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2019年1月11日 (金)

2018年のドラマあれこれ(下)

2018年のドラマ振り返り続編。

苦々しく思いながら、エッジを攻めた内容で見せてくれたのは「恋のツキ」。地上波でギリギリの描写もさることながら、女であることしか売り物のないグズグズした女が男をフラフラ渡り歩くという異色の話を、よくもここまで破綻なく膨らませられたなと感心した。

映像もしっとりとしていて見応えがあり、女に甘い顔を見せていると碌なことにならないという教訓も得たし、長く記憶に残りそうな作品。

また贔屓にしている松本若菜が結構な役を担うようになってきたのも記憶しておくべき事象だった。「チアダン」では夫の心の病からの回復を明るく支える良妻、
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「僕らは奇跡でできている」では学習障害のある息子に苦悩する母
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といずれも物語が進む中で欠くべからざる役を軽々と演じていて、昔のようにハラハラさせられることは無くなった。

アマゾンエコーのCMといい、

よい妻・母というイメージが植わってきているようで、今後は奥貫薫の後任のようなポジションになるのだろうか。一方で美しさゆえの薄幸など、難しい役どころも見てみたいという気持ちが高まった。

一年のトリは「昭和元禄落語心中」が務めてくれた。

岡田将生は「天然コケッコー」で見て以来、真っすぐで純真なイメージが強かったが、今回は捻くれた老落語家を散りゆく美しさと共に魅せてくれた。華奢な身体がうまい具合に枯淡の雰囲気を醸し出していたし、タナダユキが丁寧に色気を拾っていく演出を施したからか、美しい横顔や上目遣いもたっぷり利かせて物語全体に艶冶な空気を横溢させていた。
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大政絢と山崎育三郎もそれに随分貢献していたし、竜星涼の噺の上手さも際立っていて見応えを大いに高めてくれた。
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今年も色々と楽しませてもらえればありがたい。

2019年1月10日 (木)

2018年のドラマあれこれ(上)

去年は随分ドラマを見た年になった。なので回顧録を書き留めておく。

今まで主流派ドラマは敬遠しがちだったが、「義母と娘のブルース」、そして「コンフィデンスマンJP」を通して見た。前者の綾瀬はるか、後者の長澤まさみが主演するドラマを初めてちゃんと見た気がする。

ギボムスは近隣の大岡山がロケ地になっていたこともあって、散歩の際には「麦田ベーカリー」まで足を運んで写真まで撮ってしまった。
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綾瀬はるかが融通の利かない生真面目さをうまく出していたので違和感なく見られたし、全体に劇画的な演出がはまっていて気軽に見られた。

コンフィデンスマンは古沢良太の脚本なので見たが、リーガルハイ不足に悩んでいた自分にとてもフィットして、全編倍速再生のようなスピードと濃縮感はさすが!と唸らされた。

真田丸で堺雅人と絡んでいた長澤まさみが今度は古美門チックにバタバタ動くというのも違和感なく受け入れられて、絶妙のキャスティング。

さらに「あーあー、長澤まさみだったらな~」とリーガルハイで言わせた返歌をこの作品で「あーあー、ガッキーならなぁ~」とやってみせたあたり、サービス精神旺盛で思わず「わかってらっしゃる・・・」と感激した。

ドタバタコメディといえば「おっさんずラブ」も楽しみに見ていた。偶々番宣で出ていた田中圭の挙動が面白く、では・・・と思って見始めたところ、小気味よいドタバタコメディで一気に引き込まれた。

田中圭は、「ブラック会社に勤めているのだが、もうダメかもしれない」で冷淡な切れ者を見事に演じていて注目していたが、


ここにきて「アオイホノオ」の柳楽優弥ばりに振り切った演技を見せて、

荒唐無稽な話を笑いながら受け入れさせる道化役を見事にこなしていた。

伊東修子演じる先輩社員は下手をすると大やけどしてしまうキャラだが、妙に既視感があって物語に違和感なくはまっていて、「サムライ・フィクション」の神戸浩を思い起こさせた。
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こういうクセのある脇が活きると、全体に視野が広がって楽しみが増えるのだなと改めて実感。

2019年1月 5日 (土)

TWEEDEES「DELICIOUS.」

いまや唯一新譜(!?)を買うバンドであるTWEEDEESの三枚目のアルバムが発売され、未だ旧式人間の自分はCDを購入して、しばらくはずっと聞いていた。


オープニング曲でアルバムタイトル名にもなっている「DELICIOUS.」はいきなりタイトなリズムで始まりちょっと変化球かなとも思ったけれども、すぐにいつものように濃密で手の込んだ音達が押し寄せてきて圧倒された。リズムの一部は人力でのドラムンベースのようにも感じられ、メロディも相俟って雰囲気がコーネリアスの「star fruits surf rider」のサビに似ていると感じ、親和感を覚える。

ここからM-2の流れは、2枚目のM-1~3への疾走感を継承するものでたまらないものがあった。たまらないと言えば「東京は夜の七時」を取り上げて、まるで違和感なく今という時代に合った曲に昇華されていたところもグッと来た。

御本家がリミックスを出したのと同タイミングだったが、「これこれ!」感は圧倒的にTWEEDEESの方が高かった。

沖井氏は「この曲のキモは”早くあなたに会いたい”という心情」とインタビューで語っていたがまさに我が意を得たりで、それをベースに昨今の繋がっているようで繋がっていない寂しい私たちを描写していて「うまいなぁ・・・」と呟いてしまった。

その部分もお得意の「教誨系」(=絶対的存在へ疑問と救いを投げかけるスタイル)に仕上げてきていて、すとんと腹に落ちる内容。妙に大ネタにしてしまい、曲のコアをぼやかしてしまった椎名林檎嬢に見習ってほしいとすら思ってしまった。

これ以外の曲も大変作りこまれていて、破綻なく淀みなく流れていき、唯々心地よい。特に清浦嬢の歌唱力には舌を巻き、「こんなに聞かせる人だったのか・・・」と思わせる進境ぶりがあった。

