞われるようになった日本の夏を乗り切るのに欠かせない。前回の旅では電灯印の「光華」を購入したが、やや生地の目が詰まっていて通気性にかけた。そこで今回は最高級ライン「金鹿」の一つ下「藍鹿」ラインのU字ネック「V領文化」を購入。
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珍しくセールを行っていたので、10%オフの184ドルで買えた。正月は真新しい下着でという習慣を守っているだろうご高齢の方で店が賑わっていて少しほっとした。

【安記海味】
ここは随分手広く商売をするようになって、あちこちに支店が出来ているらしい。他に比べて客の賑わいが目立っていて、やはり流行っているようだ。目当ては蝦粉と木耳だったが、前回買って歯応えが抜群だった「頂級雲耳片」(4両=150g)は見つかったし、しかも前回より安かった。(37.5ドル)しかし蝦粉は見当たらず。
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【林奇苑茶行】
前回は日本語の堪能なお姉さんと試飲して語らいながら納得して購入することができたが、今回は大旦那時代からの常連らしき老婆が座っていて試飲は出来ず。またあのお姉さんもいなくて、代わりに「日本人か?」「これいい匂いだから嗅いで嗅いで」「ジャスミン、花茶、鉄観音あるよ」と忙しなく畳みかけるようなセールスをする店員になっていてちょっと辟易した。

やむなく「有没有”肉桂”?」と普通語で言ったら、とたんにしゅんとして棚の上の方にあるそれを取ってくれる。そこからは静かになったので品定めして、壽眉も半斤ばかり追加。かなり観光客寄りにシフトしていて少し残念だったが、肉桂75g120ドル、壽眉300g70ドルと値段はまずまず納得の水準だったので良しとしよう。
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【安利製麺廠】
カラフルな練り込み麺やパッケージの愛らしさがあって女子受けが良い乾麺の店らしく、林奇行から20mほど行ったところだったので家人の希望で立ち寄る。間口の狭い店に綺麗に各種麺が陳列していて、それこそ焼菓子の店のようにも見えた。購入した鶏蛋麺を帰京後食べてみたが、香港の麺家で出てくるあのプチプチした食感が略再現されていて感心した。
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↑和風だしにつみれと青菜を入れてみた

【正隆行食品】
ここも安記海味とともにここ数年で急成長しているようで、いまやコンビニにも商品を置くようになったらしい。店に行ったらあの閑散とした素っ気ない店内は改装されていて、店員は明るくテキパキと働いていて客でごったがえしていた。盛業でなによりのことだ。

前回買って美味しかった話梅(干し梅)を探すと一気に種類が増えていてどれか判らず。店員に試食をお願いしてようやく「甘甜大話梅」と判り、4両(150g)欲しいと言ったらちょっと困ったような顔をして、量りの設定を変更し始めた。どうやらここは磅(ポンド)単位の量り売りだったらしい。なので少し多目の半磅(1ポンド450gなので225g)と言えば面倒をかけずに済んだようだ。次回からは気をつけよう。150gで18ドル。
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↑右上が安利製麺廠の鶏蛋麺、下が甘甜大話梅。

【永成参燕荘】
家人が買おうと思っていた棗・蓮の実・クコの実が正隆行には売っていなかったので、通りに並んでいる乾物屋を一軒ずつ覗いていたら、ここに揃っていた。
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↑住所は永楽街130

ただ量が多かったので家人が逡巡していると老婆の店員が声をかけてきて、半量に調整して売ってくれた。三種で100ドル。
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【源興香料公司】
もともと佐敦にある源興美食を調べていたらこちらの香料公司の方が出てきて、少量でも量り売りしてくれると書いてあったので、消費量の多い八角と自分で摘んで作っている青山椒(この店では四川青麻椒として売っている)を買おうと街市から少し坂と階段を上って店へ。店頭にはどんとスパイスが並んでいてエキゾチックな香りがふわりと漂う。
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「八角100公斤、青麻椒100公斤」と書いてご主人に渡すと、こくりと肯いておもむろに巨大な封入袋を持ち出し、スコップ山盛りに八角をすくって入れようとする。「ノーノー、ワンハンドレッド、プリーズ」と出川哲郎並の英語でアピールすると、ああ、そういうことという表情をして、希望通り各々100gでパッキングしてもらえた。(二つで52ドル)

