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2017年11月 5日 (日)

国宝観覧入洛記5:浪川菓舗・喫茶なかむら・清水坂界隈・京都タワー

【浪川菓舗】
祇園からバスで再び清水道へ。バス停脇に古風な開けた店構えが見えたら、そこが浪川菓舗だった。
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目的は餅菓子で、たぶんあるだろうと見込んでいた栗大福と鮮やかな色合いが目を引いた金柑餅、それに店先のガラスケースにたくさん飾ってあった柚子おこしを買ってみる。

栗大福は栗たっぷりで餅もふわふわ、餡も滑らかで期待以上の美味しさ。金柑餅は中に蜜煮した金柑と細やかな舌触りの白餡が入っていて、かぶりつくとふわりと柑橘の爽快な香りが漂い、控えめながらもきちっと甘い白あんが利いていて実に美味しい。
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柚子おこしも品の良い柚子の香りと、べたつかずさくっとした歯触りが持続しつづけるおこしの軽快さがいかにも京ごのみの風情があってとても良かった。
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普段使いの店でこれだけのものが手に入る洛中の人々を羨ましく思わせる店だった。

【清水坂界隈】
家人の行ってみたい店があったので、初めてこの界隈に足を踏み入れる。
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まずは二年坂入口にある高台寺中谷へ。手のひら位の浅い鉢をここしばらく探しているので、良いものがあればと思い立ち寄る。割烹などで使われる作家物が豊富でちょっといいなと思うものもあったが、手頃な大きさのものは見当たらず。重々しすぎず入れる店だったので、また立ち寄ってみたい。

もう少し登ったところが家人目当ての香十。セレクトショップのようなライティングで清々しい薫りに包まれていると良い気持ちになる。
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↑店先には季節の寄せ植えもあって、雰囲気を盛り立てていた。

続いて土産用に満月へ。阿闍梨餅は小豆不足で生産量が減っていて帰りに京都駅の売店を覗いたら売り切れ続出だったが、こちらは午後3時ごろでも混みあうこともなく問題なく購入できた。


五条坂には観光バスの巨大駐車場があってほぼ満杯。
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日本人も外国人もレンタルした着物姿の人がとにかく多かった。
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坂を下ったところが家人目当てその二の「ぴあり館」。着脱システムに特別な工夫がされたイヤリングを扱っていて、外れず痛くならないのが特色だという。気に入ったものが見つかったようでなにより。

【喫茶なかむら】
清水道から五条坂を下ってみるとバス停は長蛇の列。しかも京都駅に行くバスいずれも満員で到着して一向に列は進まず。そこで駅南にある九条車庫行に乗ってみると見事がらがらで、10分もしないで到着。

そこからイオンモールの浅野日本酒店で仙介の四合瓶を買い(ミニボトルは皆無で旅行者向きの店内ではなかった・・・)
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ほど近い「喫茶わたなべ」で一息つく。見事なレンガ造りでしかもいい具合に星霜を刻んでいるところがなんとも言えず味わい深い。
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胃が少しくちかったので、生まれて初めてミックスジュースを注文すると、きちんとミキサーに材料を入れて作ってくれて、さすが関西に来ているのだなと軽く感動。薄すぎず濃すぎず甘過ぎない絶妙な一杯で、歩き疲れた身体に沁みわたっていった。

家人が頼んだレモンスカッシュも、レモンの果実から果汁を絞ってくれていたので、香り高くまたべたっとした甘さの少ないきりっとした仕上がりで美味しかった。

駅から歩いて5分かからないのに静かでのんびりした空気が横溢していて居心地もよく、きっと珈琲の味も間違いないだろう。駅近くで時間調整する際に重宝する店だと思う。

【京都タワー】
JR東海のパック商品に入場無料券がついていたので夕景を眺めようと登ってみると、丹波の山並が霞がかっていい色合いを見せてくれた。
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一方、眼下の市内の様子はもはや京都らしい風情を残したところを探すのは難しく、東山魁夷の「年暮る」のような情緒は洛中からは去ってしまっているようだった。
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(↑画像はネットから引用)
どうもタワーは上るより下から眺めるものに変位したようだ。美しくライトアップされたタワーに見送られ、夜の帳の落ち始めた洛中から新幹線とともに洛外の闇へと去ることとした。
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日帰りでもまずまずゆとりを持って回ることが出来たし、十分楽しめた入洛だった。