1・2枚目はどこか客演感が漂っていたが、今作ではもはや彼女の声抜きではバンドの音が成立しないのでは・・・と思わされ、「シンバルズを忘れさせてあげる」と宣言した通りのことをさらりとやってのけていて感服した。

少し気になったのはアイドル・声優界隈での仕事から引っ張ってきた客へのサービスとしてウィンドチャイム・チューブラーベル・ハープの「キラキラ系三種の神器」が多用され、それが全体の平坦さにつながったように感じられた点。個人的には「Air Guitar」「LIAR・SADIST・COWARD」に連なる小粋な小品を次作では期待したい。

ともあれ、新しい水平を見せてくれた二人に大きな拍手を送るとともに、より一層かけがえのない二人になっていく様をこれからも見ていきたいという欲求が生まれた一枚だった。
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↑イギリスに行って様々な写真を撮れるまでに・・・英国風味ぶりが似ていて、the pillowsの「彼女はシスター」のPVを見た時のことを思い出した次第。このPV、ちょっといい小品なので記憶に残っている。


2019年1月 1日 (火)

2019年のおせち料理

大人になったら行きつけの店でおせちを誂えてもらって楽しみたいという宿願が、学生の頃からあった。今年は平成最後の正月、三十年色々あったが自分たちなりに刻苦精励したとの思いがあり、その労りに宿願を叶えようと足繁く通っている「きよ友」さんで受け付けていたおせちを頼んでみることにした。

大晦日、前日から徹夜で仕込んでいたという重箱を持ち帰り、明けて元旦、期待に胸膨らませて包みをほどく。
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実りの象徴、稲穂が添えられた重箱を開けると、端正に調製された祝肴の数々が並んでまさに壮観。
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一の重は錦玉子・伊達巻・紅白蒲鉾・数の子・帆立旨煮・栗渋皮煮・鴨ロース・栗金団・田作・車海老旨煮・黒豆、二の重には鰆西京焼・鰊昆布巻・子持鮎甘露煮・酢蛸・菊花蕪・煮締(梅花人参・蓮根・八つ頭・牛蒡・椎茸・筍)。

いずれも初日の出の光で照り映えて実に旨そう。
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そして見栄えどおりにいずれも旨くて酒は進むし、思わず笑みはこぼれるしで素晴らしい新年の口開けとなった。特に子持鮎甘露煮、鴨ロースが酒に合い、煮締も筍のみずみずしさや八つ頭の滑らかな舌触りとこっくりとした味わいが格別で、用意していた澤屋まつもと守破離は夜には空いて、早々に剣菱の応援を得る始末。
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御値段二万円也と値は張るように思うが、素材と調理の確かさを考えれば十分に値打ちのあるもので、ワインの小瓶も箸も敷紙もついて至れり尽くせり。来年もなんらかの理由を作って頼むようにしたい。

自分では雑煮とかぶら寿司を作った。今年の雑煮は鶏ハムを自作して餅に載せるようにしてみたが、その方がおさまりが良くて見栄えがいい。
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かぶら寿司は初めて作ってみたが、皮をむいて漬け込んだことから乳酸菌が少なかったようでべったらっぽい出来に。塩鰤の代用で生ハムを挟んで食べたがこれは申し分なく代役を相勤めてくれた。取り合わせを考え付いた自分を褒めたいところ。
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菓子は花びら餅を初めて楽しんでみようと思い、御嶽山の「呂万寿」へ出かけて購入。求肥の出来が素晴らしく、ふわふわ具合が赤ん坊の肌を思わせて、なるほど常若を願う新年の菓子に相応しいものだった。
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他にも梅や鶴などを模った上生菓子も堪能して、いい正月を迎えることが出来た。ありがたい限りである。

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2018年12月22日 (土)

忘年温泉七沢行2:行き帰りの立ち寄り

七沢の行き帰りに立ち寄ったところを順に。

【Hal】
乗換駅の中央林間に初めて降りる。夜は旅館料理だから、洋風のなにかを食べようと思って駅近のHalへ。

休日の丁度昼時だったのでファミリーを中心に細長い店内は盛況。ギリギリ二人席を確保し、マルゲリータのランチセットを頼む。ピザはまずまずだったが、前菜にキャロットラペなどが盛り合わせてあり、更にデザートもコーヒーゼリーにバニラアイスを盛り合わせてあって全体の満足感は高かった。この辺りがこの盛況につながっているのだと感じた。
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【三吉野】
宿でのおやつと思って、これも駅近のこちらに伺う。朝生菓子に焼菓子、上生菓子、さらにはおにぎり・いなり寿司もあり幅広いラインナップ。店も明るいショーケースが中心に据えられていて、洋菓子屋のような雰囲気。それもあってか客が結構いて少しびっくり。

狙いの上生菓子はクリスマス仕様になっていたので、季節らしいものは少なかった。山の紅葉を模ったと思われるきんとんは餡がとても緩くてねっとりしており独特の感じ。個人的には苦手だが、繁盛している和菓子屋でよく見かけるタイプだ。生クリームの滑らかさに慣れた客から支持されているのかもしれない。次は生菓子のラインナップが揃っているタイミングに伺えればと思う。
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【高橋農園直売所】
かぶと湯につながる細い道の入り口にある。
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今年は作物が取れに取れて休む暇がないとこぼす店番の方に勧められてゆずと里芋を買って帰る。ゆずはこれで100円!と格安で、しばらくはゆず大根やポン酢・焼魚のあしらい、そしてゆず湯と存分に楽しめた。
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里芋は海老芋寄りの食感で炊き合わせやおでんに大活躍。次に出かける際にも是非寄りたい。