しかし、これは私のミスでグラム(公克)のつもりでキロ(公斤)と書いてしまったのがいけなかった。申し訳ないことをした。買い出し時にはよくよく重さの単位と相関を頭に入れて準備することが肝要だと知った。
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夜には上環駅直上のウェルカムでいつも買う四川火鍋の素(3つで18ドル)と美味しそうに見えたトリュフチョコを購入。ルメトルというベルギーのチョコレートメーカーのものだったが、口どけがふわっとしていて美味しかった。日本だと600円するようだが、この時は23ドルだったので随分安く買えた。また、ずっと探した金象印の香米は2kgサイズが無かったので、金鳳印のものを初めて買ったが、遜色ない香りで一安心した。
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やはり、上環は買い出しには便利で楽しいところだった。
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2017年1月22日 (日)

香港飲食男女Ⅲ-22:シタディーンマーサー香港

そうは言っても冬ではあるし流石に5泊も湯船に浸かれないとしんどいかなと思って、最終日買い出しをする香港島上環付近でバスタブありのホテルを探したところ辿り着いたのがここシタディーンマーサー。シタディーンはホテルブランドで、マーサーというのはホテルが位置する孖沙街(マーサーストリート)に由来するようだ。
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↑またもやペンシルビル(写真はネットから引用)

買い出しする店もほとんどが歩いて5分程度の所にあり、よく行く九記牛腩もあのジェニーベーカリーも至近、麺と粥で有名な生記は1分とかからない。上環駅からは3分、行きつけの香港老飯店が北角から上環に移転してきていてここも近く、機場快線の香港駅も徒歩圏内。

最終日を過ごすにはまたとないロケーションだったので、ホテルズドットコムのマスターカード決済12%オフキャンペーンを使って、真ん中のクラスのスタジオプレミアを予約。1か月と少し前だったが、1泊22,000円ちょっとだった。

太子のルプラベルホテルを昼前に出てここのフロントには12時半には到着。チェックインは14時からだと言われたので先に買い出しに行き、戻ってきて部屋に入る。26階の部屋のキーを貰ったが、確かスタジオプレミアは低層階だったはずでは…と思って部屋に入るとやはり1ベッドルームエグゼクティブにアップグレードしてくれていた。(本来だと3万円弱する部屋だったと思う)これはありがたい。

サービスアパートメントだった名残で入って左にキッチンがあり、右にはダイニングテーブル、その向こうに大きなソファとリビングが展開し、ガラスで仕切られたベッドルームにキングサイズベッドとデスク、バスルームがあってかなり広い。前日までのホテルが15㎡でこの部屋が38㎡と一気に2.5倍に広がったのでしばらくはちょっと慣れなかった。
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↑5日ぶりの湯船の気持ち良かったこと・・・

また部屋には備え付けのスマホもあって滞在中は使い放題のようだったが、特段必然性を感じず利用はしなかった。部屋のwi-fiは問題なく、ワンフロア2部屋しかない上に隣は客が居なかったので本当に静かで、ゆったりと滞在することができた。

フロントマンは中心顧客の欧米人にあれこれうるさく言われるからか、やや硬い毅然とした態度だったが、とあるやり取りをしていて向こうが勘違いをしてることに気づいた時には「オーップス」と言いながら実にいい笑顔を見せて、なんだかほっとした気持ちになった。また、夜のレストランの予約も粘ってなんとかテーブルを確保してくれたし、黙っていても部屋をアップグレードしてくれたりするなど、素っ気ないように見えて顧客志向性は高いと感じられた。そのお蔭で何不自由なく長旅の疲れを癒すことができてありがたかった。