浪川菓舗和菓子 / 祇園四条駅清水五条駅河原町駅
昼総合点★★★☆☆ 3.5

2017年11月 4日 (土)

国宝観覧入洛記4:松寿軒・祇園石・甘泉堂・いづ重

【松寿軒】
国宝展を鑑賞した後、バスで清水道まで出て松原通を西へ進む。通りに入ってすぐに「力餅食堂」、さらに行くとう巻がおいしそうだった川魚の「のと正」があり、いつか京都に長逗留したいと考えている身には心惹かれるものがあった。

目的の松寿軒はのと正から数軒行ったところにあったが、店構えはごく普通の街場の和菓子屋そのもので、それと知られた店には見えなかった。中に入ると女将さんが笑顔で迎えてくれ、予約しておいた旨を伝えると「選んで頂こうおもてましたんで・・・」と箱に入った生菓子を見せてくれた。4種でお願いしていたので、織部饅頭に黄味しぐれ、栗餅にきんとんのいが栗を選び、これも美味しいと聞いていた三笠もお願いする。

黄味しぐれは帰りの新幹線の車中で頂いたが、外身のふかっとした食感と中身の餡のあっさりとした滑らかさの対比が見事で、ちょっと今までに食べたことのないタイプのものだった。
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こちらは餡の軽やかさが身上のようで、いが栗を食べた時にもそれを感じた。砂糖はごく控えめで、質朴とも思える豆本来の甘みを生かしつつ、ふわふわとまるで霞のような餡の風合いが得も言われぬ品格を菓子に与えている。

一方、栗餅は栗がやや小さく少し物足りなさを感じ、また織部は日またぎしてしまったこともあり、皮の生気が失われてごく普通の薯蕷饅頭となっていて、実に惜しいことをしてしまった。
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その代わり三笠はしっとりした皮の風合いは失われておらず、どら焼きでは一番と思っている阿佐ヶ谷の「うさぎや」に引けをとらない出来で感服した。
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小体な店ながらきっちりと美味しい菓子を提供していて好ましく感じた。

【祇園石】
祇園川上で昼食をとって、ちょっと一服したいなと思い近くのこちらへ。前は無かったが1階入り口に喫茶部の案内板が出ていて、これは混んでいるかな…と思ったら、相変わらずのひっそりさは保たれていてほっとする。

昼は出汁三昧で口が甘いものを欲していたので、珍しくコーヒーフロートなどを頼んでみる。
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ごく普通の味わいだが、剛毅な天井と石壁に囲まれての一杯は特別感が添えられ気分がいい。
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ただ、前回同様関西マダム軍団の入店に遭遇してしまい、席につくだけで1-2分を費やすわ、やたらとけたたましいわで意気消沈して早々に退散した。店に責めはないが一寸残念。もし財力に余裕があるなら、銀座石にも喫茶部を作っていただければ幸い。

【甘泉堂】
祇園石からすぐの甘泉堂へ。山椒魚の住処のような薄暗い路地奥に息をひそめているかのような店で、その素っ気なさが最早味わいでもある。

水羊羹で驚嘆させられたこちらは秋は栗羊羹が名物。久々に食べたが、蒸し羊羹特有のねっちりした歯触りがやや強めで、餡の品の良さと拮抗しつつもそれをやや上回り、栗のほっくりした味わいとも相まって鄙の風情が感ぜられる一品だった。
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窓際の日向にあたりながら緑茶で食べたが、ほとほとと身体が温まって心も和み、晩秋らしさが愉しめてとても良かった。流石と言わざるを得ない。