【龍屋直売所】
昨年伊東温泉に泊まった時に自販機で売っていた柿ピーが美味しくて調べたら、こちらのものだと判明。
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次にかぶと湯に行く際には・・・と期していての訪問。七沢から伊勢原駅行きのバスに乗り、片町十字路で降りてテクテク歩く。途中咲き残ったコスモスに心和ませているうちに到着。
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工場の入り口に小さな建物があってそこに各種商品が揃っている。気に入っている柿ピーに加え、トリュフ塩を使用したマカダミアナッツを購入。期待通りの美味しさで満足した。
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【小公子】
前回かぶと湯に行った際には定休日で残念だった小公子。今回は開いていたのですかさず寄ることにする。中に入るとベンチシートがあり、タバコの煙によってチェスナット色の照りが与えられた木の内装などイギリスのパブのような雰囲気。
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片や甲冑が飾られている前の壺にさざんかが投げ入れられていて、それが店の雰囲気に同化しているところが面白い。こちらはタバコ屋と共同経営されていて、伺った際にはお試し用のタバコありますとの掲示があり、肩身の狭い愛煙家にとってはまたとない店でもあるようだ。

季節のおすすめ、ホットココアを啜り、ドアから差し込む柔らかな冬の日差しを眺めていると心がほどけていくのがありありと判る。いい雰囲気で息抜きできてとても満足した。

【九品仏の紅葉】
大井町線まで戻り、平日なのにゴールデン街のような盛り上がりを見せていた「しげ正」で昼を摂って、腹ごなしに九品仏の紅葉を楽しむ。今年は暖かな秋だったから、クリスマス前でもかなり紅葉が残っていてソコソコ楽しめた。来年は門近くの焔魔堂が完成するので、工事の囲いなど余計なものが目に入らずに紅葉が楽しめるだろう。

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暖かな冬の入り口に手近な鄙びの温泉というのは、ラクに楽しめてつくづく良いものだナと感じる旅だった。

2018年12月21日 (金)

忘年温泉七沢行1:かぶと湯温泉山水楼

昨秋立ち寄りで出かけた厚木・七沢のかぶと湯温泉山水楼に家人が友人と出かけ、やはり良いことを改めて実感し泊りに行こうとの申し出があったので、昨冬に続き忘年会方々温泉宿に泊りに行くことにした。

中央林間で乗り換えがてら昼食を取り、伊勢原からバスに揺られて14時過ぎに宿に到着。今年は温かかったから、山並の柴色の紅葉がまだ楽しめた。
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最近は立ち寄り湯が人気のようで到着早々はガヤガヤとしていたものの、チェックインの時間となる15時以降になると徐々にその声は遠のいていき、日が暮れる前には静寂を取り戻した。
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部屋は浴場の上の奥の部屋。炬燵があるかな・・・と思ったが設置されておらず。しかしガスストーブがあったので、これで暖を取る。

この日は宿泊は我々のみだったので、広い方の女湯を貸切で使わせてもらった。確かに内湯の大きさはほとんど変わらないが、露天風呂に縁台があって眼下のせせらぎの様子も臨めることが出来、男湯よりも広々とした感じがあった。
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↑夜はライトアップされて良い雰囲気。
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↑里山らしいせせらぎが縁台の下に流れている。

お湯は相変わらずの極上ぬるすべ湯で温度も申し分なく、湯船に浸かるのがそこまで好きではない自分でも揺蕩う悦びを存分に味わえた。

食事はこの季節らしく猪鍋がメイン。
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↑猪は猟ではなく落とし穴の罠にかかったもので、活〆しているから血生臭さが格段に少ないとの由。確かに全く違和感がなかった。

前回日帰りの時に出てきた八寸が酒飲み心をくすぐる内容だったが、今回も佳肴揃いな上に地酒「盛枡」の燗が円やかで殊更旨かったこともあって少々聞し召し過ぎた。
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猪鍋は初めてだったが、赤身は噛み締めがあり脂身はさらりとしていてさっぱりといただけた。ぼたん鍋が盛んな関西では赤味噌仕立が主流と聞いていたので、同じ味わいをこの丹沢で味わえたというのはなんだか得した気分に。〆は鍋の汁をご飯にかけまわして啜りこんだが、甘じょっぱい味わいがよく合って大変美味。
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↑これを・・・
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↑こうしてやると・・・しみじみ旨い。

翌朝も出汁のしみた飛龍頭、出来立ての玉子焼、塩加減がぴたりと決まった鯵の干物、何よりご飯が美味しくて久々に朝から飯を三膳も平らげてしまった。
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↑朝ももれなく美味しい水菓子がつくのが嬉しい。

静かな山間でいいお湯に浸かり、身体が喜ぶ料理の数々を腹に詰め込んですっかり満足げに笑みをこぼしながら宿を後にした。家人は「もうわざわざ遠くまで温泉に泊まりに行かなくていい」と呟いていたが、確かにそう思わせる滞在だった。これで秋冬と体験したので、次は夏に鮎を食べに出かけることとしたい。

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↑朝靄に覆われた山並みに見送られ帰京の途に

2018年12月10日 (月)

ロワール

梅雨前に多摩川台公園にアジサイを見に行った帰り、コルディアルの代替探しの一環として奥沢のロワールへ立ち寄ってみた。

なんでもブランデーケーキが有名とのことで一竿購入し、時折裏表をひっくり返してお勧め通り1か月寝かせてから食べるという人生初のケーキ体験をした。
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確かにブランデーのアルコールが落ち着いてケーキにまとわる酒精に変化し、これが甘みにアクセントをつけてくれて大変美味しい。
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これは・・・と思い、秋には定番のアップルパイとモンブランを購入。特にモンブランは添えられたチョコの苦みが栗の野趣を漂わせるのに一役買っていて、ごく簡単な工夫が大きな変化を与えることに感じ入った。
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↑焼菓子も味の濃密さが出色で大変美味しい。

経験豊富なシェフが作る実直で創意あるケーキがお安く手に入るというのも個人的には魅力で、散歩が苦でない春や秋にはその目的地として活躍してくれそうな予感がしている。

2018年12月 5日 (水)

玉川屋

こちらは目黒駅から目と鼻の先という好立地。まずもって地価高騰著しい山手線内の駅前でひとつ数百円の和菓子を実直に作り続けている姿勢には敬意を表すよりほかない。だから、目黒に行けばできるだけ店に寄って何点かは買って帰るようにしている店だ。

色味がくっきりした生菓子が多いという印象だが、
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先日目黒不動尊の縁日をぶらついていたら出店があって、色鮮やかな柚子薯蕷が目に入り思わず買って帰ることに。やや武骨にも見えるが、ゆず本来の形を活写していて個人的には好ましく感じた。

