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2019年12月11日 (水)

東急バス一日乗車券で師走に紅葉と名建築を楽しむ

代々木上原にある駒場公園内に旧前田家の豪奢な邸宅が残っていて、紅葉も楽しめるというので色々調べると東急バスを乗り継いでいけることが判明したので、例によって1日乗車券をチャージして出かけてみることにした。

駒場というだけあって、東大の施設が散在する通りを行くとその名も「代々木上原」というバス停があって、降りて1分ほどで公園に着く。森閑とした道を行くと、車寄せも備えた見事な洋館が現れる。
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昨年整備されて一般公開され、あちこちで取り上げられていたがブームは一段落したようで、全然人を見かけない状態であちこちの部屋を覗く。
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この建物の建築費はどこから来たのか興味が湧くほど造りは本式で、いかにも貴族の館という風格を兼ね備えている。さすがは重要文化財に指定されているだけのことはある。
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その建物を独り占めしている時間がかなり長くて、大変贅沢な時を過ごせた。

隣には和館があって、そこは見事な紅葉の景色を備えていて、付書院はぼんやりと紅に染まっていて情緒深い。この環境なら一句詠んでも、上出来のものが誂えられるだろうと思う。
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満足して近くの岬屋に向かう途中で、共にマスクのカップルとすれ違う。「俳優の青木某氏では?随分地味な奥さんだな・・・妊娠しているみたいだけど。」との感想が脳裏をよぎり、帰宅して調べたら相手は優香だということだった。

岬屋は細い路地にあるが、暖簾が揺れていてようやくそこだと気づく位小体な店でちょっと意外。元々工場がメインで、そこに直売できるスペースを作ったような雰囲気だった。

初霜は餡の中に栗餡と思われるものが包まれているが、味わいの諧調がほぼ変わらないのでその効果は判然としなかった。
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枯露柿は大福を柿に模したもの。中の餡の滑らかさと軽い口当たりは出色だった。
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黄身時雨はきんとんの様にも見えるが、かっちりとした造り。しかし餡はふんわりしていて、この辺りは最近評価が高い店に共通する仕上がりで人気があるのも頷ける。
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再び渋谷に戻って大井町行のバスに乗り、大崎広小路で降りて五反田の「亜細亜」へ。昼から少し奢って五目そばを頼む。「うちのは塩味ですが宜しいですか?」とミャンマー出身と見受ける店員が確認してくるあたり、よくしつけが施されていて安心感を覚える。そこまで気働きが行き届いているから、五目そばも良かった。
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凡百の店では火の通りが甘い人参や白菜がたんまり載っていて幻滅してしまうこともあるが、ここのはきちんと味が染みこんでいて、確かな具材にきちんと下拵えしてあるからそれぞれの味わいが際立っていていい。巻繊のような面白い具材もあって、値段相応の一杯だったからとても満足した。

食後、一旦帰宅した後、夜になって川崎までバスで出てGUの超大型店限定のブーツを2千円で買う。こういう機会がないとなかなか来れないから、GUには是非都内城南地区にも超大型店を開設して欲しいものだ。凡そ所期の目的は達成したので、駅に隣接したつばめグリルで一献。
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中々の距離を移動して(総移動距離41km)歴史ある建物に紅葉と和菓子、それから老舗中華に買い出しまで済ませて、満足感に浸りながら傾ける黄金色の液体は、思っていた通りの旨さでするりと胃の腑に流れ込んでいった。

最後に一句。 ”紅葉を 師走に愛でる 時来たり ”
・・・あの付書院の効果はそんなには無いようだ。

2019年11月25日 (月)

呂万寿

【2019.11追記】
引き続いて通っている。手頃な価格で季節ごとにとりどりの菓子を揃えてくれていて頼りにしている。


新春には寿ぐ意匠の菓子が揃う。
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正月菓子の花びら餅もちゃんとそろえているのが心憎い。ふわふわの餅と白味噌餡が古式ゆかしい味わい。
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春は萌黄の浮島に始まり百花繚乱。
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夏は麩饅頭の爽味で暑気払い。蚕豆は姿形が愛らしい。
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秋になると定番の黄身しぐれには焼き目が入って雰囲気を醸し出す。
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春の萌黄は秋の黄葉に。
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その内に栗きんとんが並ぶと朝夕めっきりひんやりしてくる。
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垣根に山茶花が咲き、徐々に進む紅葉に「冬来たりなば、春遠からじ」との思いも募る。
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↑大のお気に入りで冬の愉しみニッキ入り浮島。今年は栗羊羹との組み合わせ。落ち葉がないので勝手に「木枯」との銘を授ける。

