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2017年10月 1日 (日)

無印で冷蔵庫を20%オフで買った後、困惑する

所帯を持って15年以上が経過し、それに伴って諸々の生活用品の買い替え時期が到来した。自転車や扇風機など長く使ってきたものと別れるのはちょっとした哀惜を感じるものだと知った。
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それらの中で最も大物だったのは冷蔵庫だ。
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↑15年物の東芝OEM品。

結婚した時にぜひとも買いたかった無印良品のものは高かったので、OEM供給していた東芝のものを買ったのだが、今は生活に余裕も出てきたので今度こそは無印のものを買おうと様々に情報を収集し、定価の2割引きで手に入れることが出来た。

安く買うには無印良品週間の10%オフ+ルミネカードの10%オフもしくはエポスカードの10%オフの時期に合わせて買うべきと知って、いずれにするか検討したところ、ルミネは新宿店1店舗しか適用とならず、しかも年に1回3月のみとのことで想像を絶する混雑ぶりになり、3₋4時間待ちは当たり前とのこと。自動的に首都圏に4店舗(志木・上野・中野・吉祥寺)あり、年に2回時期が到来する丸井で11月に買うことにした。

事前に年会費無料のエポスカードをこのために作り上野へ。狙いは当たって平日の夜だったがあっさり特設カウンターに誘導されてすんなり購入。エポスカードの入会ポイントも活用して20%オフでゲット。(OEMであるアクアの同型機に比べればそれでも相当割高だが・・・)

ただし、受注生産をしているようで納品が可能な日程を提示できるのは12月下旬とのことで、その連絡があった際には1月中旬に配送してもらう手筈を整えた。我々は良かったが、故障による買い替えはこのタイムラグの関係で事実上不可能であるようだ。この点は留意が必要と思われる。

待ち望むこと十有余年、やっと迎えた冷蔵庫はやはりすっきりしたフォルムが美しく、しばらくはチラチラ見てしまう程嬉しい買い物だった。
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が、しかし。

冷気を作るコンプレッサーが動くと、かなりの騒音が出てくることに次第に困惑するようになった。一度様子を見てもらったが、「今の冷蔵庫はこんなものですよ。コンプレッサーはLGが作ってるのでちょっとわかりかねます。」と無責任に言われ、しばらく様子を見ることに。

すると次第に冷蔵庫の躯体自体がブルブル震えてより大きな音を鳴らすようになり、夜中に目を覚まして「昭和かっ!」と突っ込んでしまう程に悪化。その上、チルド室に入れておいた豆腐や肉類が最弱に設定しても凍ってしまう不具合も起きてしまい、「訳あって、安い」無印も「訳もなく、高い」ようになってしまったのか・・・と嘆いていたら、どういう訳か暖かくなった4月中旬から躯体の振動と騒音はおさまり、チルドの不具合もまれに発生する程度に治まったので、なんとか交換せずに使っている。

無印の冷蔵庫はデザインと引き換えに少しの不具合は甘受する心構えが必要かもしれない。秋に入ってまたブルブル症状が出てきたので、今は底部にある金属板が振動しないようにタオルを丸めて床との隙間に詰め込んで、なんとか気にならない程度に騒音を抑え込んでいる。購入検討のご参考まで。

2017年9月22日 (金)

初秋満喫伊勢原行2:かぶと山温泉山水楼

入浴がてら昼食をとるかぶと山温泉までは日向薬師裏の山道をハイキングがてら歩いていこうかと思っていたが、イノシシの目撃情報やスズメバチの被害などのニュースがあったので、より人里近い道を通って神奈川県立リハビリセンターまで歩き、そこからバスで向かうことにした。

明神橋の北側の細道からは人家も少ない。
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途中林道風だったり、
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廃屋があったり、
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野百合が咲いていたり、
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金木犀の巨木の上を飛行機が飛び去ったり
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と変化に富んでいて飽きない。リハビリセンター裏まで来ると誰にも顧みられることのない彼岸花の群生があり、秘密の花園感があって良かった。
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↑県リハビリセンター。立派。

バスに揺られて5分ほど、終点の七沢で下りるとバス停に「かぶと山温泉」の名前が。
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少し行くと鬱蒼とした森の下り道があって、
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そこをいくと旅館の姿が見えてくる。木漏れ日が玄関先を照らしていて、到着を歓迎してくれているかのようにきらめいていた。
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今回はゆったり過ごそうと個室での食事と入浴がセットになった日帰りコースにしてもらったところ、二階の一室に通された。純和風の設えで心が落ち着く。
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↑ひっそりとした廊下を抜けると・・・
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↑柔らかな午後の日差しが心地良い部屋へ。

食事の前に一風呂浴びにいったが、成分表示にはPH9.7とあって期待も高まる。
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内風呂・露天風呂いずれもこじんまりとしているが、源泉量が限られている中でもかけ流しを堅持する姿勢が感じられて好ましい。
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入ってみると、見事なつるにゅる感で肌触りが大変気持ちいい。ここまでのものは宮城・中山平温泉の丸進別館以来で嬉しくなる。

いい気分で部屋に戻り、ビールで喉を潤すとお待ちかねの昼食が登場。
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前菜五品盛りは酒肴に好適なもずく酢、鱒鮨、いちじく田楽味噌と並んでいて、すぐにお酒に切り替える。七沢にある酒蔵で醸す「盛升」は丹沢の水が良いのか、すっきりさと微かな辛味が口を洗って飽きない味わいで、肴との相性がいい。

続いて栗の白和えに野菜の炊き合わせ。
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栗の素朴な甘みと豆腐の円やかさが調和した白和えも、茄子に入った包丁の精妙さに舌を巻いた炊き合わせも、丁寧な調理と繊細な調味が感じられて実に美味しい。

これにイワナの塩焼と赤だしがついたのでこれで飯を喰い、美しく盛られた水菓子で終宴。
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季節の素材が多用されていて、いずれも確かな調理が施されていたので満足度は高く、家人はうっすら笑みをたたえたままうたた寝して、いかにも幸せそうな様子。こんな近くにこんないい温泉宿があるなんて…と嬉しくなってしまった。

春の山菜や夏の鮎、冬のイノシシもいいですよ、と実直そうなご主人に勧められたので、四季ごとの様々な食材を楽しみに、これからは気軽に骨休めに伺いたい。

2017年9月21日 (木)

初秋満喫伊勢原行1:日向の彼岸花

ここ数年、彼岸花と田園風景が楽しめる伊勢原の日向地区に行きたいと念願していたが、なかなか彼岸花の盛りに日程が合わず煩悶していた。しかし今年はうまく都合があったので、これもまた数年来行きたかった厚木の七沢温泉にあるかぶと山温泉山水楼とともに日帰りで巡ってみた。