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ゆずの薫りは控え目で少し物足りなかったが、街並みの紅葉を愛でた後だっただけに深まり行く秋を感じることが出来て、印象に残る一品だった。

2018年12月 1日 (土)

大文字

自由が丘は遠目には不思議なきらびやかさがあるのに、近づいてみるとこれといったものがない亜空間のような場所で、金田に行くぐらいしか赴くことはなかった。しかし、自由が丘デパートの先にここ大文字があることを知ってからは幾らか訪れる頻度が上がった。

ショウケースにはずらりと和菓子が並んでいてウキウキするものがある。しかもそのほとんどが朝生菓子で、ぬれぬれとしたそれが整然と並ぶ姿は店前を通る人の目に触れて、否が応にも購買欲をそそる。

こちらではいつも黄身時雨を買うことになる。ふかふかした風合いとしっかり甘い味わいがいい具合に調和していてとても美味しい。
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夏であれば水羊羹がいい。黒糖もしくは塩なのだろうか、ミネラルを感じさせる味わいがあって、暑い盛りに口に入れると舌が喜びだす一品。
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この他、鹿の子や栗蒸し羊羹などベーシックなものがきちんと美味しいのは安心感を抱かせる。
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この地でここまで地に足ついた商売をしているのは珍しいからか根強いファンが多いようで、先だっては店裏の作業場を改装してすっかり綺麗に。餅や豆を蒸す湯気がほこほこと遠望できるというのも、きちんとした手仕事によって商品が生み出されていることを強く感じさせるし、客にとっては良い趣向だと思う。今後とも是非ご盛業されることを祈念している。

2018年11月16日 (金)

懐旧金沢シーサイド(下):杉田臨海緑地・中原亭・柴漁港の魚を味わう

並木北から南部市場までシーサイドラインに乗って行く。市場はすでに卸売機能は停止して、今は隣に大規模な産直棟を建てて地産地消の一大拠点に変貌を遂げる真っ最中。完成した暁にはぜひとも立ち寄ってみたい。
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市場を横目に杉田方面へ歩くと、子供の頃の主釣り場であった杉田川やそれに隣接する日飛、横浜マリーナが見えてきて懐かしさがこみ上げる。
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往時「マリーナ」と呼ばれた日飛前の空き地でアイナメやハゼ、回遊するシコイワシを釣っては楽しんでいたが、今は「杉田臨海緑地公園」として整備されていて随分と綺麗に様変わりしていた。
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釣りの方はあんまり芳しくないようだったが、家族連れが楽し気に釣りに興じている様子はいかにも平和な光景で心和む。沖合のテトラの堤防はまったく同じ姿のまま残っていて、丁度晩秋の頃湾内にちょい投げすると落ちハゼが入れ食いになったことがあって、友人たちと興奮しながら家路についたことが思い起こされた。

そんな甘い記憶もこの表札で一気に冷めた。皆大変な目に遭わされただろうな・・・
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新杉田まで歩き、古株のいわし料理乃津前を通過して
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目指すは中華の中原亭。
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勤め始めた頃、給料が出るとここに行って五目おこげをビールでやるのが楽しみだったのを思い出して寄ってみることにした。店は往年の街の食堂スタイルから、中華居酒屋スタイルに変貌していて昼はランチメニューしか頼めない仕様に変わっていた。あれれ、大丈夫かな・・・と不安になりながら五目焼そばを注文。

予想外に清湯ベースのあんかけでしかもキャベツがメイン。これはやばいパターンでは・・・と一口食べてみたところ杞憂に終わる。キャベツはきちんとクタクタになるまで火が通っていて、清湯ベースの餡もくどさのないさっぱりした仕上がりで美味しい。往年のうま煮餡を期待していたのは裏切られたけれど、これはこれでとても美味しくいただけてほっとした。
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帰りがけ、20年前には元気に接客をしていた女将さんが厨房に現れてにこやかな笑顔を見ることが出来た。会話している内容から、今は時折様子を見に来る程度のようだったが、お世話になった頃の温顔に再びまみえて、「来た甲斐があったな」としみじみ感じ、心の中で「その節は大変お世話になりました。御盛業で何よりです。」と呟いて店を後にした。


自宅では柴漁港で仕入れてきた魚で数日魚の酒宴が催された。鯒は初めてだったので捌くのに苦労させられたが、
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薄造り・焼き霜造りにあら煮、昆布締めと様々に調理して高貴な白身を堪能。
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穴子は煮穴子にして、うどんにも載せて食べる。
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穴子の残りと鯒の残りは、釣ってきたハゼと共に揚げて江戸前天婦羅として楽しむ。これがさっぱりとした仕上がりで、すだち塩でやったら堪らなかった。
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特筆ものは活けクマエビで、酒塩して半日置いた後に3分ほど蒸してやったら真っ赤に仕上がり食欲をそそる。殻をむいてかぶりつくと、歯応えと海老特有の香気が素晴らしくて悶絶。これは次回もっと買いたい。
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来年季節を迎えたら、釣りに遠征に行こうと心に決めた次第。



中原亭中華料理 / 新杉田駅杉田駅屏風浦駅
昼総合点★★★☆☆ 3.4

2018年11月15日 (木)

懐旧金沢シーサイド(上):柴漁港・福浦・並木

この秋は友人によって釣りに久々に目覚め、また母校のクラス会幹事をすることにもなって、子供の頃釣りに出かけた金沢の海がどうなっているのかが気になった。あれこれ検索していると丁度いいことに柴漁港でお祭りがあるというから、シーサイドラインの一日乗車券を使ってあちこち見て回ってみた。
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八景駅はシーサイドラインとの直結工事で全く様変わりしていたが、平潟湾から見える景色は記憶のままで、朝靄にかすむ様子は金沢八景と称賛されたころの片鱗を覗かせてくれた。
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海の公園柴口で下車して歩いて3-4分行くと漁港に到着。大漁旗が翻って祭りの雰囲気を盛り上げていた。
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目当ての鮮魚の直売は開始10分前ですでに30人ほどが行列していたが、大きな混乱もなく無事活けのマゴチとクマエビ、それに〆た穴子二尾を購入。港直売と言っても全然市価と変わらずこれで2千円弱。希少な魚を仕入れることができるのだから、こちらとしては全く問題ない。