【いづ重】
甘泉堂からはすぐで、大抵どちらかに寄ればどちらかにも寄ることになってしまう。時期的に良さそうなので鯖棒寿司を買って帰る。翌朝食べたが、見込んでいた通り身も厚く脂乗りもいい鯖で、こちらの鯖寿司の意匠とも言える断面の兎の耳もくっきり確認できる。
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となればもちろん味は保証されたもので、昨晩ともに持ち帰った「仙介」の生酒とともに久々に棒寿司の醍醐味が味わえた。いつかはこちらで甘鯛棒寿司を・・・と思っているが、これは末期の一食にとっておこうと思う。

松寿軒和菓子 / 清水五条駅祇園四条駅河原町駅)  
昼総合点★★★☆☆ 3.6

ぎおん石 喫茶室喫茶店 / 祇園四条駅三条京阪駅河原町駅)  
昼総合点★★★☆☆ 3.5

甘泉堂和菓子 / 祇園四条駅三条京阪駅三条駅)  
昼総合点★★★☆☆ 3.8

いづ重寿司 / 祇園四条駅東山駅三条京阪駅
昼総合点★★★☆☆ 3.7

2017年11月 3日 (金)

国宝観覧入洛記3:井政

日帰りでの入洛だったので、夕食はゆったりできないスケジュール。そこで夜は帰りの新幹線で美味しい折詰弁当を食べることにした。

今まで京都で弁当と言えば「あと村」だったのだが前回内容が落ちていたので、今回は新しいところを開拓してみることにした。有名なのは駅の伊勢丹で受け取れる老舗なのだろうが、そういうところは大量生産体制によるものだから、今一つ食指が伸びない。

そこで過去の旅行時のブックマークを調べてみると、「井政」という仕出し屋を発見。4,000円の二段重「茶福箱」を二つ以上予約をすれば京都駅まで届けてくれるという。ご主人のインスタグラムを見るに随分良さそうな感じだったので思い切って頼んでみることにした。

待ち合わせに指定されたのは八条東口の「祭時計広場」。
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定刻少し前にご主人自ら届けてくださった。白木が美しい折が真田紐で結ばれていて、開ける前から期待が高まる。
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車内がドタドタしている間は落ち着かないので名古屋までぐっと我慢して、発車早々折を開けると思わず顔がほころぶ景色が広がった。
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上段は出汁巻、松風、海老霰揚、南瓜・湿地・小芋・紅葉麩・高野豆腐・赤蒟蒻・飛龍頭炊き合わせ、焼栗、白瓜漬、麩田楽、松葉銀杏冬菇石付煮、薩摩芋公孫樹、蒲鉾、茄子とずいき胡麻クリーム和え、海老風味焼、鰆西京焼、茗荷酢漬。
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下段は穴子胡瓜・梅紫蘇海苔巻、鯛刺身旨酢ジュレ、枝豆ちりめん山椒御飯。

五色の彩りの配分も良く、実に食欲を刺激するビジュアルでなかなかの壮観。味わいもやや塩気が強めながら、全体に手堅くまとまっていて美味しい。ふんだんな酒肴を見越してイオンモール京都の浅野日本酒店で購入しておいた「仙介」の生酒が実によく合って、蕎麦猪口についでもついでもすぐに胃の腑に吸い込まれていく。
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いい具合に酔っていつもは長く感じる帰京の途も、実に良い心持でふわふわしている内に到着と相成った。月に一度は日本橋高島屋でこれが購入できるそうなので、とっておきの行楽の時などに利用してみたい。久々にブックマークしていた自分を褒めてやりたくなるような店との出会いだった。なお、刺身がデフォルトで入るようなので、受け取り後すぐに食べる必要があることを付言しておく。

井政京料理 / 丹波口駅西大路駅
夜総合点★★★☆☆ 3.8

2017年11月 2日 (木)

国宝観覧入洛記2:祇園川上

折角なので昼は京料理の神髄を感じられる店が良いなと思いあれこれ逡巡したが、老舗になりつつあるものの重厚過ぎない雰囲気が良さそうだったので、祇園川上へ行くことにした。