伊勢原は遠くに感じるが、大井町線と田園都市線を乗り継げば中央林間まではすぐで、そこから小田急線に乗り換えれば1時間少しで到着する。

途中厚木付近の田んぼの風景は子供の頃訪れた景色と変わらぬ様子で懐かしさがこみ上げる。伊勢原駅は登山シーズン真っ盛りで大山へ向かう人々で混雑しており、バス停にも長い行列が出来ていた。
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↑駅出口正面に大山阿夫利神社の鳥居が。

一方、彼岸花を観に行こうという客は皆無で少し拍子抜け。がらんどうのバスに揺られて20分ほど行き、日向薬師手前の洗水で下車して、散策スタート。バス通りから一本入ると田圃路が現れて、そこには聞きしに勝る彼岸花の群生が赫々たる花弁を揺らしていた。
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ほとんど人もいなくてゆったりとした気分で畦道を入っては咲く花を楽しむ。丁度稲穂も実りの時を迎えていて、見ていて心が豊かになる風景だった。
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そこからまたバス道に出てなかなかの坂道を登ると、
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今度は蕎麦が可憐な白い花を揺らしている。
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近くには古い日本家屋、彼岸花、山並が揃った写真映えするポイントがあり、
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少し行くと柿畑の脇にある小さな社を飾るように彼岸花が咲き、秋の風情を色濃く感じる。
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川にかかる橋を渡ると栗が落ちていたり、
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萩の花の盛りに出会えたり
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と散策の目を楽しませてくれる事物に事欠かない。

一番の名所である日向薬師参道前の谷地の田圃は視界が開けて遠くの山並みも美しく、気持ちが清々する。
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残念ながら稲は刈り終えてはざ掛けされ、彼岸花もしぼんだものが多かったが、期待していた里山の秋の景色を存分に楽しめて満足した。

2017年8月30日 (水)

晩夏堪能岩手行11:大丸屋、まとめ

前回立ち寄って実に美味しい和菓子を頂けることが判った「大丸屋」に今回も足を運ぶ。直前に著名なブログ和菓子魂で取り上げられ、随分褒められていたので少し喜ばしく思いながらの訪問となった。

目当ては季節の上生菓子で、この日はなんと7種類も用意されていた。確かに夏の終わりと秋の始まりの季節だったから意匠には事欠かない時期だったとはいえ、このごろは都内でも2-3種あれば良い方という状況だけに嬉しくなる。

こちらのご主人は菓子を作るのが天職なのだろう、こうした上生菓子に加え、実に美味しそうなアップルパイをはじめとしたケーキ類、細やかで愛らしい干菓子、地の果実を使いお土産に好適な焼菓子類等々店内にはありとあらゆる甘味・スイーツが揃っており、甘党にはこたえられない光景が広がっていて気持ちも上がる。

今回は夏を感じさせる涼しげな「瓢箪」
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蕾の造形が美しい「蓮花」、
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秋の始まりを思い起こさせる「白菊」を買って帰る。
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こちらの餡の良さは、さらっとした口どけにあって、これは「白菊」「蓮花」で味わえた。透明感とその発色具合に美的感覚の高さがうかがえる「瓢箪」は口に入れた時のひんやりとした風合いとしどけなくほどけゆく様が、山奥の沢の水を掬って飲んだような瑞々しさを感じさせ、唸るものがある。

後々調べてみるとご主人のフェイスブックを発見。なんと日本最高峰と目される「塩芳軒」で修業をしたそうで、それならばとりどりの上生菓子の美しさや餡の上質な口どけぶりにも得心がいく。というより、その味が盛岡でいつでも、しかもお手頃価格で頂けるというのは羨ましい限りだ。

心惹かれるもののまだケーキ類は試せていないけれども、目の前の「喫茶ママ」でいただけるケーキはこちらのものだということなので、次回はそちらで美味しい珈琲とともにアップルパイや栗たっぷりのモンブランを頂くことにしたい。近所にこんな店があったらなぁ・・・と思わせる良店だと思う。

【旅のまとめ】
前回の訪問から1年弱。短期間での再訪となった岩手はやはり良かった。松川温泉の蒼く優しい泉質、雫石御三家(髭・松ぼっくり・風光舎)への信頼の深まり、盛岡惣門での晩夏の宴と花火、大丸屋の見目麗しく趣深い菓子の数々、喫茶ママの映画のような情景…どれも深く心に残るものだった。

惣門の女将さんに約した通り、次は春か冬に訪問して、また違った岩手の素顔を覗いてみたい。以下やり残したことの備忘。
・神子田朝市
・星川魚店と豆腐店で食材を買って帰る
・御所湖のカヌー
・バスセンター近くの「バロック」に行く
・「バロン」で飲む
・「中河」でラーメンを食べる
・福田パンを食べる(もの凄い売れ行きで興味が湧いた)

最後に旅の途中で出会った花たち
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2017年8月29日 (火)

晩夏堪能岩手行10:喫茶ママ・リーベ

【喫茶ママ】
食後は喫茶店巡りに戻ることにし、昨秋後ろ髪をひかれた本町通りにある喫茶ママへ向かう。盛岡最古の喫茶店は中がうかがい知れず少し躊躇したが、入ってみれば近所のお馴染さんとママがくだけた会話を楽しむ居心地のよい店だったのでほっとした。
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しばらくして入ってきた大柄でソフィア・ローレンを思わせるバタ臭い顔立ちの老女は、木底の突っかけサンダルに花柄のエプロン、籠編みの買い物かごと昭和の正しい主婦スタイルを維持していて微笑ましく思う。

この方にママが古いアルバムを持ってきて席に座り込み、一緒に覗き込んでは「この人は、あれ、あのタバコ屋の脇の」「ああ、宮古の方から来た、なんつったっけが」「痩せでてね。よく食べるけど」などと思い出話に花を咲かせていた様子は、さながら古いイタリア映画を見ているよう。

その内に他のお客がケーキを注文したところ、この女性が「在庫を見て来るよ」と店の外に出ていく。どうやら向かいの菓子店「大丸屋」に残っているケーキを確認しに行ったようだった。(後で大丸屋の女将さんに聞いたら「そうなんですよ」と笑っていた。)

こういう飾りっ気のない気さくさが店内に満ちていて、なんとも言えない居心地の良さを醸し出していた。愛され続ける店の所以を垣間見ることが出来て、とても良い経験が出来た。
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【リーベ】
盛岡最後の店は前回朝ごはんを食べたリーベにした。その時はモーニングを食べたがその後調べてみると、パフェやパンチなどフルーツを使った一品が、凄い盛り具合で人気をはくしているとのことだったので、これを目当てに足を運ぶ。
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(写真はネットから引用)