その他の出店はあまり興味を引くものがなかったので、またシーサイドラインに乗って市大医学部前まで行く。ここは社会人になってすぐの頃病を得て入院していた因縁の場所。改めてみると随分立派なところに入れてもらえていたのだなと感心する。
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歩いて海の方へ10分も行くと、東京近郊では屈指の釣り場である福浦に到着。土日は物凄い混雑ぶりときいていたが、そこまででは無かった。
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↑足元には木っ端メジナが群れていた

このどこまでも続く岸壁に何度も何度も通って釣れない釣りを展開していたなぁとしばし懐かしんだら、踵を返してまたシーサイドラインへ。
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よく覗いている和菓子マニアの方がちょくちょく寄っている並木の富貴へ寄るべく、並木北駅へ。

その名の通り並木が続く道を行くと、
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懐かしいシーサイドショッピングセンターのアーチが見えてくる。
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店はこの一角、OKストアの隣で盛業中。中へ入ると上生菓子だけで7-8種類も揃い、目移りしてしばし逡巡してしまうほど。お陰で久々に選ぶ楽しみを味わうことが出来た。七五三の季節だったので神社のモチーフで鈴や鳩が並び、あとは晩秋の雰囲気を伝えるきのこや茅葺に霜が降りる様など、なるほど随分造形美に長けた菓子が揃っている。
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また、霜の見事なグラデーションと言い、咲き始めたさざんかの小さな花といい、鈴の紅白綱といい、細部まで一切手抜きなく作り上げているのが驚きで、ここに導いてくれた先達が贔屓にしているのもよくわかる品々だった。もちろん、味も申し分なく、ほこほこと甘みが口に広がる優しい味わいが心に残った。

店を出てとなりの船溜まりへ行くと、陽光を一身に浴びて心地よい。
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往時はこの季節ならハゼ釣り師で賑わっていたが、今は渡り鳥を撮影しようとバズーカをずらりと並べたカメラ師たちがたくさん居てのどかな光景を展開していた。


再び並木北駅に戻って、南部市場まで行く。
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富貴和菓子 / 並木北駅並木中央駅京急富岡駅
昼総合点★★★☆☆ 3.8

2018年11月10日 (土)

寒露褐色油壺2:静観荘

宿をとったのは避風塘となる油壺湾を眼下に見下ろす静観荘。その立地から朝晩の湾の変化が部屋から楽しめる。

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ここにヨットを係留する人が利用する客の大宗を占めるとあって、魚が旨いことは言うまでもない。

初日の晩は食べることに没頭して写真をあまり撮れなかったが、こっくり仕上げたカワハギの煮付やねっとり具合が堪らず酒が進む太刀魚のなめろうなど小品が抜かりなく美味で嬉しくなる。
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しかしこの日は姿盛りで出されたアカハタが圧巻だった。しっとりした身を噛み締めると得も言われぬ旨味が口に広がってしばし恍惚の時を過ごすことに。
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湯引きした皮と胃のコリっとした食感も、肝のあっさりとしたコク深さも印象に残る旨さだった。
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翌朝、これまた魚尽くしの膳で唸ってしまう。
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特に宗田鰹のヅケはねっとりとした身質が官能的で、絶妙の塩加減のエボダイとともに朝からどんぶり飯と相成ってしまった戦犯といっていい。
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二日目の夜もまだまだ魚攻めが続いて嬉しい悲鳴を上げた。えぐみを抜くのに白ワインを使った〆鯖、
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出汁の風味で食べる栄螺のつぼ焼き、
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ぶりんとした身が楽しめるカサゴの酒蒸し、
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リクエストにより再度登場の宗田鰹の和風ドレッシング和え、
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まるでかまぼこのような弾力と香ばしさが酒を呼ぶ太刀魚のサンガ焼き、
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噛み締めがあって旨味の強い本かますの塩焼き
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とどれもこれも素材の確かさとそれに加えた一工夫が見事に味に昇華していて実に旨い。

白眉は昨日に続いて姿盛りで供された「リュウオウ」。
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リュウオウとは三浦での呼び名で、どうやらフサカサゴなどオニカサゴ系の魚のようだが、頭から背中にかけて続くトゲが龍のそれににていることから名付けられたらしい。
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これがコリコリの身で、じんわり旨味が広がる逸品。毎晩魚の調理法など楽しく教えてくださった女将さんが一番好きな魚なんだというのも頷ける。

もちろんこれも皮・肝・胃が供され、特に肝はさらりと通り過ぎるのに風味の余韻がいつまでも続いて、その間盃を数度空けることになるという酒徒惑溺の佳肴であった。
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前日のアカハタに続き、このリュウオウも翌日の朝にアラを味噌汁にしていただいたのだが、どこに潜んでいたのかというくらい脂が染み出してきて、少し肌寒くなった気候だったから、殊の外身体が喜ぶ一椀だった。
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最終日の朝食は以下の通りで、魚攻めの悦楽の終止符を打つことに。
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↑またもや宗田鰹のヅケを!ありがたや・・・
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↑数年ぶりに旨い鯵の干物を食べた。秘訣を教えてもらったのは僥倖。

湾を眺める風呂を貸切にしてもらって、夕日を浴びながら思う存分身体を伸ばして湯あみを楽しめたし、
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偶々地縁のあった女将さんと往年のスターの話などに花が咲いて寛いで滞在することが出来た。

建物はそこそこ年季を経ているものの、
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掃除は行き届いていて毎日花も活けてくれるなど心遣いが嬉しく、
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水回りのフロアシートなどの模様は懐かしい雰囲気があって個人的には心安らいだ。
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魚食に造詣が深く静かな時間を過ごしたい向きには、絶好の宿だと思う。

味な宿 静歓荘旅館 / 三崎口駅
夜総合点★★★☆☆ 3.8

2018年11月 5日 (月)