明るい時間に祇園をぶらついたのは初めてだが、打ち水をした路地にぴしりと直線の決まった町家が立ち並ぶ姿はなかなか清々しく、これもまた悪くないなと思っている内に目当ての「川上」に到着。
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席料もなしで入口右の個室に入れてもらえたのはありがたい。
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冷酒を頼んで昼の懐石が始まった。
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あしらいの黄葉が秋を告げる先付は先日旨さを知った茹で落花生も良かったが、茄子の葛寄せに胡麻クリームをかけたものがいかにも京料理らしくて美味。
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造りでは南蛮海老の甘みに瞠目。
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椀替わりの鯛の小鍋立ては出汁とポン酢の具合がたまらず、
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ここで熱燗を注文。
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続く揚物の鰆茸餡もわずかに甘みを強くした出汁の風味がよく合っていい。
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焼物替わりは牛ロースしゃぶしゃぶ。しゃぶしゃぶと言われたものの、葱が敷かれて餡が割り下風味だったので上品なすき焼のようでもある。
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美しい塗椀で供されたのは海老とオクラの揚げ出汁。
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海老の旨味は感じられたがちょっと甘めの出汁系が続いて変化が欲しいと思ったところに、酢の物に紅白なますと蛸の旨酢ジュレが来て口をさっぱりと洗ってくれた。
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御飯と赤出汁に漬物、
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ごく軽く炙ったたらこが添えられているのが心憎い。
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水菓子としてトマトのコンポートが出たが、きちんとデザートとして機能していたし、へたに見立てたミントの爽味が良かった。
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出汁系の献立が鯛・鰆・牛・揚げ出汁と続いたのが少し単調にも感じたので、鰆を幽庵焼もしくは牛を朴葉焼として出してもらえたら申し分なかっただろうと思う。それでも5,000円で卓越した技量の片鱗を味わえたから、全体にとても満足のいくものだった。また是非伺いたい。

祇園 川上割烹・小料理 / 祇園四条駅河原町駅三条京阪駅
昼総合点★★★☆☆ 3.7

2017年11月 1日 (水)

国宝観覧入洛記1:国宝展

毎年結婚記念日にはそれなりの所に食事に出かけているが、今年は京都で「国宝展」が開催され、しかも平日休みが取れる時に幻の名器である龍光院蔵の「曜変天目」が展示されることを知って、日帰りで入洛してそれに代替することと相成った。

朝早い新幹線で寝ぼけまなこだったが
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優麗たる富士の峰が目に入った時にはさすがに目が冴える。
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幸先よく今日一日の瑞兆が現れよい心持で京都到着。まずは八条口のコインロッカーに荷物を預け、9時前のバスにのり博物館には9時丁度着。事前情報ではかなりの行列と聞いていたが、この時点では建物内に入れるくらいで順番としては300番目位。

しかし10分もすると建物内の行列が外に延び、開館の9時半には長蛇の列が…もう1-2本遅い新幹線だったら危なかった。
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↑帰りに出来ていた行列。80分待ちになっていた。

観覧も十分作戦を練っていた。目当ての「曜変天目」は館内に入っても待ちの行列が出来るという。そこで入館したら展示の最後半にあるそこを真っ先に見物し、その後目当てのものを空いている内に順に拾っていくというもの。

好都合なことに本来の入口である3Fへのエレベーター前に1Fから入場する場合はこちらと案内が出ていたので一目散に曜変天目が展示されている部屋へ。するとまだここまで到達している見物客はほとんどおらず、4・5人が並んでいるのみだったので、ゆったりと鑑賞が出来た。