ホテルライクなサービスは不要だが、ゆったりと広い部屋にそこそこの値段で泊まりたいという方には好都合なホテルだと思う。

2017年1月21日 (土)

香港飲食男女Ⅲ-21:エッグタルト食べ比べ・凱施餅店

5日目。午後に上環のホテルへ移動するので、午前中は深水埗へ出てちょっと散歩し、豆乳と蛋撻を買い込んできて朝飯代わりにしようという算段。

まずはホテルからすぐの金華冰廳へ行き、大名物のパイナップルパンではなく蛋撻を二つ購入。8時過ぎだったがほんのり暖かい。
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そのまま旺角まで行ってMTRに乗り、深水埗の公和へ。直前に「衛生設備が不可判定となり、店内では飲食できなくなった」という現地紙の記事を見ていたので、持ち帰りにする。初めて行ったからよくはわからないが、店は確かにがらんどうとなっていて、客席は無かった。家人に注文を任せたら、希望の温かいものでなく冷たい豆乳でしかも甘くちょっと残念。これなら
維他奶で充分事足りる。
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そこから西九龍中心に寄って、蛋撻で有名だという泰昌でパイ生地のものとクッキー生地のもの両方を買って帰る。
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↑こちらは原味の方

この旅では随分蛋撻を食べたが、個人的には泰昌(原味)>泰昌(酥皮)=多多餅店=金華=凱施餅店という評価になった。多多と金華、泰昌(酥皮=パイ生地)は味が似ていて、カスタードのクリーミーさが勝つタイプ。
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↑多多餅店の
葡式蛋撻。葡式6.5ドル、港式3.5ドル。差の理由は判らず。


凱施餅店は玉子の味が強く、どこか手作りプリンを思わせる素朴な風味があって、個人的にはそこが気に入っている。
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↑石澳の浜辺で頬張った凱施餅店のもの。

一番の泰昌(原味)はクッキー生地になっていてさくっと香ばしく、その上塩気があり、それがカスタードクリームの甘さを際立たせ、味に奥行きを与えている。その点で他のものより頭一つ抜けていると感じた。

ただし、えげつないと噂される稲香グループに買収されてから、ここ2年ほどでどんどん値段が上がっているようで、他のパン屋では大概4-5ドルなのにここの西九龍中心店では6.5ドルした。驚くことに翌日訪問した中環の本店では9ドルだった。一物二価という異常な手段をとっているのは、本店に日本人と韓国人が来ては大量購入するからのようで、店内には日本語とハングル語が踊っていた。

滞在中グループの店でプラスチック製の米を使っていると指摘され問題になっていた稲香Grなのでその継続性に疑義はつくものの、今なら泰昌(原味、除く本店)だろうと思う。

【凱施餅店】
前回の旅で蛋撻を食べて美味しかったので調べたら、ホテル至近の太子駅前に店を出していたので滞在中何度も足を運んだ。
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ここは店内に窯があってそこでパンを焼く方式で、そのきちんとした味が支持を得ているらしくあちこちの駅前でその姿を見かけた。前述の蛋撻も水準の出来でまずまずだったが、はまってしまったのはマンゴープリン。
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マンゴーが熟す時期だったからか、果実の濃縮感たっぷりのプリンが実に旨く、その上にさいの目に切ったマンゴーが乗り、ご丁寧にもマンゴーゼリーを薄くかけまわして果実がゴロゴロ転がってしまうのを防止している。

この心配りはもちろん味にも及んでいて、クリーム味でごまかし気味のしゃばいものが多い中、マンゴー度が極めて高くて小さめのカップでも十分に満足できた。(許留山で食べたものよりも個人的には良かった。)これで14ドルというのは誠にお安く、ついでに買った豆沙餅(あんこ入り焼餅)も甘さが程よくいい出来だった。

気に入りすぎて日本でのばらまき用お菓子もこちらの上環店であんこパイ(豆沙酥)にしたほど。これは一つ3ドルで、個包装されているのでこちらのニーズに持って来いのものだった。
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手頃に美味しい甘味が買える店なので、次回以降も重宝しそうだ。