年中販売のカステラは乾燥防止のPET容器に入っている。パサつかずに美味しさが長続きする工夫がされていて、予想外のことだっただけに驚いた。最近の砂糖過多のねっとりした生地ではなく、さらりとした古風な風合いが保たれていて美味しかった。
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これからも四季折々の菓子で楽しませてもらえれば幸い。

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↑これが直近購入したものの盛り合わせ。この日は餡の具合が抜群で、絹のように滑らかな舌触りと春のさざ波のように嫋やかで高貴な甘みがこだまの様に舌に幾度も響き渡って、実に甘党で良かった・・・と感慨に耽ってしまった。

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昭和の中頃までに開発された名のある住宅街の近くには細々ながら本筋の和菓子屋が残っている、というのがこの数年和菓子屋探訪を続けて得た法則だ。

田園調布が社長の街なら久が原・御嶽山界隈は部長の街と昭和の頃には言われていたようで、この辺りには確かになかなかの邸宅が立ち並んでいて、そこに店を構える「呂万寿」には見込んだ通り季節ごとに心惹かれる菓子が並ぶ。
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最初に伺った秋口にはふかふかの食感と鮮やかな黄色が特徴的な芋羊羹と艶めかしい肌の薯蕷饅頭に心を奪われた。

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晩秋の頃には「落葉」との銘の菓子を買ってみたが、浮島に一筋入った線のところにニッキが仕込んであって、その薫りにいかにも冬が到来するのだなという心持にさせられた。

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春になると彩りを増した菓子の数々が愛らしく咲き、

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端午の節句には粽が並ぶとのことで出かけたら、店頭一杯に笹巻の粽が並んでいてちょっと壮観だった。

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仄甘くむっちりとした歯応えが奥ゆかしく、笹の爽香に胸がすく想いがした。


これならば水無月も申し分ないだろうと6月下旬に出向いてみたが、見当たらず。しかし替わりに買って帰った水羊羹が良かった。甘みの深度があるにもかかわらず後口の消え具合が鮮やかで、しかも塩漬けの桜葉に巻かれているからそれが後口をさっぱりとしてくれるし、暑い盛りの塩分補給にもなって理にもかなっている。
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↑右下は蛍火を模ったもの

きんとん製の向日葵は少し不格好かなと思ったが、偶々見かけた伊藤若冲が描いたそれに似ていて、古典的な表現方法に則ったものなのかも知れないと思い直した。また芥子の実による種の表現が心憎い。
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↑若冲の向日葵


行く度に色々な発見があるので、ちょくちょく覗いてとりあえずは季節を一回りすることと、店頭に大きな賞状が二つも掲げられているカステラを試してみることとしたい。

呂万寿和菓子 / 御嶽山駅久が原駅雪が谷大塚駅

昼総合点★★★☆☆ 3.7

 

2019年11月23日 (土)

風林堂

【2019.11追記】
御嶽山の「呂万寿」とこちら「風林堂」が目下のところ自分の贔屓にしている和菓子店になる。尤もいずれも自宅から遠いから、足繁くは通えていないので大きな顔はできない。

こちらの上生菓子は淡い色調が基調となっていて儚げな印象なものが多く、その辺りに寂びの風情が漂う。
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正月の寿ぐ意匠も繊細な仕上がりで、控えめに新年を賀してくれた。
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ある秋の盛り合わせ。日毎に澄んでいく空気を感じさせる。
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朝生菓子や焼菓子にはなかなか面白いものがある。鶯餅は豆入り、栗浮島と栗カステラは似て非なる味わい。
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相変わらず人懐っこくてきぱきと接客されている大女将との会話も楽しみで、あの笑顔と和装と手さばきを見るのも楽しみになってる。引き続きお世話になっていきたい良店だと思う。

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返す返すも残念なのは洗足池近くの「あかつき」が店を閉めてしまったことだ。そうなってみると急に和菓子が食べたいと思い立っていく店がないことに気づき、近隣を探したところこちらに行きついた。駅からは遠いが、坂上の洗足あたりのお得意様の贔屓もあってか、立地の割には立派でイキイキとした店構えで少しほっとする。

 