寒露褐色油壺1:小網代の森・マリンパーク

油壺に魚の美味しい宿があるそうなので出かけたいとの家人の申し入れを受けて、およそ20年ぶりで界隈に出かけた。
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初日、宿に荷物を預けてからかねてから足を運びたいと思っていた小網代の森へ。本当は森から海へ至る道が正しいのだろうが、宿が海側の入り口に近かったので、シーボニア脇を通り海側から行くことに。
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先日の大型台風で塩害がひどいと聞いていたが、森に行く道すがら枯れた木々を見て嫌な予感が。
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山の切通のようなところを抜けると小さな湾が開けて眺めがいい。
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しかし、想像していた通り塩害によって森は一面褐色の有様。期待していた鬱蒼とした森と海のコントラストが楽しめず残念。
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しかし、小さな野の花や西日に輝く葦原の美しさには触れることはできて心和む。
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宿泊した翌日は油壺マリンパークへ。ここは幼少期家族と、そして小学校の遠足、大人になって家人とのデート、そして今回と四回目の訪問となる。千葉にあるねずみの国には2回しか行ったことがないから、よほどの贔屓ぶりと言える。
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↑チンアナゴはサンシャインに見に行った記憶が。物凄い並んだことしか覚えていないが・・・

丁度開場50周年ということでイルカショーもそれ用に演出されていたが、なんともほのぼのとした出し物で心が緩む。
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また魚たちの学校という出し物は確か幼少期の写真にもあったから、40年以上変わらず続いているようで、もはや伝統芸の域に入っているように思われた。
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比較的新し目のカワウソの展示は、その行動をつぶさに見られるよう透明のチューブなど多用していたが、カワウソが昼寝タイムのようで全く用をなしておらず思わず苦笑。それでもかわいらしい寝姿を見ることが出来たのは収穫だった。
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見終えて水族館脇の道を下って浜に出る。大学の頃のバイトでここにたくさんのテントを張ったのだが、よくぞこの急な坂を上り下りしていたなと感慨にふける。
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海岸には誰もおらず、往時は身を寄せ合った家人もつれなくブラブラとして時間を持て余し気味の様子。独り遠くに過ぎ去った若さと時間を懐かしみ、宿へと引き返すことにした。
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2018年11月 1日 (木)

京急沿線ハゼ・シロギス釣り

秋口に小学校以来の友人と呑んだ際「久々に釣りに行ってみたい」との話があり、色々調べたら多摩川河口でハゼが釣れるとのことだったので、もう1名誘って出かけてみた。

川の河口とは言え、そこは多摩川だから川幅は500Mほどあってほとんど海といってよく、遠くに二大タワーが臨めてなかなかの景色だった。
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潮が満ちてくるタイミングだったが、岸壁から5Mのところにウキを落とすとその度に沈むという入れ食い状態。1.5時間ほどで45匹と数は申し分なかったが、ほとんどが10㎝前後とサイズが小さい。9月下旬だったから、それもやむを得ないところか。
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帰りには黒湯の温泉銭湯で汗を流して、蒲田の鳥万で一杯やって・・・と手軽に行楽気分を満喫できたのに気を良くして、今度は午前に津久井浜でシロギス、午後は大岡川でハゼという釣行を企画。

津久井浜は東京湾内で波が静かなイメージだったがこの日はうねりが入って波が高く、ひどい時は岸から10M以上引き波で底が見えてしまうような状況。ちょい投げでかなり釣れるという情報を頼りにコンパクトロッドしか持って行かなかった我々には厳しい状況だった。
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そんな中、下げ3分に入ったタイミングで友人が丸々と太ったシロギスの大物を釣り上げる。
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25㎝弱と大迫力の魚体で、これを見て俄然やる気を出すが、こちらはクサフグ2匹が釣れたのみ。昼前に切り上げて京急で日ノ出町まで行き、午後は大岡川河口でハゼ釣りへ。桜木町のワシントンホテル裏にボードウォークが出来ていて、みなとみらいを一望できる好立地。
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↑チビハゼを足元に逃がしてやると、物陰に隠れていたフッコが現れ丸飲みするのを何度も目撃。うまいこと考えたものだ。

10月末と秋が深まったせいか、ここは多摩川河口の時より食いが渋い。また、1号のオモリを使ったちょい投げなので、うき釣りとは違ってなかなか針にかけることが難しかった。2時間半頑張ったが、なんとか20匹を釣り上げるに留まる。その後はぴおシティで打ち上げをして、ほろっと酔って帰路についた。

ハゼは小さいが、今回道糸をPEラインに変えたところ、アタリが鋭敏に伝わってきてプルプルという手ごたえがなんとも楽しかった。美しい夕景も楽しめたし、来年以降もこの時期の釣行→(温泉)→呑みという気楽な釣行は楽しんでみたい。
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2018年10月25日 (木)

ビストロモザール

本格的なフレンチはボンシュマン、普段使いの洋食屋はアンシャンテと決まりつつあるが、洒落た一皿でワインを嗜むビストロ的な店がなかなか見当たらずここ数年苦戦してきた。ポワソンルージュは味に厚みがなく、最近できたマイユはワインの値と量のバランスが悪すぎ、その近くのトコトコは雰囲気が今一つ。

目黒にも白金にも足を運んだが、これといったところは見つからずどうしたものかと思っていたところ、大井町にモザールという店が出来たというのでランチに行ったところ、副菜類が充実した美味しいものであったにも関わらず千円でおつりがくるというリーズナブルさ。これは夜も期待できるのではと思って、雨のそぼ降る冷たい夜に伺ってみた。