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↑ケーキ類も見目麗しくいずれも美味しそうだった

2017年1月20日 (金)

香港飲食男女Ⅲ-20:鳳城酒家

【鳳城酒家】
前回の旅で訪れた「陵發潮州白粥」がホテル至近だったので今回も行こうかなと調べてみたら、香港にワーキングホリデーで行き様々な料理店で修業された方の記事に出会った。その方が一番お世話になったのが「鳳城酒家」で、焼き場専門の厨師が毎日名代の「化皮乳猪」(子豚のロースト)をじゃんじゃん焼いているという。調べてみると、なんとホテルの真裏という立地。

これは行かねばと20時半ごろ予約もしないで行ってみると、店は9割の入りでうまいことすぐにテーブルにありつけた。連日のご馳走尽くしに胃は疲れ気味。簡素なメニューにはこの店が売りとしている順徳菜(広東省では名厨師を輩出する地域として知られ、福臨門の創業者もここの出身とのこと。道理でメニューが似ている。)のあれこれが載っていてどれも試してみたくなる誘惑にかられたが、身体と相談して大名物「化皮乳猪」」と「八宝豆腐羹」、それに白飯にビールを注文。

ビールを頼んだ突き出しなのか、小碗で大根・きゅうり・人参のピクルスが出されたが、これが疲れ気味の胃には好適な一服の清涼剤となり、あまりのおいしさにおかわりを所望したら、快く応じてくれてありがたかった。
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そして”馳名”と銘打って店が自信を持っている化皮乳猪が到着。見事な焼き上がりの姿に期待が高まる。
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早速口にしてみると、表面のごく薄い皮の部分が薄玻璃のように繊細に砕けて、その度に香ばしさが口腔を覆う。仔豚だけに脂身がさほどついておらず、肉質も筋肉の成長途上だからふんわりとしていて、全体にあっさりと品の良い風味にまとまっている。なるほどこれはいい。

八宝豆腐は結構な大鉢で登場。叉焼、海老、グリーンピース、溶き卵、椎茸など五目炒飯に入る具材が豆腐とともにあっさりとしたスープで煮込まれているもので、これもあえぎ気味だった胃の腑に沁みわたって、なんだか昼寝をしている時に上掛けをかけてもらった時の有難味を感じた。
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↑これは取り分け後の写真。

実は二日目の昼には飲茶にも訪れていて、その際には山竹牛肉丸(筍入り牛肉団子)が驚きの弾力とボリュームでとても良かったし、合桃叉焼
もさくっと甘い生地と叉焼の甘辛さがよく合っていて美味しかった。
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↑山竹牛肉丸
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↑合桃叉焼
酥。合桃とは胡桃のことのよう。

ただ信頼している香港のブロガーKC氏推奨の上湯炸粉果は皮があまくて今一つ自分には合わず。また家人が頼んだ鮮蝦腐竹巻(海老すり身の湯葉巻揚げ)は冷めていてちょっと残念。
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↑揚げたてでさくっとしているところは良かった。
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↑昼には早い時間だったから早茶の残りか

それでも夜でその実力の片鱗は垣間見えたので、こんどは灌湯餃(スープ入り餃子)や店お勧めの順徳菜を頼んで色々と食べ比べてみたい。参考:夜=410ドル、昼=130ドル
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2017年1月19日 (木)

香港飲食男女Ⅲ-19:帝京軒

【帝京軒】
前夜、ハッピーバレーの競馬で儲かった分、昼は少し奮発しようと歴史博物館から紅磡へ行き、東鉄線でひと駅の旺角東駅にある帝京軒へ向かった。

駅上にある帝京酒店のダイニング部門ということですぐに行けるだろうと思ったら、予想外に複雑な造りでなかなか見当たらず。ようやくホテルマンらしき人がいたので「我想去”帝京軒”」と書いて見せたら、にっこり笑って英語で話しかけてきて誘導してくれた。