どちらかといえば藤田美所蔵の曜変に近く、輝紺の大宇宙に澄んだ光を放つ星たちが瞬く景色が広がり、見ていて吸い込まれそうになるし胸が高鳴るのを感じた。

その後、列に並ばずもう一段外から覗き込むようにしたが、今度は周りにあるすべてのものを飲み込むブラックホールのようにも見え、わずか数寸の椀ながらその存在の絶対感は流石だった。
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次点は雪舟の慧可断臂図。岩や慧可の表情の細密さと達磨禅師の後背の空白との描写の隔絶が、両者の関係を象徴しているようにも見えて色々想像が捗る。慧可の視点から画を見ると、達磨の背中が”無”そのものに見え、取りつく島の無い絶望がこちらに迫ってくる感もあった。
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その他では縄文土偶シリーズと火焔土器は原初の衝動が具現化されている凄味があったし、
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「風神雷神図」も初めて本家を目にしたし、
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予想に反して優美な姿形と繊細な口の造形に見蕩れた「飛青磁花瓶」は拾いものだったし、
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流石国宝だけの展示とあって枚挙にいとまがない。作戦成功も相まって満足いく見学が出来た。(作品写真はいずれもネットから引用)

2015年5月21日 (木)

蒼翠東下旅12:雑感・参考図書・写真拾遺集

かなりの移動距離になったが、念願の瀬戸内海の島旅も出来たし、先々計画している京都での長期滞在の下地も出来たし概ね満足できた旅だった。二年前もこの季節に長旅をしたが、空いているし気候はいいし絶好の旅時だと改めて思わされた。

以下参考となった本を。

京都ゲストハウス案内:以前おまんやさんめぐりの本でお世話になったアリカ編集によるもので、写真中心の見やすいレイアウトで宿の雰囲気を知るのに参考になった。また必ずオーナーの写真とインタビューが掲載されているので、その個性が反映されやすいゲストハウスを利用する上ではとても役に立った。

大阪食堂:井川建具を知るに及んだjapanese modern style in  kyotoの作者角田多佳子による大阪の旨いモノ屋ガイド。府外者からは粉もの一色にしか見えない大阪の食の土壌の豊かさを知る上では大いに参考になった。

京都・大阪・神戸の喫茶店:喫茶店文化が根付く京阪神の名店が綺羅星のごとく掲載されていて目移りした。思い込みが強すぎない作者の丁寧な説明に好感を覚えた。

最後に写真の拾遺集。
北木島のみみたこ
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宿の大旦那さんのご厚意に甘えて船から見た島の海
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桂離宮の敷石
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朝の膏薬辻子
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永観堂の曲り階段

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喧騒とは隔絶された善光寺近隣の宿坊街
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蒼翠の美しさ
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2015年5月18日 (月)

蒼翠東下旅9:京阪喫茶店巡り

家人が喫茶店に入れあげている内にこちらにも伝染して、この旅では京阪の喫茶店をあちらこちら巡った。

【タンポポ】
家人がよく閲覧しているブログの作者が激賞しているとのことでなんばから南海電車に乗り込んで住吉大社まで足を運び、阪堺電車の踏切沿いにある「たんぽぽ」へ向かう。昔はどこの町にもあった界隈のサロン感が残る外観で、幼少期に住んでいた町にも隣に床屋がある似たような喫茶店があり、男達がよく行き来していたことが思い出された。

店内の調度品も昔ながらの雰囲気が色濃く残っていて、ランプシェードの橙色を帯びた灯りに照らされてる様は、子供の頃に連れていかれた喫茶店の記憶と重なるものがあった。

良い気が満ちていると評される所以は立派な髭を蓄えたマスターの温顔を見てすぐに感じ取れた。少しだけしか話をしなかったが、押せば引き、引けば押す会話の間合いは絶妙で、穏やかな笑みを湛えたその風貌には仏性すら感じた。近所に住んでいたのなら人惚れして入り浸ってしまうだろう良店だった。
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【純喫茶アメリカン】
なんとなくイメージだが、喫茶店=ヨーロッパのイメージが強いので、純喫茶なのにアメリカンという店名は少し違和感を感じたが、店前のショーケースの感じや店内の懐かしい未来感は確かにアメリカの匂いがしていて、なるほど名は体を表すものだなと思った。