身体を温めようと頼んだ有機人参のポタージュは「これかぼちゃじゃないの?」と思うくらいに甘みをたたえていて、胃にほっこりと明かりを灯してくれた。
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鰯のトマト煮はトマトの旨味が全体に行き渡り、ごく穏やかで優しい風味なのがいい。鰯の鮮度がいいから、味をきつくしないでも問題ないのだろう。
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自家製パンはズシリと詰まった重みがあるのに、ふかふかと柔らかい仕上がりが出色。元手と手間がかかっていることが伺えた。あつあつで供されるのもいい。
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白眉はパテドカンパーニュで全体に滑らかな舌触りであるものの、こりこりやむにゅむにゅ等様々な部位の歯応えが程よく舌の上に現出して心地よい。ゼラチンの風味も時折広がって、一口毎に食べる楽しみがあった。またフムスやキャロットラぺなどふんだんに添えられた副菜も申し分なく、これも客としては嬉しい趣向。
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メインの羊肩肉のローストはおよそ150gほどはあろうか。不惑を越えた夫婦としては取り分けて食べるのにちょうど適した量だった。赤身部分はこれ見よがしに赤くなく、いい具合の薄桃色に火が通っていてきっちり噛み締めがあって旨い。一方、脂身の多い部分は、それはそれで肉を喰らう荒ぶる感じがあって、一皿で異なる肉質を味わえて得した気持ちになる。

プラムやチェリーのニュアンスが漂うグラスワインも美味しかったし、量も納得できるものだった。これを4杯いただいて〆て御会計が7千円というのはいかにもビストロ価格で、すっかり気に入ってしまった。

職人気質とお見受けしたご主人はやや表情が硬く、笑顔が増えると尚の事寛げる様になって良いなと感じた。なんとなればハンバーグやカキフライ、ハイボールにレモンサワーもあるので洋食屋使いできるのも好ましい。ちょっといい店に出会えた悦びを胸に店を後にした。

ビストロ モザールビストロ / 大井町駅青物横丁駅鮫洲駅
夜総合点★★★☆☆ 3.7

2018年10月10日 (水)

中華井門

タワーマンションの建設ラッシュによって、個人的には街場の中華として重宝していた新楽飯店が店を閉めた。替わりにどこかないだろうかとあれこれ思案してふと思いついて伺ったのがこちらの井門だった。

中華料理がまだ御馳走だった頃の残り香がある重厚な雰囲気がそこかしこに残るものの、都内に多くの不動産を持つ井門さんの余力のお陰で、質の高い中華が手頃な価格で食べられるのがありがたい。

個人的には季節野菜の塩炒めがとても気に入っている。きのこ類だけで袋茸・しめじ・椎茸が入り、アスパラ・青梗菜・絹さやの緑、もやし・蓮根の白、薩摩芋・黄韮・銀杏・ヤングコーンの黄色、人
参の橙色と彩りも豊富で食欲をそそる。Dscn2790

どの素材にも完璧な火入れがなされ、また油を乳化させてまとわせているので、あっさりした塩味の品がいい。また、素材毎の歯ざわりや風味を入れ替わり立ち替わり楽しめるので、食べていて心が浮き立つ。

叉焼もきちんと八角が薫り、おこげは豪勢な音と湯気が気持ちを高めてくれるし、丁寧な作りの点心も抜かりなく美味しい。
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何より店員の方の気働きが行き届いていて、ストレスなく食事ができるのがありがたい。いつ行っても個室で宴会が開かれているのも頷けるというものだ。

しかし、この愛すべき店も2019年1月をもって閉店になるという。それまでに数々の名菜を脳裏に刻むべく足しげく通うつもりだが、いかにも閉店は口惜しい。武蔵小山の街の魅力がどんどん低下していくことに一抹の不安を感じるのは私だけではないと思うが、どうだろうか。

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中華井門広東料理 / 武蔵小山駅西小山駅戸越銀座駅
夜総合点★★★☆☆ 3.8

2018年9月20日 (木)

中秋の名月を楽しむ

今年は酷暑だったからか、涼しくなって中秋の名月が近づいてきた時にお供えをして楽しむかな・・・という考えがもたげた。

偶々近所の花屋の前を通ったら、秋の七草を取り入れた花束が売っていたので、御嶽山の和菓子店「呂万寿」に行って菓子も仕入れて、家で飾ってみたところ一気に秋らしい風情が出て、虫の音も心地よく中秋の名月を愛でることが出来た。
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月見団子は固まってしまうので、満月の描かれた薯蕷饅頭で代用。他に黄身時雨を満月に見立てた一品が秋の雰囲気を濃厚に伝えて良かった。
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胡麻一粒があることで虫の音も聞こえてくるかのように思われるのだから不思議なものだ。

人生においてどうやら秋の季節を迎えたことでもあるし、これからしばらくはこの月見の慣習を生活に取り入れて、しんどかった夏との別れを告げる日として大事にしたい。

呂万寿和菓子 / 御嶽山駅久が原駅雪が谷大塚駅
昼総合点★★★☆☆ 3.7

2018年9月10日 (月)

アンシャンテ

週末ごとの外食ローテーションを組むにあたって、居酒屋ばかりになってしまうのもやや食傷気味となってしまうので、街の洋食屋のような店があると非常に助かるな・・・と思って、近隣を探ってみたところこちらに行きあたった。以来平均して月1回程度足を運んでいる。冷前菜・温前菜・メインと各種揃っていて、しばらく行かないとそのどれかが食べたくなって足を運ぶことになる。

冷前菜では鰊のマリネ、それから蛸とセロリのサラダがさっぱりとしてていい。春から夏にかけてはこれらをアテにビールやたっぷりと注いでくれる白ワインを楽しむ。
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温前菜ではキノコとジャガイモのゴルゴンゾーラグラタンを押したい。滑らかなベシャメルソースからコク深いゴルゴンゾーラの風味が漂って鼻腔をくすぐる。これに赤ワインを合わせてやると、クリームのコク味とワインの渋味が混ざり合って後引く旨味に昇華するから凄い。
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メインはつばめグリル仕込みのハンバーグが目に付くけれど、個人的には魚介類、特に海老フライと銀鱈のムニエルを贔屓にしている。前者は圧倒的なクリスピー感を保った衣の歯応えとぷりっとした海老の歯応えのコントラストが楽しく、後者は焦がしバターの風味が滑らかにほどけていく銀鱈の身質によく合っていて甲乙つけがたく旨い。どちらの皿も付け合わせにとりどりの野菜が添えられていてそれも楽しい。
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あとはロールキャベツ、それにメンチカツもいい。
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デザートは夏だとシトラスのゼリー、冬は焼きリンゴのバニラアイス添えで、いずれも手抜かりなく季節を甘やかに感じられていい。
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たくさんのドライフラワーや絵、スパイスが飾られている店内はフランスの田舎町のレストランのように感じられ、個人的には心落ち着く。明るくまろやかな接客が心地よい奥様と厨房を一人で取り仕切るご主人の二人三脚も好ましく、このあたりもあってお屋敷街の住人も家族連れで来ていて、店全体の暖かな雰囲気を醸し出すのに一役買っている。