季節の生菓子を買ったところ、先客があって少し待たせたのをわびて、名物の鼓餅をおまけで入れてくれた。八十を過ぎてなお店先に立つ女将さんの人柄と商売人としての心意気も店を継続させている原動力なのかもしれない。

 

淡い色彩の生菓子はしっとりした餡の具合と仄かに舌に伸びていく品の良い甘さがとても良かった。後日買い求めたみたらし団子も、いい具合の甘じょっぱさとみっちりとした餅の粘りが調和していて後を引く味わいで嬉しくなった。今後とも季節ごとに足を運びたいと思う。
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風林堂和菓子 / 西小山駅洗足駅
 
昼総合点★★★☆☆ 3.6

 

 

 

2019年8月20日 (火)

東京都心の和菓子屋巡り

東京の都心三区で小商いの筆頭ともいえる和菓子屋を営むのは到底困難な時世となっているから、たまに見かけると応援方々買って帰ることになる。

赤坂見附など用事があって降りた例はないが、幸い東急メトロパスは地下鉄線内乗り降り自由なので、小山台高校の応援に神宮に行った時に地上へ上がってすぐの青野に行ってみる。駅出口すぐ横という申し分ない立地で盛業していて頼もしいかぎり。中に入ると朝生菓子から上生菓子、季節柄涼し気な水羊羹や水まんじゅうと豊富な品ぞろえで目移りするが、お手並み拝見と思って「ほおずき」と「ほたる」との銘の上生菓子を購入。
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裏に戻って商品を持ってきたから、この季節の事、冷蔵していたようで餡がやや硬く感じられ重い雰囲気だったのは少し残念だったが、その造形の美しさはなかなかのものだった。若主人とお見受けした方の練れた接客は流石のもので、この立地ならではのお使い物需要を手堅く満たしているようだった。

銀座に出た時にはイトシアの裏に回って大角玉屋の出店を覗くようにしている。家人がよく土産に買ってきてくれて馴染みになったが、高速道路の下のこじんまりとした店がいかにも和菓子屋らしくて好もしい。いちご大福の元祖として名が知れているが、ここも上生菓子を何種かは置いているのでそれを目当てに足を運んでいる。

夏のある日、水の流れを模したものと「水遊び」との銘のものを買って帰る。古典的な型のものも、現代風にポップな色調に仕上げたものも仕上がりは美しく、一服の清涼剤になる。
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しかして餡は個人的には得意ではないねっとりとした系統のもので、夏だけに舌に甘みが残るのは爽快さという点では残念だが、逆に秋冬にはこの甘さの余韻が心に響いてくるだろう。

三田の慶應の前の大坂家は山口瞳の実家がが麻布に家を構えていた時の贔屓で、御母堂の依頼で「織部饅頭」を作ったという逸話を聞いて10年以上前に出かけて行ったことがある。過日界隈に用事があったので立ち寄ってみると、変わらず盛業中のようで安心する。

萌え出づる芽吹きを模った「若草」と君時雨を買って帰ったが、まず色調の具合がいい。そうして「若草」は細かな細工が施されていて、それが春の野のわき立つ精気を感じさせて見事な造り。
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甘みも餡のほどけ具合もごく品が良くて、この辺りの旧家にお邪魔した際に美味しい緑茶と共に出されたらさぞ良いだろうなと夢想してしまった。

そういえば・・・と大坂屋の店先で思い出して、歩いて10分ほどの松島屋へ行ったらまだ豆大福があったので買って帰る。東京三大大福の一角を担う店だが相変わらずざっかけない店構えで、まだ港区にも庶民の生活が残っていた頃の風情が色濃く残っていて好ましい。そうして豆大福は相変わらずたっぷりのえんどう豆とさっくりと切れの良い餡、ふるふるした食触が身上の餅が三位一体となって卓越した味に昇華しており、しみじみ美味しい。
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近々こちらの近所に引っ越される上皇夫妻にも、遠い昭和を懐かしむひと時に食べていただきたい逸品だと思う

2019年1月 1日 (火)

2019年のおせち料理

大人になったら行きつけの店でおせちを誂えてもらって楽しみたいという宿願が、学生の頃からあった。今年は平成最後の正月、三十年色々あったが自分たちなりに刻苦精励したとの思いがあり、その労りに宿願を叶えようと足繁く通っている「きよ友」さんで受け付けていたおせちを頼んでみることにした。