女性店員のロングワンピースの制服はデパートの大食堂で見かけた給仕を彷彿とさせ、メニューのロゴを見ては初めて行ったステーキハウスの看板を思い出した。
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純喫茶なのに甘味がほしくなってフルーツみつ豆を頼む。あっさりしたシロップが品よく、豆が艶々とした黒豆なのが面白い。家人たちが頼んだホットケーキは肌がしっとりしていて実に綺麗な姿だったが、実際とても旨かったようだ。繁華街のど真ん中でこれだけの店がきっちりと営業を続けている大阪の懐の深さには感服させられた。

【雲仙】
四条通から鉤型に折れ曲がった膏薬辻子を通って、古くからの喫茶店「雲仙」に向かう。朝8時過ぎだったが路地に門掃きや水打ちする人の姿はなく少し残念だったけれど、その分雲仙では出勤前の常連たちの四方山話に聞き耳を立てて、驚かされたり肯かされたり苦笑いさせられたりしながら、京の人々の日常を垣間見ることが出来た。
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風格のある頑丈なボックス席とカウンターが近いからか、店の人と客との間に親密な空気が流れていて、部外者ながら居心地が良かった。
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テーブルの下には昭和初期の創業の頃からあるのではないかという珈琲の説明文が。
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奥の席の床はタイルが敷き詰められていて、様々な色が散りばめられたモザイク模様が美しかった。酸味が抑えられて清々しい苦みが感じられる珈琲も美味しく、一日の始まりには良い店だった。
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【石】
祇園では相変わらず抹茶パフェが大人気なようで、そこに並ぶ人々を横目にこちらは天然石の店「ぎおん石」に入って2Fへ上がる。そこには直営の喫茶店があり、石屋だけに荒々しい肌をもった石に囲まれた店内が展開していて、なかなかに壮観だった。

店内はかなり空いていたのだが、悪いことに中年の婦人たちが2グループ居て、これが競うかのごとく大声で話しては笑いを果てしなく繰り広げ、いささか閉口した。それでも船底を模したというダイナミックな木の造形と骨太の石の肌合いが響きあう内装は迫力があり、これを眺めながら珈琲を啜れば非日常の世界をたゆたうことが出来るから、すし詰めになって肩身狭く隣のスタバで時間を過ごすよりも、はるかに有意義な時間が過ごせると思う。
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【翡翠】
中心街から離れたところの喫茶店で朝食を取ろうと、上七軒の「静香」に向かったものの今は朝10時からの開店に変わったようで開いていなかった。そこで次候補として調べておいた「翡翠」に向かう。

今となっては珍しい堂々たる路面店で、ばら撒かれたマネーで地価がべらぼうになってしまった東京ではこういう贅沢な使い方は許されなくなってしまったが、京都でもこれぐらい北に上がると店のあるじの心意気でやり通せるのかもしれない。
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店内は古式蒼然としたボックス席が中心で、少し淀んだ空気からいつどこで裏取引が始まってもおかしくない雰囲気があった。もちろん実際にはつっかけを履いた老人がのんびりとスポーツ新聞に目を通してはあくびをするといった具合で、健全極まりない店なのだが。
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モーニングも珈琲もごく普通だが、住宅街の一角の店なのでそれが逆に安心感につながって好感を覚えた。ここに集う常連もこの普通を愛しているのだろう。
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近くのゲストハウスに長逗留しようかなと考えているので、その際には自分も突っかけで出かけて地の人に溶け込みたいなと思わせる店だった。

喫茶タンポポ喫茶店 / 住吉駅住吉公園駅住吉鳥居前駅
昼総合点★★★☆☆ 3.6

純喫茶 アメリカン喫茶店 / 日本橋駅近鉄日本橋駅大阪難波駅
昼総合点★★★☆☆ 3.6

珈琲の店 雲仙喫茶店 / 四条駅(京都市営)烏丸駅大宮駅
昼総合点★★★☆☆ 3.5

ぎおん石 喫茶室喫茶店 / 祇園四条駅三条京阪駅河原町駅
昼総合点★★★☆☆ 3.4

喫茶翡翠喫茶店 / 北大路駅鞍馬口駅
昼総合点★★★☆☆ 3.3

2015年5月17日 (日)