午後の丁度気怠い時間帯だったが、店内はまずまずの埋まり具合。中には高校生くらいの女子二人が楽しそうにおしゃべりしていて、盛岡の喫茶文化の裾野の広さを感じる。

本当はド派手なティーパンチにしようと思ったのだが、不惑を越えた夫婦の席にはそぐわなそうだったので、控えめ盛りのコーヒーゼリーパフェを頼み、家人はミントティーにした。相変わらず英国調の店内は落ち着く風情で、家人のミントティーも爽やかな香りといい、サーブされた食器といい気分を盛り上げる。
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↑カップの上にポットが一体化するティーセット。ポットがカップを温める用もなしていて、実用的なのに優美なところに感心。

コーヒーゼリーパフェは漆黒のゼリーに純白のクリーム、彩り豊かなフルーツが乗り、シックながら華やかさが感じられて好ましい。甘みも苦みも丸く、それをフルーツの酸味がスッと洗ってくれるからさっぱりと食べられてやはり夏に食べてこそ醍醐味が味わえる一品だった。
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↑うまく撮れなかったので写真はネットより引用。

〆の一軒も納得のおいしさで、盛岡の喫茶を存分に堪能できた。

2017年8月28日 (月)

晩夏堪能岩手行9:ゴロット

御所湖から失意のまま盛岡駅前まで戻ってレンタカーを返却し、駅ビル内の駅弁の売店で花善の「鶏めし」の取り置きを依頼してから昼飯をとりに菜園までバスで向かう。

岩手は短角牛が有名だからそれを味わえる店を探していたところ、短角牛ではないが熟成肉のステーキをランチで食べさせてくれる「ゴロット」に行きついた。そこまで高くないお値段だったので、ものは試しと足を運ぶ。

店内は靴を脱いで入るタイプで、カウンターがメイン。店先のガラス越しに冷蔵された熟成肉が見えるようになっていて、視覚で胃に訴える仕組。

熟成肉150gのステーキランチを注文すると、肉を金網に乗せて少し火を入れては休ませて焼くので思ったより時間がかかる。スープとサラダで胃に火がついてしまった身としては辛い。

辛かったと言えば大音量のBGMで、どういう訳かJ-POPのダンスMIXが延々と流れ続け、しかも氣志團やゴールデンボンバー等肌の合わない歌い手の曲ばかりで閉口した。

折角良い具合に焼かれて出されたステーキも、そちらに気が削がれてしまい、熟成肉ならではの繊細な香りや旨味を味わうのは困難を極めた。赤身肉ならではの歯応えは心地よかったので、もう少し肉に気持ちを集中できたら…というフラストレーションを抱えたまま店を後にした。食事は周りの雰囲気で味が変わるのを再認識できたことを収穫とすべきか。

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2017年8月27日 (日)

晩夏堪能岩手行8:矢巾町のひまわり畑と御所湖カヌー

【煙山公園のひまわり畑】
松川温泉でローカルニュースを見ていたら、一面のひまわり畑が見頃を迎えているとのレポートがあり、なかなか良さそうだったので行ってみることにした。数年前からひまわりを植えるようになったそうで、朝早くに出かけたものの駐車場には結構車が止まっていて、人気があるようだった。

畑の中を突っ切って歩くこともできるけれども、南端に小高く盛られたところがあって、そこから見渡す畑の美しさが名所となっている。確かに遠くの山並みとのコントラストが美しく、短い夏の最後の一瞬を飾る精彩が眼前一杯に広がる様子は壮観。
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去りゆく季節を思い残すことなく感じられるところが、岩手の人々の心をとらえているようだった。

【御所湖カヌー】
昨年秋に鶯宿温泉に泊まった時にぜひともやってみたかった御所湖のカヌーは、国体開催準備のために利用できなかった。そこで捲土重来、今度こそは夏の日差しの下水遊びを存分にしてやるぞと息巻いて、県のカヌー施設へ向かう。

ここのよいところは、カヌーのレンタルが半日で400円と破格の値段であることだ。こちらとしては1時間もやれば十分なので、気軽な気持ちで試してみるにはもってこいの場所なのだ。

しかし。

施設へ行くと人気は皆無。いやな予感がして事務所に行ってみると、数日来の大雨で流木などごみが流れ込んで、安全が確保されないとのことから、利用できないとのこと…残念。三度目の正直で次こそは何としても湖上の人となりたい。

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2017年8月26日 (土)

晩夏堪能岩手行7:いなだ珈琲舎

5日目。朝は前回の旅で行きそびれた「いなだ珈琲舎」に行ってモーニングを食べることにした。半日前大いに旬の幸を堪能した「惣門」の目と鼻の先に店はあって、開店早々に伺ったらご主人が外の窓ふきに精を出していた。
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声をかけると輝く笑顔で「どうぞ」と店に導かれる。生気あふれる表情で、いきいきと店を営んでいることが見てとれた。

前日、惜しくも甲子園の決勝で敗れた広陵高校の善戦ぶりを家人と何気なく話していたら、「広島の方ですか?」とさりげなく話かけてくださり、しばらく歓談したところ、ご主人は広島の喫茶店で修業をされて、広陵とも縁があったそうなので甚く悔しいようだった。

しかしそこは喫茶店の店主だけあって、野球ファン特有の熱気に我を忘れる感じではなく節度のある話しぶりだったので、こちらも随分打ち解けて話すことが出来た。

モーニングは新鮮なサラダの彩りが美しく、馨しい珈琲の薫りといい、クリスピー感が出色のトーストといい申し分ないもので、良い一日のスタートが切れて満ち足りた気持になった。
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そうしたところが人気らしく、旅の人と思われる客が引きも切らず来店して、朝から活況を呈していた。快活ながら練れたご主人の接客は心地良く、清潔な店内でおいしい朝食を食べられるのだから、流行るのも当然と思わせる良店だった。惣門とこの店のある通りは自分にとって盛岡を代表する景色になりそうだなと思いながら店を後にした。

2017年8月25日 (金)

晩夏堪能岩手行6:惣門

盛岡に行く楽しみの最たるものは「惣門」へ行って季節の食材をたっぷり味わうことだった。昨年の秋同様、食事なしで4,000円のコースをお願いして、逸る心を押さえつつバスセンターからの道を急ぐ。

例によって座敷には既にご馳走が並べられて、思わずニンマリがこぼれてしまう。先付の翡翠豆腐湯葉雲丹乗せのとろりとした濃厚な旨味、蟹と海老の酢の物の柔らかな酸味が暑さに疲れた体に沁み込む。

八寸には唐黍乳酪射込みやローストビーフ、とこぶし雲丹焼きと酒の進む肴が盛り込まれていて、この辺りで妻と目を合わせてはにやつく始末。

造りはトロ・鰤・鮃・鮑。紅白のグラデーションが美しく、殊にトロと鰤の脂乗りの良さに瞠目。
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茄子田楽に蟹爪などの天麩羅が盛り合わせとなった皿はボリューム満点、
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↑天麩羅で茄子田楽が隠れてしまった

