2006京都菊花賞観覧記(4)
宿泊した宿は二つ。
【島屋】四条烏丸
地下鉄もバスも使い勝手が良い立地で、ぶらぶら歩いている内に河原町や祇園界隈に着くので、非常に重宝している宿。おまけに女将さんは朗らかで、料金も安く、寝具は清潔。いうことなし、といったところか。
特筆すべきはお茶受け。初めて「阿闍梨餅」を知ったのはこちらであり、今回の滞在時には栗を練りこんだ餅で作られた大層美味しい大福だった。ちょっとしたことだが、嬉しい趣向だ。町屋の雰囲気をわずかに感じられることからか、個人旅行の外国人の姿をよく見かける。口コミで居心地の良さが広まっているのかも知れない。かなり気に入って使わせてもらっている。
【多津美旅館】八幡市橋本
時代祭の前夜ということで市内の旅館・ホテルはどこも満杯。そこで競馬場近くに泊まってしまおうとi-タウンページで見つけたのがこちら。「全室LAN完備。素泊まり3,000円」との惹句に魅力を感じて泊まることに決めたのだが、よくよく調べると、付近一帯は昔遊郭だった場所で、随分と粋な建物が今も残っており、こちらもその内の一つであることが判った。
夜の九時過ぎ、橋本駅から川沿いにあるこちらを目指すが、駅で降りた乗客は誰もこちらの方には流れてこない。少し心配になる。かなり闇が濃く感じられる。手探りでとぼとぼ歩いていくと、やがて旅館が見えてきた。
入ってすぐ右にある手摺の無い大階段を上って、二階奥の間に通される。ぱっと見、単なる古びた旅館と変わらないと思ったが、違い棚の上に作られた引き戸がヤニで煤けつつも妖しく金色に輝いていて、オッと思う。
欄間には松竹梅の透かし彫り、衣桁には鶴とおめでたい意匠があちこちに見られる。衣桁の使い込まれた古びれ具合に様々な空想が膨らんだ。
改めて入口に目を転じると、ふすまの上の壁は大きく開いていて、竹で作った山の稜線の欄間が申し訳程度に飾られていた。往時はここから漏れ聞こえてくる嬌声が廊下に響き渡り、他の部屋の気分を高揚させていたのかもしれない。
翌朝、摺りガラスからの光で目が覚めた後、もう少し色々と見て回る。窓を開けると目の前は天王山。ごく小さく見える赤い屋根はアサヒビールの大山崎山荘のようだ。
帰りがけ、手摺の無い大階段から入口を望む。ことさらに表が眩しく見えるのは、建物の来歴を知ってしまったからかもしれない。
こちらの女将さんも商売っ気が無く、気さくで、何くれとなくお世話をしていただいた。最近では菊花賞など競馬観戦でこちらに泊まるお客もほとんど無くなったらしい。玄関で記念写真をお願いすると、溢れるような笑顔でカメラを構える。思わずこちらもつられて笑ってしまう、いい笑顔だった。
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コメント
早速記事拝見しました。
やはり一度泊まってみる価値ありそうですね。
今度、関西に来る友人にも勧めてみようかと思います。
投稿: m-louis | 2006年10月28日 (土) 13時34分
m-louisさん、コメントありがとう
ございます。
土手沿いの道路を通る車の通過音が気に
なりましたが、なかなかに味わい深い
滞在でした。
私の持っているデジカメではこの程度の
写真となってしまいましたので、ご友人が
行かれた際に改めて内部の状況をご確認
いただければ幸いです。
投稿: Mr.noone special | 2006年10月28日 (土) 19時20分
m-louisさんのところから来ましたneon
と申します。m-louisさんのブログを御覧になればお判りのように、私は橋本には思い入れがあり、この旅館も泊まってみたくてたまらなかったのです。ついに「泊まった」方のレポート出現。やっぱり中も好いですね。あのタンゴ男女のステンドグラスは見ていたのですが廊下の感じなどは初めて見ました。ああすぐにでも行きたい~。でもお陰様で色々わかり嬉しかったです。
投稿: neon | 2006年11月 6日 (月) 20時25分
neonさん、コメントありがとうございます。
レポートが少しはお役に立てたようでほっと
しております。
若干追記すると、常夜灯が赤でして、その
雰囲気に一寸どぎまぎしてしまいました。
また、その赤い灯りに照らされた金色の襖
の妖しい鈍色が特に印象に残っています。
私はneonさんとm-louisさんのブログを
拝見しなければこちらに宿泊することは
なかったと思いますので、その点ではお二人
に大変感謝しております。
橋本は良い具合に日常に埋もれた静かな
街並がとても良かったです。様々な
意匠も見ることができましたし、何より
京都競馬場が近かったのも有り難かった
です。
今度は対岸の山崎近辺と合わせて訪問して
みたいと思っています。
neonさんの訪問記も首を長くしてお待ち
しております。
投稿: Mr.noone special | 2006年11月 6日 (月) 21時03分