蒼翠東下旅8:京都での買い物

【井川建具店】
昔読んだ「modern japanease style in kyoto」という本で古い建具を生かしたインテリアが提唱されていて、なかなか良いなぁと思っていたことを思い出してひっぱり出してきて読んでいたら井川建具店という店で1枚1-2万円で売っているとのことだったので、興味本位で覗いてみた。

店のある夷川通は家具の街として知られているようで、机専門店(!)や骨董の店「万市」などもあってなかなか見所がある。井川建具は店先に建具がずらりと並んでいてなかなかの壮観だったが、ネットでの情報では近くの倉庫に数千点の在庫があるということだから、古い建具を扱う店としては日本屈指だと言っていいと思う。

店のご主人に東京まで配送してくれるかと尋ねたところ「宅急便で4-5千円で送れます」と言われたので俄然購入が現実味を帯びて、建具の物色に熱が入る。中でも深い鳶色をした糸屋格子が気に入ったので取り置きをお願いし、帰京後置き場を実測して確認した後電話で注文した。

前の使用者が戸締りに使っていたねじ鍵の痕跡が残っていたが、それも味わいとして楽しめるレベルで、板を止める釘も補修されたものは微妙に形が違うものの目立つものではない。
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家にある時代箪笥の背面に置いてみたが、コーナーが全体に引き締まった印象に。
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夜は電燈の灯りが反射して良い風情を醸し出してくれる。
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思いがけず良い買い物が出来た。

【弘法市】
天気も良かったので弘法市に立ち寄る。抜けるような青空と五重塔というのもなかなか美しい。
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骨董系は見るものがなかったので山門下でいつもの手作り餅を購入。
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それとすっかり虜になった青もみじの盆栽が500円と格安だったので購入。彼はこの後名古屋→松本→長野→東京と旅に随行することとなる。写真は北陸新幹線の車中のもの。
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2015年5月16日 (土)

蒼翠東下旅7:京都での食事

今回の旅での食事はほとんどが再訪ないし知っている店だったので、簡単に印象を留めておく。

【蛸長】
平日の夜9時前にうかがったら先客は一組で、途中からは我々だけになった。緑陰深くなる候におでんを思い起こす人はやはり少ないのだろう。
しかし、開け放している入り口から川面を渡ってきた爽風が店の中にそよそよと吹きわたって実に心地よく、これはこの時期だけの醍醐味だと感じた。ご主人に聞くとGW後から5月いっぱいまでは虫も飛んでいないのでこの風が楽しめるのだという。頬を柔らかく風に撫でられながらつまむおでんは冬とは違った風趣があって、大変良いものだった。
【初音鮨】
昨年の旅で印象に残ったので再訪。今回は鯖・箱・巻と色々楽しめる京ずしを注文。鯛の箱寿司はねっとりした身の具合と木の芽の小気味いい風味がとても良く、鯖寿司も相変わらずの艶っぽさで思わず笑みがこぼれる。改めてふんわりと絶妙な加減のシャリのおいしさに瞠目したし、追加で頼んだ鯖紫蘇巻の爽味も印象的で、とても満ち足りた思いになった。
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【山ふく】
今回も季節のはしり・旬・名残を存分に楽しんだ。鱧の子煮は鯛の子に比べて幾分濃い味付けだったが、汗をかく季節になっていて塩を欲していたからか殊の外旨い。

この日の白眉は小鮎煮。ワタの高貴な苦味が味わいに程よい陰翳を与えていて、この日訪れた永観堂の木陰を渡る涼風を思わせた。ほの淡い脂が心憎いさらしくじらも、ほっくりしていて滑らかな豆ごはんも堪能し、しみじみと悦びが寄せてくる幸福な夜を過ごすことが出来た。