美しい塗椀で供された蟹しんじょとオクラのお椀はほっと落ち着く一杯、
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甘鯛の西京焼きは味噌の漬かり具合が絶妙で、その焼けたかおりの馨しき事!
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最後に名物「海の宝石箱(©開高健)」とも言うべき海鮮茶碗蒸し。
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今回もどれをとっても申し分ない旨さで、夏を食べ尽くすことになった。

帰り際、女将さんに「昨秋に来て美味しかったので、また来てしまいました。春夏秋冬制覇するつもりでまた来ます。」とお伝えすると、季節ごとの食材を丁寧に教えてくださり、玄関先まで見送ってくださった。これだけのものを食べさせていただいて、ここまでされるのは申し訳ないなとすら思えた。言ったことが嘘にならないよう、次は春か冬に伺いたいと思う。

【開運橋花火】
毎週水曜日の夜に10分間だけ花火を打ち上げているとのことで惣門から歩いて川沿いに向かうが、出が遅かったため途中で始まってしまい、急ぎ近くのパチンコ屋の立体駐車場に登って見物。近くで上がるので音波を体感できるし、思ったよりも大きな花火が上がるので思わず歓声が洩れる。旨い季節の食材を鱈腹食べて、誰もいない場所から美しい花火を眺めて、完璧ともいえる夏の一日を締めくくるには最高の趣向だった。

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2017年8月24日 (木)

晩夏堪能岩手行5:雫石時計工房見学

雫石には世界のセイコーが誇る機械式時計の工場(会社は”工房”と呼んでいる)があって、事前に予約をすれば見学できるというので足を運んだ。

初めにクオーツを作っているラインを見せてもらったが、ここはやはり大量生産をしているので、工場という感じが強かったが、機械式時計を人の手を使って作っているエリアはやはり”工房”と呼びにふさわしい張りつめた空気が満ちていた。

知らなかったのだが、機械式時計の部品数百をすべて自社で内製していて、その要件たるや気が遠くなるレベルに設定されており、極小部品材が研磨によって寸分たがいない部品に仕立て上げられていることを顕微鏡を使って見せてもらったりしたが、これは高価にならざるを得ないなと思わされた。

また、もはや機能面での勝負ではなく、伝統工芸品や美術品の域に入っていて、故に工房と名乗っているのだなと得心した。個人的には腕時計はしない派だけれども、人に勧めるのならSEIKOの機械式としようと心に誓った訪問となった。お世話になりました。
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↑森の中にひっそりとある。熊が出て大騒ぎになったこともあるそう。

2017年8月23日 (水)

晩夏堪能岩手行4:雫石御三家(髭・松ぼっくり・風光舎)

松楓荘には三泊して、再びバスで下山。前夜は大雨警報が出るくらいの土砂降りだったが、宿を出るころには川の流れは澄んでいた。しかし盛岡市内に戻ってみると北上川はまだまだ濁流が逆巻いていて、いつもよりも不穏な雰囲気が漂っていた。盛岡駅まで着いたところでレンタカーを借りて、昨秋甚く気に入った私的「雫石御三家」を巡礼するドライブに出る。

【髭】
今回は昼の12時到着とピークタイムだったので、流石に6組待ちとなったが、あれよあれよと客がはけて15分もしないうちに席へ案内される。待望の冷麺にありつけるということで、自分も家人も大盛をお願いする。

他のテーブルの肉の焼ける臭いに胃が反応しきりとなった頃合で冷麺登場。堂々たる姿に思わずニンマリする。
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スープをすすると甘みが勝ったあの味わいが広がり、辛味のカクテキでだるさを加減してやると出汁の旨味が広がっていく。いよいよ麺を口にほうり込むと、艶々したにゅるちゅる麺がスムースに口に流れ込み、噛み締めるとムニムニとして心地よいことこの上ない。昨秋の繰り返しになるが、やっぱり冷麺は雫石に限る。

【松ぼっくり】
髭の興奮をクールダウンさせるべく、ジェラートの松ぼっくりへ。相変わらずの人出で、晩秋の頃と違って皆さん店の周りのベンチに座って思い思いにジェラートを舐めたりスプーンですくったりしていて、夏らしい情景が好もしかった。

何を食べるかさんざん悩んだが、ド定番のミルクと季節のブルーベリーにした。ミルクは濃厚なのに驚くほど後口が良く、それでいて心地良い余韻が続くのでまた欲しくなるという禁断の美味しさ。その合間合間に爽快な酸味のブルーベリーを楽しむとさらに口がさっぱりとリセットされて、いつまでも旨さの新鮮さが保たれ良いコンビだった。夏に伺った際にはまた是非このコンビを味わいたい。

【風光舎】
ようやく興奮も醒め平静を取り戻したので、ゆったりとした時を過ごすべく風光舎へ。夏の明るい日差しと緑に囲まれた様子は、前回とは印象が異なり、全体におおらかな雰囲気を感じた。

店に入ると窓が大きく開け放たれ、遠くのツクツクホウシの鳴き声が聞こえてくる。庭先にはモンシロチョウが飛び、アジサイが濃紺の花を咲かせていて、春・梅雨・夏が入り混じった不思議な光景。白昼夢を見ているような心持になる。

今回は店内におしゃべり好きの常連さんがいたり、少し気候が暑かったせいもあって、前回感じた居心地の良さは若干減じたようにも思うが、これは季節要因が大きいと思う。少し肌寒いくらいの方が淹れたての珈琲の有難味も増すというものだ。今度は早春、まだ岩木山に雪が残る景色を眺めに伺いたいと思う。

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2017年8月22日 (火)

晩夏堪能岩手行3:松川温泉松楓荘(食事・周囲)

宿は料理の内容によって宿泊料金が変わってくるのだが、身体を休めに来ているのでご馳走はむしろ御免被りたいと思い、一番お手頃な1泊7千円のものにした。三連泊したがメニューは毎日異なっていて、しかもどれも地元のものを素朴ながら手をかけて作ってあるものばかりだったので、毎朝毎晩楽しみに食堂に向かった。

初日はホームページに出ている豚肉のしゃぶしゃぶだったが、サシの入った艶めかしい肉質で、くどさもなく美味。
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↑初日の献立

他にも今シーズン初のあみ茸のおろし和えや冷奴のに載った行者にんにくの醤油漬け、戻りガツオのタタキ、ひっつみ汁、ジュンサイの入った澄まし汁等々季節や地元ならではの食材が並んで、酒も飯も大いに進んだ。
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↑二日目の御膳
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↑三日目の御膳。これに鍋と刺身が両日とも付いた。