途中で案内板が出てきてもう大丈夫だと「オーケー、アイ シー」と伝えたら、”Do you have a table?”(予約はありますか?)と聞かれ、「ノー」と答えたら「では、このままお連れして確認いたします。」と誠に丁重。店の入り口で係りに引き継いで笑顔のまま去っていった。実に慇懃であっという間に帝京酒店の贔屓になってしまった。

13:30過ぎの入店だったが、席は半分ほどの入りで着席すると「14:30ラストオーダーになりますが、良いですか?」と確認が入る。こういうところも細やかで流石はホテルのレストラン。
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席にはお昼のお得な点心セットを中心としたオーダーシートのみ置かれていたのでグランドメニューをお願いすると、こちらのものは写真の掲載がなかった。可能な限り創造を逞しくしてし「露竹帯子餃」「三菰珍菌豆腐」はシートにチェックして、「脆皮鶏 (半隻)」は紙に書いて注文。

「露竹」はやはりアスパラ。透けた皮から見える緑が鮮やかで、帆立のほのかな甘みもいい。
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家人の希望であった鳩のローストが無かったので鶏のロースト。脆皮感は少なかったが、身質はしっとりしていて、また肉にしみこんだ下味がいかにも粤式焼味という感じでとても美味しい。家人も危うく鳩から宗旨替えするくらいのものだった。
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一番良かったのはきのこ類と豆腐の煮込み。見た目は地味だが、揚げた豆腐には深奥まで味が行き届いており、キヌガサタケ、エリンギ、しめじは抜群の歯応えを保っていて、豆腐のフルフル感とのコントラストが後を引く。普通に見えて技巧が冴えわたっているところが心憎く、ホテルダイニングの底力を見せられた思いがした。
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↑キヌガサタケが揚げ豆腐の上に覆いかぶさっている。

鶏が208ドルとなかなかの値段で、更にビールがいわゆるホテル価格だったので、以上にビール1本で550ドルほど。お値段はやや張るものの、その分が味に反映されていたので納得の内容。早朝から点心もやっているというので、次の旅の宿泊候補としても検討してみたい。

2017年1月18日 (水)

香港飲食男女Ⅲ-18:香港歴史博物館

香港公園から金鐘駅に戻る途中、バスターミナルを発見。地下鉄の尖沙咀駅から歴史博物館まで歩くのは距離があって面倒だから、バスで紅磡辺りまで行けないかな・・・と標示を見てみると、104系統なら海底トンネルを抜けて行けることが判明したのでそれにすることにした。

やや道が混んでいて時間は40分ほどかかったが、湾仔の海岸沿いでは再開発の様子も見ることができたのでなかなか楽しめた。海底隧道收費廣場で下車し、香港理工大学のキャンパスを南西に横切っていくと香港歴史博物館に到着。
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↑キャンパス内のこっちの方向に通り抜け可。

この施設も無料で、しかもクロークまであったので、手荷物を預けてからゆったりと見学。スタートは4億年前から。
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この原始時代の展示はちょっとな…と思っていたが、漢代に入ると日本の弥生式土器そっくりの出土物が展示されていて俄然興味が湧いてくる。やがて時代を経ていよいよ英国統治下、今の香港の祖型にさしかかる辺りで一気に展示物が大型化。
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↑これはジャンク船
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↑こちらはお祭りに使われていた飾りのよう。

当時の街並みを再現した展示には乾物屋、茶楼、銀行などが立ち並んでいて一つの街を形成。新横浜ラーメン博物館みたいな雰囲気。
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茶楼は中に入ることが出来、入口には飲茶の成り立ちの説明もあり。
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↑中文
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↑英文
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↑他の展示で見かけた茶楼の発展に関する説明。富裕層のサロン的に展開していたとの説明とともに男だらけの写真が。当時は点心のお運びさんもおばちゃんでなく若くて美しい女性が妍を競う勢いがあって、今日はこちらで明日はあちらで名花を眺めては茶を嗜むという雰囲気だったとどこかで読んだ。当時は日本もカフェーの女給といえばそうした役割を担っていたし、この時代の流行のスタイルだったのだろう。