数十年に渡って店を営み続けてきた女将さんの肥沃な経験は今や豊穣の時を迎えていて、いずれの献立もざっかけないように見えて隙がなく、味わってみれば適切な調理が施されているのがありありとわかる。実にたまらない店だ。
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【あと村】
いつもの3,500円の弁当を購入。各種食材が高騰している中、値段を変えないことは有難いことではあるが、以前に比べ旨いモノが発する独特の迫力が弱まったように感じる。百貨店に店を出すようになったことから、食材の一部はそこと共用するようになったのだろうと推察されるが、どうだろうか。特に彩りの中核を担う海老にそれを感じた。1~2割程度高くても良いので、海老だけは良いものをお願いしたい。
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【銭幸餅】
おまんや巡りの一環として訪問。時期には早かったが水無月を食べたことがなかったのでそれと、美味しいと評判の赤飯を買う。水無月にも赤飯にも小豆が使われているがその皮は柔らかくさっとほどけて、豆のホクホク感が餅や外郎のもっちり感にすんなり同化していく。この具合が東京では味わえないところで、近くに行く時には再訪したい良店だった。
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銭幸餅 本店和菓子 / 丸太町駅(京都市営)二条城前駅烏丸御池駅
昼総合点★★★☆☆ 3.5

2015年5月15日 (金)

蒼翠東下旅6:ゲストハウス楽座・ボディケアボディ

【ゲストハウス楽座】
NHKBS1でやっていた「京都人の密かな愉しみ」と「丸竹夷にない小路」を見てすっかり感化されてしまい「いつか京都に1週間ぐらい住んでみたいナ」と思ったので、安くあがるゲストハウスを探索したところ、今や市内に数十もあって外国人に非常な人気であることを知った。

今回その時にピックアップした中から町家の風情も味わえる「ゲストハウス楽座」に宿をとることにした。団栗橋を少し下った宮川町にあって、祇園も先斗町も河原町もすぐ近くだから地の利はとてもいい。宿が面する宮川筋はお茶屋が連なる花街らしさを色濃く残していて、銭湯に行く道すがら格子戸から芸舞妓が踊る姿が見えたりや三味線の音色が聞こえてきて、京都らしい風情を存分に感じることが出来た。

今回ツインルームに二泊したが、通りに面した6畳間で寝るだけなら申し分なかった。
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懸念していた他の部屋の騒音は殆ど無かった。泊まっていた客のほとんどはアジア系を中心とした外国人だったが、わざわざ町家のゲストハウスを探してくるだけあって客質は良いようで、また、ドミトリーが女性専用であることも静かな雰囲気を維持できている要因かと思われた。

スタッフもなれなれしくなく、かといって素っ気ないわけでもなく程よい距離感で、かなりホテルライクな対応だった。台所がないので予定している長期滞在には向かないが、2-3日の滞在ならすぐ近くの24時間スーパーを活用したりして安く済ますこともできるから重宝する宿だと思う。

難をいえば人気がありなかなか思うように予約が取れないことと、古い建物なので真夏と真冬は辛く、夜中に通りで騒ぐ酔っ払いがちらほらいることくらいだろうか。しかしこの立地で一人4000円しないのだから、そこは飲み込める部分だと思う。
【ボディケアボディ】
京都に行くとどうしても強行軍になるので、だいたい足ツボマッサージのお世話になることとなる。同じように考える旅行者が多いようで、河原町界隈には多くのマッサージ店があって競合しており、その結果きちんとしたマッサージを安価に受けることが出来て非常にありがたい。

今回はボディケアボディという店でお世話になったが、60分足つぼと全身のマッサージを受けて3,000円少ししかしなかった。安くても練度の高いマッサージ師が揃っているようで、施術後は喉に感じていた違和感が霧散したし、足の軽さに小躍りした。

人気の店のようで予約がない客は入れなかったからその点幾分手間だが、それを補って余りある内容だから次回もお世話になろうと思う。