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↑ゼンマイの信太巻など小鉢類が充実

朝は朝でヤマメの干物や自家製の漬物が食欲をそそって、これまたおかわりが進み、
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昼はうどんのコシが上等だし、牛丼も前沢牛使用で脂のコクが深く、雉出汁ラーメンはごくあっさりしたスープが佳品…
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と三食いずれもが申し分ないので、普段なら手が伸びる菓子の出張る隙が無かった。派手さは無くても滋味たっぷりの旨いモノを食べて、湯で身体を弛めては万年床で果てなきうたた寝をする。万全の湯治体制に身を委ねて存分にリラックスすることが出来た。

宿に続くダート道の傍らには小さな沼があって、無数の蜻蛉が行きかって賑やかだった。
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その岸辺には名も知らない花があちこちに咲いていて、見ていて心が和む。
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バス道に出て少し下ると青沼があって、その名の通り青みがかった水面に周囲の森の緑が映え、ひっそりとしながらも燦々と生気を帯びた景色となっていて、美しさに見蕩れてしばらくぼんやりと眺めた。
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この道を登っていくと松川温泉の別の宿があるとのことでしばらく歩いたものの、なかなか見えてこないので諦めてもと来た道を戻る。木漏れ日が心地いいなぁ…
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などとぼんやり歩いていると、突然道の脇の林からブォーンという羽音が近づいてきた。もしや…と思いよく見ると、胴体が黒いオオスズメバチ!持っていたハエ叩きを一閃、見事討ち取ろうとしたものの、敢え無く空振り。

するとハチは怒り心頭となったようで恐ろしい羽音をさらに響かせて、家人の足にめがけて飛んでくる。三十六計逃げるに如かず、全速力で坂道を駆け下りて100Mほど行ったところで振り返るとまだ追いかけてくる!しかも噂に聞いていた通り、白いTシャツにネイビーのチノパンを履いた家人の下半身に向けて猛進してくる。

かなりマズイ状況でアドレナリンが噴出したまま、さらに100M走りぬけて宿のダート道に飛び込んだところで、ようやく逃げ切れた。高校の運動会以来、四半世紀ぶりに真剣に全速力で走ることとなったが、羽音が聞こえた時に身をかがめて早々に逃げればこんなことにはならなかったと思う。夏から初秋はスズメバチの繁殖期で攻撃性が高まっているとのことなので、宿の滞在中は白色など色の薄い服を着て森の近くには近寄らないなどの対応が必要だと思った。

【総括】上質な硫黄泉と滋味あふれる食事を楽しみ、静かな環境で身体を休めるにはとても良い宿だと思う。お世話になりました。

2017年8月21日 (月)

晩夏堪能岩手行2:松川温泉松楓荘(部屋・風呂)

六分儀を出てななっくをひやかしてから目下建て直し中のバスセンターへ向かう。
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(↑ななっく入口に貼られた甲子園県代表のポスター)

市内を走るバスはどれも老朽化著しかったから、これから二時間は覚悟だな…と思っていたら、観光バス仕様のデラックスな車両が来て安堵した。
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駅を出て岩手山東麓を北上、岩手駐屯地に沿って続く並木道や大更駅のスナックの多さ、集落の狭い農道を抜けていくスリリングさを楽しんでいたらあっという間に松楓荘前に到着。
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↑バス停横の看板脇にある
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↑ダート道を下っていくと
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↑川沿いに建物がある。

部屋は二階の階段を上がってすぐの所で、六畳一間で飾り気のない素朴な造り。
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テレビも映るし、湯治に来たのだからこちらとしては特に問題はない。
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なおwi-fiは階段踊り場付近の休憩スペースに無線LANが配置されていて、その周囲では1M弱のスピードはあったのでインターネットの閲覧は可能だったが、部屋に入ってしまうと届かず。
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↑眼下には川と源泉からの湯けむり

こちらに期待していたのは温泉だが、蒼白色の神秘さといい、かぐわしき硫黄の香りといい、身体への負担の少なさといい、申し分なかった。また、改装したての木造の内風呂、
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川のせせらぎが楽しめる露天、
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巨石の迫力に打たれる内風呂
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といずれも趣向が異なるので、気分や天候・時間帯によって使い分ける楽しみがあった。唯一恐れていたのはアブの猛襲だったが、滞在した3日間一度もアブに遭遇することはなかった。8月下旬で既に秋の気配が漂っていたからなのか、もともとアブの少ない場所なのかはわからないが、一番の懸念が払しょくされたので、どの風呂にもとっぷり浸かって、のびのび湯浴みを楽しめたのはとても良かった。

ただし廊下は小さな蛾や足長バチ、たまにキイロスズメバチがいて、特に襲ってくることはないが、虫嫌いの方はなかなか厳しいかなと思われた。蜂は宿の方が見かけると殺虫剤で殺しているようで、窓際に残骸を多く見かけた。
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その代わり、お盆明けでもう涼しく、日中は22~23度で夜は15度くらいまで下がり、夏の暑さにくたばっていた身には何よりの天然のクーラーだった。
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↑冷えた朝、玄関から朝もやを臨む

そのお蔭で温泉に入っても汗の引きがよくて心地よかったから、人出を避けて涼しい所で湯に浸かり、身体を休めたいという向きには申し分ない環境だと思う。

2017年8月20日 (日)

晩夏堪能岩手行1:丸竹茶屋・六分儀

夏休みには涼しい山奥で湯に浸かってのんびりしようと地図を眺めたところ、奥羽山脈八幡平に松川温泉を見つけた。温泉街もない山中で標高も700Mほどあるから夏も涼しいらしい。昨秋出かけて心寄せるようになった盛岡を経由していくことになるのも好都合だったので、宿をとり出かけることにした。

雨続きの夏で旅の間の天候も懸念されたが、なんとか持ち直し新幹線で盛岡に到着するころには晴れ間も見え、旅の幕開けとしてはまたとない瑞兆だった。
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駅で循環バスでんでん号の右回りに乗り込み、上の橋にある丸竹茶屋へ向かう。前回の旅の際、風格ある建物を見て気になっていたが、8月末をもって150年の歴史に幕を下ろすとのことで、昼飯代わりに餅を食べようという寸法。
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店内は思ったよりも狭く席も少ない。しかも惜別の客が多かったから、店員もかなりテンパっていて定番の三色餅を頼んだけれど「30分くらいかかります」とのこと。少し嫌な予感がしたが、10分ほどして餅が運ばれてきた。
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ずんだ、ごまだれ、安倍川(関東でいうきな粉黒蜜)の三種が皿盛りにされている。昔はこれがご馳走だったんだろうなぁと偲びながら口に運ぶと、思ったより噛み締めがあって意外な思いがした。しかし、いずれの味付けも甘みがきちんと利き、豆の持つ香ばしさも感じられて納得の味。

