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2019年8月20日 (火)

東京都心の和菓子屋巡り

東京の都心三区で小商いの筆頭ともいえる和菓子屋を営むのは到底困難な時世となっているから、たまに見かけると応援方々買って帰ることになる。

赤坂見附など用事があって降りた例はないが、幸い東急メトロパスは地下鉄線内乗り降り自由なので、小山台高校の応援に神宮に行った時に地上へ上がってすぐの青野に行ってみる。駅出口すぐ横という申し分ない立地で盛業していて頼もしいかぎり。中に入ると朝生菓子から上生菓子、季節柄涼し気な水羊羹や水まんじゅうと豊富な品ぞろえで目移りするが、お手並み拝見と思って「ほおずき」と「ほたる」との銘の上生菓子を購入。
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裏に戻って商品を持ってきたから、この季節の事、冷蔵していたようで餡がやや硬く感じられ重い雰囲気だったのは少し残念だったが、その造形の美しさはなかなかのものだった。若主人とお見受けした方の練れた接客は流石のもので、この立地ならではのお使い物需要を手堅く満たしているようだった。

銀座に出た時にはイトシアの裏に回って大角玉屋の出店を覗くようにしている。家人がよく土産に買ってきてくれて馴染みになったが、高速道路の下のこじんまりとした店がいかにも和菓子屋らしくて好もしい。いちご大福の元祖として名が知れているが、ここも上生菓子を何種かは置いているのでそれを目当てに足を運んでいる。

夏のある日、水の流れを模したものと「水遊び」との銘のものを買って帰る。古典的な型のものも、現代風にポップな色調に仕上げたものも仕上がりは美しく、一服の清涼剤になる。
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しかして餡は個人的には得意ではないねっとりとした系統のもので、夏だけに舌に甘みが残るのは爽快さという点では残念だが、逆に秋冬にはこの甘さの余韻が心に響いてくるだろう。

三田の慶應の前の大坂家は山口瞳の実家がが麻布に家を構えていた時の贔屓で、御母堂の依頼で「織部饅頭」を作ったという逸話を聞いて10年以上前に出かけて行ったことがある。過日界隈に用事があったので立ち寄ってみると、変わらず盛業中のようで安心する。

萌え出づる芽吹きを模った「若草」と君時雨を買って帰ったが、まず色調の具合がいい。そうして「若草」は細かな細工が施されていて、それが春の野のわき立つ精気を感じさせて見事な造り。
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甘みも餡のほどけ具合もごく品が良くて、この辺りの旧家にお邪魔した際に美味しい緑茶と共に出されたらさぞ良いだろうなと夢想してしまった。

そういえば・・・と大坂屋の店先で思い出して、歩いて10分ほどの松島屋へ行ったらまだ豆大福があったので買って帰る。東京三大大福の一角を担う店だが相変わらずざっかけない店構えで、まだ港区にも庶民の生活が残っていた頃の風情が色濃く残っていて好ましい。そうして豆大福は相変わらずたっぷりのえんどう豆とさっくりと切れの良い餡、ふるふるした食触が身上の餅が三位一体となって卓越した味に昇華しており、しみじみ美味しい。
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近々こちらの近所に引っ越される上皇夫妻にも、遠い昭和を懐かしむひと時に食べていただきたい逸品だと思う

2019年8月10日 (土)

日本橋アンテナショップ巡り

美々卯に行ったり、国立映画アーカイブで古い邦画をみたりと京橋にはちょくちょく足を運んだ。それで隣町の日本橋の状況を探ったら、各県のアンテナショップが揃い踏みしていたのでぐるりと回ってみた。

一等北にある日本橋ふくしま館には阿闍梨餅のフォロワーの中では至高の出来である三万石の「三千里」が置いてなくて残念。みえテラスは品揃えも豊富で、飲みなれた「瀧自慢純米大吟醸」も置いてあったが、これという品に欠きここもスルー。奈良まほろば館では柿の葉寿司があったので買ったが、米が乾燥していて今一つ・・・
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島根にほんばし館では松江の銘菓「若草」を買おうと思ったら売り切れ。ブリッジにいがたとここ滋賀はこじんまりとしすぎていて商品が少なくスルー。

ようやく目当ての品があったのは「日本橋長崎館」で、商品の展示がかなり上段の方まであって、どこかヴィレッジヴァンガードのように感じられて購買意欲をくすぐる。目当ての「カスドース」は入り口付近で発見。試してみたかっただけなので、二個入り500円のものが置いてあったのも有難い。
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帰って食べると、ザラメがまぶされたフレンチトーストといった感があるものの、想像よりは甘くなくさっぱりとしていて面白かった。
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色々回って一番良かったのは「日本橋とやま館」。工芸品の展示に地酒が楽しめるバーカウンターと食事処も備え、更には観光相談できるカウンターまである。それでいて空間を広くとっているからゴミゴミした感じはなく、ゆったり見て回れる。
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それに商品がいい。和菓子は「薄氷」というものを買ったが、これは食通池波正太郎の師匠筋にあたる小島政二郎が推奨文を書いている。小島某といっても、今の世の中では知る人もほぼ皆無であろうが、この菓子を広く全国に紹介して店が盛業となった恩を忘れない気風が感じられて好ましく思う。
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湿気を防ぐために真綿にくるまれたそれは、口に含むとしゅるしゅる・・・と溶け出して、気づくと淡い甘みだけを舌に残して跡形もなく消えてしまう。なるほど薄氷とはよく言ったもので、その銘に偽りはない。最後にそこはかとなく切なさを覚え、その感じが寂びの残心を思い起こさせて趣深い。これは良い菓子を知った。
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それから「月世界」というのも買ってみたが、これまたふわしゅわっとした寂び系のもので、富山の人はこういう感じを甚く好むのだと知った。

酒のつまみには鯖の麹漬けを買ったが、程よい酸味と麹の旨味が相まってきりっと冷えた日本酒によく合って美味しい。これが500円というのは随分お得に感じた。
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富山と言えば氷見の鰤があるから、冬になれば同じく麹を使ったかぶら寿司もきっと旨いだろう。季節の愉しみが一つ増えたアンテナショップ巡りだった。

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