大晦日、前日から徹夜で仕込んでいたという重箱を持ち帰り、明けて元旦、期待に胸膨らませて包みをほどく。
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実りの象徴、稲穂が添えられた重箱を開けると、端正に調製された祝肴の数々が並んでまさに壮観。
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一の重は錦玉子・伊達巻・紅白蒲鉾・数の子・帆立旨煮・栗渋皮煮・鴨ロース・栗金団・田作・車海老旨煮・黒豆、二の重には鰆西京焼・鰊昆布巻・子持鮎甘露煮・酢蛸・菊花蕪・煮締(梅花人参・蓮根・八つ頭・牛蒡・椎茸・筍)。

いずれも初日の出の光で照り映えて実に旨そう。
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そして見栄えどおりにいずれも旨くて酒は進むし、思わず笑みはこぼれるしで素晴らしい新年の口開けとなった。特に子持鮎甘露煮、鴨ロースが酒に合い、煮締も筍のみずみずしさや八つ頭の滑らかな舌触りとこっくりとした味わいが格別で、用意していた澤屋まつもと守破離は夜には空いて、早々に剣菱の応援を得る始末。
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御値段二万円也と値は張るように思うが、素材と調理の確かさを考えれば十分に値打ちのあるもので、ワインの小瓶も箸も敷紙もついて至れり尽くせり。来年もなんらかの理由を作って頼むようにしたい。

自分では雑煮とかぶら寿司を作った。今年の雑煮は鶏ハムを自作して餅に載せるようにしてみたが、その方がおさまりが良くて見栄えがいい。
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かぶら寿司は初めて作ってみたが、皮をむいて漬け込んだことから乳酸菌が少なかったようでべったらっぽい出来に。塩鰤の代用で生ハムを挟んで食べたがこれは申し分なく代役を相勤めてくれた。取り合わせを考え付いた自分を褒めたいところ。
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菓子は花びら餅を初めて楽しんでみようと思い、御嶽山の「呂万寿」へ出かけて購入。求肥の出来が素晴らしく、ふわふわ具合が赤ん坊の肌を思わせて、なるほど常若を願う新年の菓子に相応しいものだった。
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他にも梅や鶴などを模った上生菓子も堪能して、いい正月を迎えることが出来た。ありがたい限りである。

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2018年12月 5日 (水)

玉川屋

こちらは目黒駅から目と鼻の先という好立地。まずもって地価高騰著しい山手線内の駅前でひとつ数百円の和菓子を実直に作り続けている姿勢には敬意を表すよりほかない。だから、目黒に行けばできるだけ店に寄って何点かは買って帰るようにしている店だ。

色味がくっきりした生菓子が多いという印象だが、
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先日目黒不動尊の縁日をぶらついていたら出店があって、色鮮やかな柚子薯蕷が目に入り思わず買って帰ることに。やや武骨にも見えるが、ゆず本来の形を活写していて個人的には好ましく感じた。

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ゆずの薫りは控え目で少し物足りなかったが、街並みの紅葉を愛でた後だっただけに深まり行く秋を感じることが出来て、印象に残る一品だった。

2018年12月 1日 (土)

大文字

自由が丘は遠目には不思議なきらびやかさがあるのに、近づいてみるとこれといったものがない亜空間のような場所で、金田に行くぐらいしか赴くことはなかった。しかし、自由が丘デパートの先にここ大文字があることを知ってからは幾らか訪れる頻度が上がった。

ショウケースにはずらりと和菓子が並んでいてウキウキするものがある。しかもそのほとんどが朝生菓子で、ぬれぬれとしたそれが整然と並ぶ姿は店前を通る人の目に触れて、否が応にも購買欲をそそる。

こちらではいつも黄身時雨を買うことになる。ふかふかした風合いとしっかり甘い味わいがいい具合に調和していてとても美味しい。
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夏であれば水羊羹がいい。黒糖もしくは塩なのだろうか、ミネラルを感じさせる味わいがあって、暑い盛りに口に入れると舌が喜びだす一品。
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この他、鹿の子や栗蒸し羊羹などベーシックなものがきちんと美味しいのは安心感を抱かせる。
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この地でここまで地に足ついた商売をしているのは珍しいからか根強いファンが多いようで、先だっては店裏の作業場を改装してすっかり綺麗に。餅や豆を蒸す湯気がほこほこと遠望できるというのも、きちんとした手仕事によって商品が生み出されていることを強く感じさせるし、客にとっては良い趣向だと思う。今後とも是非ご盛業されることを祈念している。

2018年9月20日 (木)