帰りがけ、紫蘇大福を買って帰ったが、こちらは餅がムニムニし、甘みを紫蘇の爽やかさで引き締めていて美味しかった。
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一見乍ら150年間お疲れ様でしたと心で呟いて店を後にした。

【六分儀】
前回の旅では東京から到着してこの店に来た時、忙しない日常との連結器が外されて心が伸びやかになったので、今回も初日の早い段階で伺う。相変わらず薄橙色の灯りに照らされた店内は実にコージーな雰囲気で、「ああ、盛岡に来たんだなぁ」という悦びがほとほとと湧き上がる。
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今回はチーズケーキも頼んでみたが、ゼラチン感が強めで、添えられた軽い酸味のレモンソースがチーズのくどさを断ち切ってさっぱりと頂けるタイプだったので、珈琲との相性もよく、流石だなと思わされた。すっかり心を旅モードにシフトダウンして、寛いだ時を過ごした。

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2017年8月 1日 (火)

男だって葉山女子旅きっぷ

青春18きっぷの旅以来、お得なきっぷに敏感になった。そんな中、京急が発売している「葉山女子旅きっぷ」をテレビで見かけたところ、家人が甚く興味を示し「女子でなくっても使えるんだって」と調べ上げたので、女もすなる女子旅というものを男もしてみんとて出かけてみることにした。

品川駅のきっぷ窓口では特段の性別チェックも入らず切符を購入できた。腿の間に一物を挟み込んで「オレ女~!」と宣言する覚悟で臨んだが、そんな子供じみた仕儀は不要で一安心する。

生まれた時から大学卒業まで使い慣れた沿線だったが、噂に聞く蒲田の三階建てホームは急坂の頂上にあり、ジェットコースターの登りのようで少しスリルを感じる。横浜以南の見慣れた景色を抜けて、八景の駅前の茅葺の家の解体作業を横目に見ている内に新逗子に到着。

ここからバスに乗って、まずはお土産特典を入手すべく、鐙摺で下り、家人はラ・マーレ・ド・チャヤのケーキを。
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自分は歩いて3分ほどの葉山マリーナで泉屋のクッキー詰め合わせを入手。
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そしてバスを乗り継いで昼食は「魚寅」で刺身天麩羅定食を頂くことにする。店内は女子旅キッパーだらけで、中には男二名という強者もいて少し安堵する。
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天麩羅はやや衣がぼてっとしていて胃にもたれそうなタイプなので、女子の皆さんが衣をはがしたり、食べ残したりする情景があちこちで見られて、女子旅感が強かった。まあ、セット商品なので質はまずまずといったところ。

食後のデザートは先程チャヤで入手したケーキを浜辺で食べようと一色海岸までバスで行く。砂浜から少し登ったところにベンチがあり、風が抜ける松蔭だったから、殊の外気持ちがいい。
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海風に鼻をくすぐられて食べるケーキも乙なもんだな…と思って口に運ぶ刹那!トンビが猛襲し、哀れ見目麗しいケーキは地面に叩きつけられ無惨な姿に。桃のパンナコッタは厳戒態勢を敷いてなんとか胃の腑におさめた。
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食べ物が無くなってしまったらトンビも興味を失ってどこかに行ってしまったので、海風に吹かれながらしばしシエスタ。まどろみと波の音と風のそよめきが相まって、久々に極上の休息にありつけた。これだけで出かけた甲斐があった。
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帰りがけには山口蓬春記念館に行き、「美の壺」でも取り上げられた吉田五十八設計のアトリエに佇んで、静寂の時を楽しむ。
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南向きの広い窓から入る柔らかな日差しも良かったが、北側には竹林が美しい日本庭園があって、そのひっそりとした少しウェットな感じも情緒があって良かったし、庭に咲く花も美しかった。
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観覧後、新逗子行のバス停で座っていると美術評論で著名な山下裕二教授が一人でふらりと現れて一寸びっくり。県立近代美術館に向かわれるようだった。

存分に葉山を楽しんだ後は京急線乗り降り自由のメリットを享受すべく、新子安の「諸星酒場」へ。
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夏らしい佳肴でころころと舌を撫ぜゆく「福祝」を楽しみ、乗り換えが楽な鶴見から京浜東北に乗り換えて無事の帰着。女子じゃなくたって充分楽しめたことを四十半ばの男から報告して筆を置くことにする。

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↑未だに青い京急の車両には違和感を覚える・・・

2017年7月 1日 (土)

池上駅の姿を目に焼きつける

池上線は東京にあってローカル線の趣を感じさせてくれるので好ましく思っている。しかし、当の東急は快く思っていないらしく、この路線をもっと近代的にブラッシュアップしていく野望を抱いているようで、その一環として古風で質朴な感じがなんとも言えない池上駅を近代的な駅ビルに建て替えてしまうという。6月にも着工というので名残を惜しんで足を運んだ。

旗の台にもある木製のベンチも消えてなくなる。
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無骨な梁を見せる屋根も消えてなくなる。
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のどかな警報音を鳴らす構内踏切も消えてなくなる。
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戦火もくぐり抜け開業以来90年に渡ってこのスタイルを維持してきたものすべてが消えてなくなる。
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無情なことだが致し方ない。しっかりと目に焼きつけようと凝視した際に到着した電車の灯火の眩しさとともに記憶に刻んでおこう。
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さよなら、池上駅。

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2017年6月 1日 (木)

小池公園のカルガモの親子

住宅地の中にひっそりとある小池公園は散歩の目的地としてうってつけでよく出かけていくが、春、藤棚の花が盛りを迎えるころに姿を現すカルガモの親子は心和んでいい。この春は毎週のように出かけてその姿を眺めてはしばしうっとりとしていた。
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愛らしさもひとしおに感じられるようになったある日など、ベンチに座っていた私に向かって親子が行進を続け、ベンチは雛に取り囲まれ、人慣れした母ガモは物欲しげに私の顔をじっと見るので、虫やしないに持っていた蒸しパンをちぎってやると、母ガモは全く興味を示さず、雛たちが騒々しく啄ばんで、やがて向こうへ行ってしまった。思わぬ出来事にさらに熱を上げてしまった。
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ただ、雛は池に住むすっぽんや野良猫にさらわれてしまうようで、2週間もしないうちに半数になり、1か月半後成鳥なみになったのはわずか二匹だけだった。こんな住宅地の真ん中でも自然の生存競争は静かにそして確実に進行している事実を知った。ことしはバンのつがいも雛を育てて賑々しかった小池公園。来春も藤の花が咲いたのを見かけたら足しげく通ってみようと思う。

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2017年5月20日 (土)