二階に上がる階段を昇ると、往時の茶樓を偲ばせるかなり凝った作りになっていて、思わず「ここで茶を喫せればな…」と夢想して席に座っていたら「座っちゃダメ」と係員に注意された。(注意書きには「椅子や机の位置を動かさないこと」としか書かれていなかったはずだが・・・)
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迷路のような道を抜けるといきなり洋館のベランダに出て、目の前にはポンポン船が停泊していたり、
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さらに行くと日本の占領下での人々の苦難が偲ばれる展示も出てきて目まぐるしい。

戦後の香港の発展のコーナーにあった、ポップでキッチュな当時の茶餐庁は非常に心惹かれてここでも「冷たいレモンティーが飲めればな…」と思ってしまう。
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最後は中国への返還式典の様子がビデオ上映されていて、旅の直前に星野博美の「転がる香港に苔は生えない」を読んでいたから、なおさら興味を惹かれるものがあった。
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全体に大充実の展示で、香港の成り立ちがよくわかるし、これで無料というのは申し訳ないぐらいに感じた。一度は足を運んでみる価値があると思う。

2017年1月17日 (火)

香港飲食男女Ⅲ-17:富記粥品・香港茶具文物館

4日目。雨予報の一日で博物館めぐりを中心に。ただ、さすがに前半で飛ばし過ぎて疲れが溜まったので、この日は朝ゆっくり目にホテルを出る。

【富記粥品】
太子~旺角近辺で粥となると,ここか旺角街市の中にある妹記ということになるようだ。妹記の方は観光客に名が知られて日本語メニューもあるそうだが、あまり観光客ずれしていないほうがいいなと思い、富記へ向かう。

店は太子駅からでもさして遠いとは感じず、旺角の街市もすぐ近くだったからぶらぶら覗いてから来るのも悪くなさそうだ。連日痩肉皮蛋粥ばかり食べていたので、今日は目先を変えて及第粥にする。
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及第とはその昔、中国の科挙にトップで合格することを指し、その受験生は身体が温まって栄養もつくこのモツ入り粥を食べて夜なべの勉強に励み、難関を突破していったと聞いている


それはそうとして、少し冷えた曇り空の日に満々と粥をたたえた丼から立ち上る湯気は心をソワソワさせる誘惑があり、運ばれるやいなや誠にかぐわしく、見ただけで「これなら及第点」という粥を目の前にして、思わず笑みがこぼれる。
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豚のガツやコブクロ、レバーがかた過ぎず、かといって煮込みすぎず、好い加減で粥にまじりあっていて、噛むほどにその臓器ごとの個性が奔出してくるのが及第粥の特筆すべき点で、こちらのものは見た目に違わず至極真っ当な美味しいものだった。また何度か啜っている内に出汁に使った干し貝柱に出会ったので、手間と材料を惜しまず作っていることが伺われた。

油条(揚げパン)は朝の遅い時間だったからかもう一つだったが、それでも香ばしさが味の変化に一役買ってなかなか良かった。
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昼や夜には焼臘類も揃い、魚と野菜の炒めたのや揚州炒飯なども画像を見る限りはおいしそうだったから、手頃な街中華的に使うには重宝しそうな店だ。
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↑粥35ドル×2、油条12ドルで82ドル。

【香港茶具文物館】
旺角からMTRで金鐘へ。太古広場を抜けるとそこが香港公園だった。
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この辺りはほとんど来たことが無かったが、狭い香港島の中枢にこんなに広い公園が整備されているとは知らなかった。中国銀行のビルとのコントラストがなかなかいい。
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目当ては公園内にある香港茶具文物館。コロニアル様式を今に伝える堂々とした建物が、往時の英国統治を偲ばせる。
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ここは一大豆乳ブランド「維他奶(ビタソイ)」の創業者が所有していた茶器を中心とするコレクションが展示されていて、その寄贈を受けた政庁が運営しており、今は無料で見学できる施設として開放されている。