中秋の名月を楽しむ

今年は酷暑だったからか、涼しくなって中秋の名月が近づいてきた時にお供えをして楽しむかな・・・という考えがもたげた。

偶々近所の花屋の前を通ったら、秋の七草を取り入れた花束が売っていたので、御嶽山の和菓子店「呂万寿」に行って菓子も仕入れて、家で飾ってみたところ一気に秋らしい風情が出て、虫の音も心地よく中秋の名月を愛でることが出来た。
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月見団子は固まってしまうので、満月の描かれた薯蕷饅頭で代用。他に黄身時雨を満月に見立てた一品が秋の雰囲気を濃厚に伝えて良かった。
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胡麻一粒があることで虫の音も聞こえてくるかのように思われるのだから不思議なものだ。

人生においてどうやら秋の季節を迎えたことでもあるし、これからしばらくはこの月見の慣習を生活に取り入れて、しんどかった夏との別れを告げる日として大事にしたい。

呂万寿和菓子 / 御嶽山駅久が原駅雪が谷大塚駅
昼総合点★★★☆☆ 3.7

2018年7月20日 (金)

太市

洗足池の「あかつき」が店を閉じた後、どこか近隣に良い和菓子屋はないだろうかと都和菓子組合のHPを探索していたところ、西小山に茶会用の注文菓子を作っている「太市」があり、個人でもお願いできることを知った。しかし予約をしてまでは流石に…と思って足が向かわなかったところ、偶々読んだ「一日一菓」にこちらの菓子がいくつか取り上げられていて、しかもどれも美味しそうだったから、いよいよ重い腰を上げて電話で注文し、数日後店へ受け取りに行く。

その予約の段取りだが、少なくとも四日前には予約をしなければならず、だいたい旬間毎に上生菓子二種、干菓子二種が用意され、上生菓子は大きさが大中小とあるのでそれも伝えることとなる。また、茶会などで使う客は菓子入れの容器を預けていて、個人客が小量で注文する際には箱代がかかることが特徴的だ。

初めて予約した際は「上生菓子の2種を3つずつ、大きさは真ん中ので」と頼んだら、椿を象った練り切りと弥生餅と称する小ぶりな餅菓子が入っていた。
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注文生産するだけあって、しっとりふわふわした口当たりが際立っていて、特に弥生餅はふるふるとやわこい餅の具合が秀逸だった。

次には干菓子も合わせてお願いしたところ、生菓子は藤浪きんとんに玉ぼたん、干菓子は若楓に卯の花垣の取り合わせとなった。藤浪きんとんに卯の花垣と若楓をあしらうと、初夏の涼風が抜けるようで実に爽やかな気持ちに。少し冷やした緑茶で頂いたら一層気分が高まった。
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七月初旬は淡い蒼の天空が涼やかな錦玉羹の「天の川」がモダンな仕上がりで驚かせてくれた。
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↑こちらは繭玉。養蚕モチーフって意外とあるのだなと知らされる。

店舗は道路拡張工事地域に面しているところだが、現店舗の裏に新しい建物を建てていたから、今後とも滞りなく美しく甘やかな菓子に巡り合うことができるのは嬉しいことだ。予約の手間はかかるけれど、茶味溢れる菓子に出会える喜びを求めて、引き続き通ってみたい。

太市和菓子 / 西小山駅洗足駅北千束駅
昼総合点★★★☆☆ 3.7

2018年6月 2日 (土)

東急東京メトロパスで銘菓・銘酒・名建築(下)

ラピュタ阿佐ヶ谷で名画1本鑑賞後、取って返して丸ノ内線・南北線・有楽町線と乗り継ぎ再び護国寺へ。自分の人生で2護国寺/日があるとは思ってもみなかったが、群林堂対策のためやむに已まれぬルート選択となり珍事象が出来。(ちなみにこの時豆大福は売り切れていた)

 

 

再来したのは東京カテドラルへ行きたかったため。大塚警察署を曲がってすぐの細道を通っていくと、いい具合に時代を感じる坂道があって荷風にでもなった気がする。

 

 

 

するとじきにカテドラルの威容が見えてくる。このルートを通ると大聖堂の裏手を通るので、正面に到着するまで期待がどんどん高まっていい。
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やがて全容を現したが、見ただけでは教会とは思えず、なぜだか特撮ヒーローものの基地を思い浮かべてしまった。
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第一、屋根の上につきものの十字架がないではないかと思ったら、上空からこの建物を見ると十字架になっているというから念の入ったことだ。
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↑確かに・・・