東京から18きっぷで行く日帰り旅5:続・静岡地獄経由蒲郡行

蒲郡からの帰り道、また来た路線をただただ5時間半も乗り続けるのはなかなかしんどいと思い、どこかで途中下車して夕食を取ろうと考えた。県都静岡の駿府城に行けば、そこは城だから桜の名所になっているだろうし、その後一杯飲んで帰京すれば、酔っ払いの特権である速い時間の流れに乗って帰りの辛さも減るだろうと見込んで、途中下車することにした。

夜にはまだ早く夜桜とはいかないかな…と思いながら駅から歩いていくと10分ほどで堀に到着。期待通りに石垣を覆うような桜が咲いていたが、思ったよりは本数が少ない。
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では、と本丸跡の公園に入るが、逆に桜はポツポツとあるくらいであまり目立たない。
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少し肩透かしを喰らったけれども、公園で楽しそうに青春を謳歌している女子高生の姿や立派な葵御紋の植栽も見られたので良しとして、飲み屋街へ足を向ける。
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当初目当てにしていた「七福」へ行ったら生憎予約で一杯と断られ、では至近にある静岡では高名な「多可能」へ行くかと暖簾をくぐる。

17時過ぎと早い時間だが店内はほぼ満席の盛況ぶり。人いきれに押されながら、あさりの酒蒸しと鮪中落ち、セロリを頼む。しかし鮪は凍ったフレーク状態だったし、あさりは砂抜きが不完全でじゃりじゃりするしで飲む気を削がれてしまった。
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またセロリは30分経っても来ないのでキャンセルして店を出た。名が知られ過ぎて客の数と店のキャパのアンマッチが起こっているようで残念。

このままの不完全燃焼では帰れないと思い、先程店に入る前に通りかかって気になった隣の「こばやし」で飲み直すことにする。
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ここは串揚げ・串焼き・静岡おでんの三本柱に特化していて、メニューが潔く期待が高まる。串焼きのタンとハツを頼んだら、かなりの大串で迫力ある肉が供された。かぶりつくとぎゅっと肉汁が溢れ出し、微かな焦げみが風味を添えて荒ぶる旨さがある。
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付け合わせと思い頼んだお新香は漬かりが深く酸味が効いているので、このパンチが利いた串の脂を洗い流して口をさっぱりさせるのには好都合でこのコンビはとても良かった。
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串揚げでは蓮根と玉ねぎを頼んだが、蓮根のサクホク感といい玉ねぎの濃い甘みといいとても美味しかった。

ふと目をカウンターに転じると見事なアスパラガスが見えたので、ご主人に「アスパラは焼くのと揚げるのとどっちがいいですか」と聞いたら、揚げた方が良いとのことでお願いする。
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自信をもってお勧めされただけあって、カリッとした衣と、奔出するアスパラの香気と汁気のコントラストが絶妙で、揚げ物なのに清々しさすら感じた。
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これにおでんの厚揚げとビール・日本酒各1本で3,000円というのは個人的にはとても安く感じた。これからは静岡方面に来たら必ずこちらに立ち寄ろうと思う。

駅まで上機嫌で歩いて静岡駅から始発のロングシート車両に乗り、案に相違して時間が早く流れてくれず最後は疲労困憊となったものの、なんとか無事に帰宅して18きっぷの旅の締めくくりは大団円を迎えた。

今回が最も遠い距離まで出かけた回となったが、正規料金10,800円のところ2,400円で済んだのだから食事代諸々が浮いた分で十分足りる勘定。ケチな性分なので、これだけ節約できると旅の達成感とともに別の喜びも感じる。今は来年の春のルートを色々夢想して楽しんでいる。

2017年5月15日 (月)

東京から18きっぷで行く日帰り旅4:静岡地獄経由蒲郡行

クラシックホテルは風雅の残り香があるところが良く、奈良ホテルには宿泊したし、山の上ホテルでは結婚式を挙げた。軽井沢の万平ホテルで飲んだアイスコーヒーの味わいも鮮明に覚えている。

ほとんどの場合、観光地にあるから行きやすいけれども愛知県は蒲郡にある蒲郡クラッシックホテルだけは特段の用事も見当たらず、行く機会はほとんどないだろうと思っていた。それならば、このホテルを見に行くことを用事にしてしまえば良いと思い立ち、百鬼園先生宜しく東海道をただただ西へ西へ進む旅を18きっぷの最後として選んだ。

早朝西大井から横須賀線に乗り込み戸塚でいよいよ東海道線に乗り換える。
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ホームには小学生とそれを送り届ける親たちの一群がわんさといて、かなりの混みよう。さらに終点平塚で乗り換えたのは5両編成と短い車両だったから、思わぬ激混みに遭遇して先が思いやられる。それでも小田原でようやく座れて熱海の乗り換えでは特急用車両がお出ましと相成り少し機嫌も持ち直す。
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この先のトイレ事情を鑑み、この車内でそそくさと用を足して沼津でいよいよ静岡地獄名物のロングシート車両に乗り込む。眼前には18きっぷ仙人のような御仁が数名座っていて、各々大きなサックから思い思いの暇つぶしを出しては自分の世界に没していて、なにやら先達感があった。

清水付近で海が見えたくらいで車窓は田舎の街並みが続き確かに倦みやすい。そんなだから大井川を渡る際の見渡しが良くて随分せいせいした。乗り継ぎとなった島田駅はシンメトリーな感じが良く、トイレも跨線橋を上ったところにあって助かる。
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同じく乗り換えした天竜川駅だが、川から離れていて無機質な街があるのみで少し残念。
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沼津→島田→天竜川→豊橋→蒲郡と乗り継ぎ5時間半かけて到着。まずは閑散とした駅前をうろついてみる。どちらも今後厳しそうな不思議な書店。
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風格ある酒場で心惹かれる。
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骨酒売りの店は初めて見た。何の魚の骨酒なのだろうか。
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なかなかの閑散ぶりを桜が一人盛り上げていた。
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駅に戻ってタクシーでいよいよホテルに向かう。海沿いの小高い丘の上にホテルは鎮座していて、その様子から竜宮城のようにも見える。
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入口のドアボーイが慇懃に迎えてくれ、ラウンジに行きたいと話すと古式ゆかしきエレベーターに誘導してくれ、しかもインカムでラウンジの係りに連絡を取ってくれたから、2階でエレベーターを降りたらまたも慇懃にお辞儀をされてすんなりと席に誘導してくれた。
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ここの経営は色々と変遷していると聞いているが、少なくともプリンスホテルから譲り受けた今の運営は、この建物にふさわしいスマートさを保とうという矜持を持っているらしかった。