地元民にとっては目新しさがなく、観光客には知られていないようで、客はほとんどいなかった。1階は茶と茶器の歴史、2階は企画展示としているようで、この時は香港の現役作家や学生たちの作品展が開かれていた。なかなかアバンギャルドな作品が多かった中、こちらの饅頭と蒸籠を模したものは精緻でほのぼのとしており、ちょっと欲しいなと思ってしまった。
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さささっと見て、土産物屋もスルーして次なる目的地「香港歴史博物館」へ。

2017年1月16日 (月)

香港飲食男女Ⅲ-16:ハッピーバレーでナイター競馬

水曜日に香港にいることが無かったので、初めてハッピーバレー(跑馬地)競馬場へと足を運ぶ。世貿中心近くからトラムに乗って10分ほどで跑馬地ターミナル駅に到着。
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どのトラムも競馬場行の客で混み合っていて、香港での競馬人気の高さがうかがえた。トラム駅は第3コーナー入口付近にあり、コーナーに沿った歩道を行くと第4コーナーの終わり辺りに一般客用入場門がある。オクトパスカードで入場料(10ドル)を支払って中に入ると今日はインドフェスティバルが開催されているようで、ステージではマサラムービーさながらの歌と踊りが展開され、その前のビアコーナーは仕事終わりの欧米人がガプガプビールを飲んで盛り上がっている。日本の競馬場とは別次元の盛り上がりぶりに少し気圧される。
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パドックはゴール前にあって、そこに行って周回を待つが全体に騒々しい場内になれずなかなか馬体チェックに集中できない。最初の馬券は外れ。
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雰囲気は楽しめたのでもうひとレースだけやろうと家人に提案し、こんどは少し落ち着いてパドックに集中し5番の複勝を購入。家人も念入りにパドックで馬をチェックして、2-5のワイドを購入。
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レースは単勝20倍くらいの5番「紫電明珠」が二番手につけてなかなかの好位置。
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向こう正面でかかり気味に先頭に立ってそのまま4コーナーを回ると意外にしぶとい足を発揮。
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ゴール前では差しかえす勢いとなり、そのまま2着でゴールして複勝4.3倍的中。
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「おーやったねー」と家人が祝意を述べた直後、電光掲示板にレース結果が映し出された。

その時。

「当たってる!これ当たってる!2着3着で当たってる!」と家人が興奮気味に声を上げる。確かに…確かに当たってる!
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↑いつの間にやら2番「好運有利」が突っ込んできていて
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↑3着に来ている!

しかも・・・ワイドで59倍超!なんたる高配当。しかも一点買いとは恐れ入る。
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(以上レース映像と結果はHKJCホームページから引用)

二人してそそくさと払い戻しに向かうと購入した時と同じ劉さんの窓口だ。ポーカーフェイスを崩さない劉さんも、人気薄の複勝・ワイド共に一点買いで的中という離れ業に一瞬びっくりした表情を見せた後、札束をぺらぺらと再鑑してから払い戻してくれた。
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↑劉先生、多謝!

30ドル(450円)賭けて676ドル(10,140円)と大勝利。さぁさぁ勝ち逃げしましょうと競馬場を後にしてバス停へ向かう。その途上もあまりの幸運に興奮気味で、予定していた102Rの競馬開催日臨時バスが見当たらず彷徨ったものの、諦めずに海底トンネル方面に続く堅拿道西まで行ったら171茘枝角行きを発見。
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これもトンネルを抜けて彌敦道を北上するようだったので乗り込んで「旺角・鴉蘭街」で降りたら太子駅頭上、ホテルの真裏の鳳城酒家前に到着。セブンイレブンでビールを買ってとりあえずのささやかな乾杯をして、家人の目利きぶりを改めて讃えた。


その後テレビで最終レースをやっていたのでエア馬券検討をしたら、またも複勝1点で的中することができた。
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パドック派の二人なら今日はもっと大勝ち出来たかもしれないが、欲をかくとろくでもないことになるので、早めに切り上げて正解だったかもしれない。自分の競馬史上に残る一夜を過ごせて大満足の跑馬地行きだった。
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↑波乱の主役、好運有利号。その名の通りラッキープロフィットをもたらしてくれた。