中に入ると丁度パイプオルガンの演奏が伽藍堂の空間で行われていて、数人の観光客が席に座って聞き入っていたのでそれに倣う。ホールは音響をよく考えたものになっているのか、オルガンの音が頭の真上から降ってくるように感じられ、それがあたかも天にまします主上の尊さが音色に垂迹しているかのような効果をあげていて、無神論者の自分でも思わず厳粛な気持ちとならざるを得なかった。
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↑写真はネットから引用(内部は原則写真撮影禁止)

 


設計した丹下健三は死の数年前に洗礼を受け、今はこの大聖堂地下の納骨堂に眠っているという。さほどに気に入った建物であることが素直に首肯できる傑作だった。

ここからもと来た道を戻り、大塚警察署から東側に伸びる上り坂を行くと、筑波大付属中高とお茶の水女子大学が現れる。パルムドールを二回獲り、川島雄三を支えてその才を花開かせた今村昌平は大塚に生まれ、この筑波の付属(当時は東京師範学校附属中高)に通ったということだから、案外近場に優秀な学校があったのだなと上り坂をゼイゼイ言って登りながら思った。

お茶の水は元は女子師範学校だったはずで、筑波大学になる前の東京教育大学もここにあっただろうし、神田川の崖を下れば早稲田大学もあり、この辺りが文京と謳うのはそういう地縁もあるのだろうと実感することになった。

学校の間の細道(付属横坂というそうな)を通り抜けると茗荷谷に出る。ここまで来たのはこだわりの和菓子を作るという一幸庵へ寄るためだ。店構えはごく普通ながら、上生菓子を6-7種取り揃えていて、どれにするか懊悩したが、紅藍の花と蚕起食桑をお願いする。

店としては当日中に食して欲しいとの一筆が書かれていたが、こちらの胃の都合で翌朝食す。紅藍とは紅花のことのようで、黄色と赤が綯交ぜになった花弁を略再現していて感心する。
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ただ、薯蕷感が強すぎてもはやねっとりしてしまっていたので、口溶けがあまりよろしくなく少し残念だった。

桑の方はぱっと見銀杏の青葉にてんとう虫が止まっている情景かと思われた。確かに同時期皇室で養蚕の行事を執り行ったとの記事を見かけたので、季節を感じさせるものなのだろうが、凡俗な庶民にはピンと来るものではなかった。
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羽二重か求肥だと思われる皮の部分のしっとりもっちり具合は1日たっても失われておらず、ふわっと軽い餡とも相まって独特の美味しさがある。このムースのような空気感が和菓子では珍しいから支持されているのかもしれない。

茗荷谷駅まで戻り、ようやく最終目的地である四谷の鈴傳に向かう。南阿佐ヶ谷では西の端の丸の内線に乗ったわけだが、茗荷谷は東の端に近い場所でもあるので、一日の来し方を思うに感慨深い。ずっと乗って四谷まで回り込むのも良いが、早々に酒にありつきたかったので後楽園で乗り換えて南北線で四谷へ。
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店に入るとまだ早い時間で空いていてカウンターの一隅に席を確保。刺身の盛り合わせとゴーヤチャンプルに七田の夏酒で今日の無事を祝して一人乾杯。
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↑焦って撮ってピンボケ・・・

数年前来た時には店員はベテランぞろいだったように思うが、今日はアラフォーと思われる恰幅が良くて陽気な女性が取り仕切っていて少し雰囲気が変わっていた。この方の好みなのか、つまみも少しこってり気味なものにシフトしていて、日本酒呑みとしては少し寂しいところもあったが、相変わらずきっちり浸かったお新香は美味しくて、しかも生酒とやると酸味が弾ける独特の旨さがあり、東京の西北を右往左往した疲れも吹き飛んだ。

高い水準の酒が正一合でお安くいただける有難みはここ数年で重みを増しており、今後も末永く繁盛してくださることを祈念して店を後にした。

 

 

永青文庫や鳩山会館、青淵文庫等々豊島・文京界隈はまだまだ気になる場所が多い。機を見て再度訪れて高踏を気取ってみたい。

一幸庵和菓子 / 茗荷谷駅江戸川橋駅
 
昼総合点★★★☆☆ 3.3

鈴傳 四ツ谷日本酒バー / 四ツ谷駅四谷三丁目駅麹町駅

夜総合点★★★☆☆ 3.5