ベランダ沿いの淡く日が差し込む席に座って、海を眺めながら物憂げに黒ラベルを飲むというのは至福の時だった。
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眼前には絶妙のバランスで空中に停止するとんびが数羽、その向こうを白鷲が優雅に羽ばたき、それらの合間をぬって燕が放物線を縦横無尽に描く。薄曇りでほんのり霞む竹島も何やら夢の中のように見え、酔いも回って独り静かにうっとりとしてただただぼんやりと景色を眺めた。
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帰りがけ庭園を散歩して帰ったが、もみじの木が多く、またつつじの植栽もあちこちにこんもりと見られたから、季節ごとに花鳥を愛でることが出来る段取りとなっているようだ。疲れ気味の日々が続いたら2-3日逗留するにはもってこいの場所だと思う。
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帰りは歩いて駅まで行く。道すがら気になるものもちらほら。
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駅前まで戻ると、土産を買いに「梅月園」へ。近隣商店のどんよりさはここにはなく、店構えも清潔で、商品ケースにもずらりと美味しそうな菓子が並んでいて心が逸る。帰りが晩くなった際、電車内でも食べられるようににと思い薯蕷饅頭と季節限定の桜薯蕷饅頭を購入。
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結局自宅まで持ち帰って食べたが、むっちりした皮の具合といい、餡のしっくりとした歯応えといい、滑らかな舌触りといい、品のよい甘みといい、かなり上出来の饅頭だった。特に桜
薯蕷は桜花の塩気が甘みに陰翳を与えて、さらにそれを際立たせる逸品で、これは4-5個買っておけばと後悔した。今度蒲郡ホテルに泊まる時には大量に買い込んで、美しい風景を愛でながらぱくつきたいと思う。


滞在二時間ほどで14時半には蒲郡を後にした。
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2017年5月10日 (水)

東京から18きっぷで行く日帰り旅3:ホキ美術館と久留里

ほとんど寄り付いたことのない千葉には行きたい場所が二つあった。精密写実作品が集められているホキ美術館と、新子安の諸星酒場で飲んで美味しかった福祝が醸される名水の里久留里だ。やや離れた立地だけれど一日で回るには適度な距離だったので一気に行ってしまうことにした。

品川駅から横須賀線に乗ってしまえばホキ美術館のある土気には一本だったので移動は楽だった。途中車内をきょろきょろしていた白人の男性が居て、大きなスーツケースを抱えて成田に行くのかな…と思ったら、某新興宗教の合宿セミナーに行くようだった。極東の島国で自分探しの旅とは、どんな切迫した事情があるのやら・・・と思っていると土気駅に到着。

バスで5分ほどのところにあるホキ美術館は周りは普通の住宅地で、いきなり未来感あふれる建物が現れるからかなり目立つ。裏手には大きな公園があり、空にはひばりが飛び交うのどかな雰囲気とは一線を画している。
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展示は少したわんだカステラ状の回廊にびっしりと作品が並んでいて壮観だが、空間にゆとりがあるので心静かに作品と向き合えてとてもいい。ただ筒状になっている建物の構造上、遠くの人の声がかなり遠くまで反響して飛んでくるので、べらべらしゃべるおばさん連中と同じフロアにいた時は閉口した。

どれもこれも精密描写でリアルに肉薄する凄味を感じられたが、特別展のホキ大賞入選作では三重野慶が描いた特別賞の女性像に舌を巻いた。唇と髪の毛の質感がその他の入賞者より一歩秀でていたように思う。それから人物画も風景画もこなす森本草介が印象に残った。特に川沿いの集落の風景は見蕩れてしまい、ベンチに座ってずっと眺めていた。
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(写真はネットから引用)


想像していたより作品も多く、どれも迫真の描写で来た甲斐があった。「あすみが丘」という東急らしいふわっとした町名の地に別れを告げて、内房線に乗り継ぎ木更津まで行き、そこから久留里線に乗る。木更津はイメージよりも荒んでおらず、ヤンキー感は皆無で少しがっかり。

閑散とした祇園駅を越えると山間の田園風景が広がり、途中の駅のホームには菜の花が咲き誇っていた。
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菜の花はこの沿線のテーマカラーにも採用されており、列車のカラーリングはまさにそれで、なかなか好ましい。
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好ましいと言えば久留里駅の駅舎も昔ながらの風情があって良かった。
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久留里の街には昼晩くに到着。店が休憩に入ってしまう前に急いで目当ての蕎麦屋「藤美」に行く。久留里に来た目的には名水と酒に加えて、力を入れている「ホンモロコ」を食べるという点もあった。京都では冬に「寒もろこ」として珍重される魚で、炭火で焼いてふわりとした身とワタの淡い苦みを楽しむという。藤美ではほんもろこの天麩羅そばが味わえるというので早速それを頼む。

コップ酒はこれも久留里の酒蔵吉壽のもの。
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天麩羅は別皿に乗せてくれており、つまみながら呑む身にとっては出汁が染みすぎてしまう恐れもなく、誠に好都合だった。
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磯辺風味のそれは大変さっくりしていて、身はさらりととけていってしまう。骨はまったく感じず、ごく後になってワタの残り香が口中に漂って後口を引き締める。なるほど、これはいい。ふっと消えゆく儚さが後を引く一品で、めひかりの食感によく似ている。期待通りの味わいに満足して店を出て街を散策。

目当ての藤平酒造は大通りから一本入ったところにひっそりと。
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そこから程近くに店舗があって、流石にフルラインナップの品揃えで密かに感動。純米吟醸の生酒を買って帰ったが、ごく控えめな発泡に穏やかな甘みと酸味が相俟ってつるりと咽喉奥に滑り込んでいく佳酒だった。
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となりの魚屋にはホンモロコの活魚が売っていたが、帰宅まではかなり時間があったので購入は断念。今度はエアポンプ持参で来よう。

住宅街に入って行くと、湧水が引かれた水道塔があちこちにあって、蛇口をひねると清冽な水がひんやりと手を濡らす。
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あちこちの水飲み場で飲んだが、藤平さんの店舗前のものが実に丸くて流麗で美味しかった。

季節柄、道端には花があれこれ咲いていて心和む。
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居酒屋くるりは「家出娘」がしんねりと飲んでいそうな雰囲気。
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帰りの電車には時間があったので、駅前横丁にぽつりと残された中華の喜平に入ってラーメンをすする。都内の古い飲み屋街に慣れているので格別の風情は感じないが、車社会が当たり前のこのあたりでは物珍しい駅前横丁のノスタルジックな店だけに人気は高いようで、入口には順番待ちの名前を書き込むノートが備え付けられていた。
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ラーメンはごくごく普通のもので、ここは店の雰囲気を味わうタイプの店のようだった。
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帰りに土産でも・・・と足を運んだ駅前の和菓子屋広木堂では三万石最中を購入。4つしか買わなかったが、ロールケーキの切れ端をおまけで付けてくれてちょっと嬉しい。最中は基本に忠実な仕上がりで、ねっとりとした餡とほどよい余韻を楽しめる甘みがよく、あれよあれよと食べてしまった。
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千葉だって探せば良いところがあることを知った一日となった。

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