実直で飾りのない、しかしどれも間違いなく旨い洋食を食べたいという向きにはお勧めできる店だと思う。

2018年9月 5日 (水)

横浜紅谷

実家の父母がこちらの和菓子好きを知るに及んで、用事で帰るとここ「紅谷」の生菓子を持たせてくれるようになった。

紅谷というのは鎌倉の銘菓「あじさい」を出しているところもその名だったかと記憶しているけども、横浜・鎌倉界隈での一大勢力となっているのだろうか。

先だってまだ暑い9月に持たせてもらった時には、陽気を踏まえて大福はやや塩味を感じさせるもので配慮を感じたし、また重陽の節句を意識した菊の練り切りも端正な作りで見応えがあった。
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並木には「富貴」があるし、横浜の周縁部は地価もさほど高騰していないから、常連を掴んでの小商いというのがまだ成立しているのかもしれない。ともあれ、実家に帰る際の楽しみが増えたことはありがたいものだと思う。

2018年8月10日 (金)

東京から18きっぷで行く日帰り旅:夏の大三角形武甲駿ぐるり

家人との旅の際に購入した18きっぷの残りを使ってどこかに行くかと・・・案を練り、甲府から身延線で東海道に出る三角ルートに辿り着いた。旅の目的は以下の通り

①甲府の酷暑を体感②甲府駅近くの粟大福購入③古風な六曜館珈琲店で涼む④名駅弁を輩出する丸政の駅弁を食べる⑤富士川沿いの車窓を楽しむ⑥静岡「こばやし」で飲んで〆る。

ややゆっくり目に家を出て新宿経由で中央線に。高尾到着時にはすでに35℃超えの体感。天狗の鼻もうなだれて見える。
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甲府までは音楽を聴いて過ごす。ミシェル・ルグランの「夏の歌」の燦燦たる陽光のようなイントロが流れてきた途端に視界が開けた時には、あまりにも完全な夏が現出したからか脳が甘く痺れ、
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長いトンネル内でシンバルズの「ハイウェイスター・スピードスター」が流れた際には、中央線内でも疾走感を味わえることを知った。

出発から3時間半で甲府到着。改札を出たくらいではさほど暑さを感じなかったが、駅ビルからロータリーへ出る階段の最後の三段では一段毎に2℃近く体感温度が上がり、外に出た瞬間に酷暑に包囲された。
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特に甲府城址横の日陰のない道を歩いている際には、体中にエアコンの室外機の排気を浴びているかのような有様で、呼吸をすればドライヤーの風を口に当てられているような状態。流石に身の危険を感じて折り畳み雨傘を用いて人生で初めて日傘使用と相成る。
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にもかかわらず、粟大福目当てで向かった五味餅菓子店はまさかの店舗建て替え工事で営業しておらず・・・恨みがましく思いながら、六曜館珈琲店まで命からがら歩く。

あとで調べるとこの時間気温は38度内外。この後39度手前まで上がるが、とにかく普通に歩くのも辛い。だから六曜館に滑り込んだ時には、砂漠のオアシスに辿り着いたかの悦びがあった。
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店内は外の熱波からは隔絶されていて、涼やかにステンドグラスは輝き、かっつんかっつん振り子を揺らす時代がかった時計が暑さで昂進した身体のリズムを整えてくれる。わざわざ豆を挽くところから作ってくれた珈琲はやや薄くさっぱりしていて夏に合う風味だった。
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駅へ取って返して改札内の駅弁屋を覗いたところ、丸政の本拠地ではないからか種類も少なく名の知れたものも置いていない。やむなくふんわり玉子サンドを買って身延線に乗り込む。
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これがふんわりとは真逆のぎちっとした玉子焼きにパンが張り付いているという極端なシロモノで、甘い玉子を鱈腹というのは胃もたれするし、第一味に飽きてしまう。せめてチリトマトソースやからしマヨネーズなどをつけて欲しかった。
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身延線は信玄の駿河侵攻ルートと記憶しているが、川に丸太舟を浮かべて下ったら速攻も可能だったのかな・・・と思ったりしながらぼんやり車窓をただただ眺める。下部温泉を過ぎたあたりから富士川の流れがよく見えるようになり、甲府盆地では見かけた桃や葡萄の実がなる様子は消えて、代わりに茶畑がぽつぽつ見えてきて静岡に入ったことを知る。
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終点富士駅から東海道線で静岡駅まで行くと、すでに宵の口。いよいよこの度の主目的ともいえるこばやしへ向かうと、看板の灯が消えている・・・
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入口のシャッターには「本日臨時休業」との張り紙が・・・今日という今日に休みとはツイてない。やむなく鍛冶町界隈を汗だくになりながらさまよい歩き、さっぱりとした店構えの「たけい」さんへ入る。

メニューはこばやしとほぼ同じで串揚げと串焼き、静岡おでんが三本柱。こちらはさらに静岡の地酒と魚が揃っていたが、気持ちは串焼きと串揚げに傾いていたので何本かをビールで流し込む。いずれも水準の出来ではあるが、こばやしで感じた軽い感動のようなものはなくて、あっさり引き揚げることとする。
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1年ぶりの18きっぷ旅だったが、〆が締まらないと帰京する電車がとてもつらいことになることを知った。今度は浜松方面へ出かけた帰りに、静岡のリベンジをしようと心に誓った次第。
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六曜館珈琲店 本店喫茶店 / 甲府駅)  
昼総合点★★★☆☆ 3.5

駅弁屋 甲州弁当 / 甲府駅金手駅
昼総合点★★★☆☆ 3.0

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