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2017年1月15日 (日)

香港飲食男女Ⅲ-15:上海緑楊邨酒家

【上海緑楊邨酒家】
前回の旅で課題店として残っていたこちら。上海と銘打っているものの、揚州や杭州などいわゆる江南圏の料理が一通りあってそのいずれもが旨そうなのだが、ここ数年オープンライスの投稿が少なく最近の実態は判らなかった。

それでも調べてみると、今でも揚州から厨師を呼び寄せていて、お目当ての「宮廷富貴花」は二日前までの予約なら注文できるようなので、思い切って足を運んでみた。

店は銅鑼湾のそごう裏にある世貿中心(WTC)の11階にあり、エレベーターを降りるとモダンな飾りが施された鏡が天井まで巡らされていて一寸高級感を感じる。
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開店直後に行ったので席はまばらにしか埋まっていなかったからか、ビクトリア湾を臨むハーバービューの席に通される。まだ夜になる前だったので景色が楽しめて気持ちも上がる。
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メニューは杭州の新開元酒店と同じく写真をふんだんに使った分厚いもので、予想外のことに日本語まで添えてある。しかも間違った日本語使いは一つもなく、その念入りなことに驚かされる。
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予め予約しておいた「宮廷富貴花」に加え、「三鮮煮乾絲」「糖醋排骨」「家常酸菜魚片」それに青島ビールを注文。

お待ちかねの宮廷富貴花はそれは見事な姿で、庖丁の技の高さで知られる揚州厨師の伝統を存分に感じられるものだった。花はごく薄く切られた大根の酢漬けで芯にパプリカを巻いては置き巻いては置きして大輪の花を咲かせていた。葉の部分はきゅうりの細工切り、幹の部分は椎茸の煮たものとなっていて、目に入るものすべて食べられることができる。
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宴会の前菜がこれで始まればパッと座も華やぐだろうし、実に趣向を凝らした一品でその腕前に唸らされた。(値段は推定で140ドルくらい)

干豆腐の千切りと海鮮の白湯煮は揚州でも食べた一品。白湯は見た目ほどくどくなくてコク深い。それを吸った干豆腐はあたかも麺のようで、空腹を満たすにはもってこいのものだった。
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黒酢酢豚だと思って頼んだ糖醋排骨は赤々しい姿で登場したので「あれ、ケチャップ味なのか…」と残念に思ったらさにあらず。黒酢よりえぐみの少ない紅酢で作ってあるようだ。
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↑ピンボケしているが大変おいしい。

そして酸味も甘さも絶妙な加減に抑えられていて、全体の味はギトつかずあくまで優美な味わいを保っているのに驚く。勿論肉の火入れの加減も申し分なく、しっくりと歯に絡みつく感じがあって色っぽかった。

酸菜魚片は「魚と酸っぱい漬物の炒め」と書いてあったが、実際にはコンロ付きの土鍋が卓に持ってこられて、これは予想外の展開。
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しかし、少し唐辛子の利いたあっさり目のスープに酸菜の淡い酸味が移り、そこに草魚の滑らかな身がほろりと崩れては旨味を添えて実に美味しい。香菜も乗っていたのでトムヤムクンに近い感じを覚えたが、これはいわゆる川
料理だろうか?(文化大革命前後に農村と都市の人的移動を強制されて四川省から上海に移住させたれた人々によってもたらされた料理があると聞いている)

お勘定は600ドルちょっとだったが、雰囲気も良く整った味でどれも美味しかったし、きびきびとした少年ウェイターもなんだか懐かしい風情があって、想像以上に良い店だった。味付けも日本人が食べ慣れている江南圏のものだし、立地もいいし、旅行者には使い勝手のいい店ではないかと思う。メニューにはなかったが本当は食べたかった、超絶刀芸が味わえる「文思豆腐羹」を次回は予約して再訪したい。

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